物置小屋

１人向け・慰め系

真っ白な仮面の下には(マスクな恋人)

これでよし。材料は揃っているはずだから、取り敢えず作っていこうか。
...しまった、お酒を切らしちゃってたんだった。
俺、ちょっと買いに行って...え、君が行ってくれるの？
ありがたいけど、ひとりで平気？
分かった。それじゃあ途中まで仕上げておくね。
いってらっしゃい、気をつけてね。

おかえり。ごめんね、買い物に行ってもらって...どうかした？何か嫌なことがあったんじゃない？
マスクはどうしたの？...そっか、取れちゃったのか。
具合が悪そうなのも、それと関係してる？
好奇の目で見られるのは大変だったよね...お疲れ様。
ひとまず座って。何か温かいものでも飲みながら話をしよう。

どう？少し落ち着いた？それならよかった。
何があったのか聞かせてもらってもいい？
...傷痕のこと、そんなふうに言う人もいるんだね。
哀しいけど、それが現実ってことか...俺は気味が悪いだとか全然思わないけど。
君はいつもみたいに優しさを発揮して迷子になった子どもを助けただけなのに、お礼じゃなくて醜いっていう言葉と蔑むような眼差しを向けられたのは辛かったね...。
ごめん、やっぱり俺も一緒に行けばよかった。
そうすれば君が傷つくことも、ねちねち言ってくる人もいなかったのに...。
君がいつもしているマスクの下には、こんなに可愛い素顔が隠れているのにね。
...それにしても、その人は勿体ないことをしたと思う。
だって、傷痕がある人がみんな醜く見えるんでしょ？...君の心は、どんなものにも負けないくらい綺麗な輝きを放っているのに。
傷があろうがなかろうが、君は醜くなんてないよ。
周りがどんなに酷い言葉をかけようが、どんな態度で君に接しようが俺には関係ない。
...俺は、今を必死に生きてる君が好きだから。
これから先どうなるかなんて分からない。
いつかその真っ白な仮面を脱ぎ捨てて堂々と町を歩けるようになるかもしれないし、もしかしたら外では一生マスクがないと過ごせないのかもしれない。
でも、それでもいい。君が隣にいてくれれば、それだけでいいんだ。
...俺が君の居場所でいるから。
ごめん、泣かせるつもりじゃなかったんだけど...抱きしめてもいい？
よく頑張りました。外に出てみようって思ったのも、少しでも人混みを克服しようって頑張ったんでしょ？
そういうところ、本当にすごいなって思う。
恋人贔屓かもしれないけど、いつもそう思ってるよ。

さっきよりすっきりした顔になったのはよかったけど...目を冷やした方がよさそうだね。
腫れちゃうと大変だから、そのまま動かないで。
もう少し濡れタオルで冷やしたら、一緒にすき焼き作ろう。
具材の準備はできてるから、あとは諸々入れたらすぐできあがるよ。
君と一緒に作ったご飯、食べるのが楽しみだな...。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
終わった後気づきました。...昨日もマスク彼女の話ではなかったかと。
申し訳ありません、明日は別のカップルを綴れればいいなと思います。