物置小屋

１人向け・慰め系

俺だけの味(元・執事の彼)

それでは、おやすみなさいませお嬢様。
...ごめん、癖でつい言っちゃうんだ。慣れって怖いね...。
もし眠れなかったら声をかけて。...俺はしばらく仕事するから。

...よし、できた。
やっぱり眠れなかった？一応ハーブティーを淹れたけど、もしよかったら飲む？
...はい、どうぞ。お菓子はさっき焼いたものだよ。マドレーヌ好きでしょ？
昔からそうだったから、久しぶりに作ってみようと思ったんだ。
もしかすると、最近も嫌な夢を見てるんじゃないかって...やっぱり。
奥様のことを思い出して？それとも、その傷痕のことを考えちゃうの？
...そっか。こっちにおいで。
今日の仕事はもう終わったし、今は君と過ごす方が大切だから。
もしかして照れてる？...可愛い。
どうしてそんなに申し訳なさそうな顔をするの？
...君はよく自分には何もできてないって言うけど、俺もこうしてふたりで過ごせる時間があったから頑張ってこられた。
執事と弁護士としての仕事も、いつも君が笑ってくれるから頑張ろうって思えたんだ。
それに、君はいつも掃除をして待ってくれている。
ご飯もお風呂も、文句ひとつ言わずに用意して待ってくれてるでしょ？
...君とふたりでいられるのはすごく嬉しいんだ。
それに、いつも感謝してる。
...お願い。自分を責めないで。
君の怪我は、乱暴な人たちにつけられたものだ。
心も体もぼろぼろになっている君を助けるのが遅くなったのは俺だし、これからも君のことを支えていきたいと思ってる。
本当に愛しているから、ずっと側にいたいんだ。
...逃げてきたこと、後悔してる？
してないなら、これからあの人たちのことを考えずにいられる時間を増やしていこう。
嬉しいことや楽しいことでいっぱいにできるように、俺も色々考えるから。
そうだ、もしよかったら今度一緒に作ってみる？
君はあの人たちに言われて料理をしたことはあったんだろうけど、自分だけの為に...ましてや誰かと一緒に作ったことはなかったんじゃない？
いつもは俺の為にって作ってもらってるけど、たまにはそういうのもしてみたい。...俺の願望だけどね。
俺はいつも朝食しか用意できてないし、夕飯は一緒に食べられないこともあるし...。
休みの日なら一緒に食べる時間がとれるから、お菓子作りにはいいんじゃないかなって思うんだけど...楽しみって思ってもらえたならよかった。
実は、明日は仕事が入ってないから丁度休めそうなんだ。
まさかそんなに喜んでもらえるとは思ってなかった...。
これは俺だけのレシピだけど、特別に教えてあげる。
...ふたりだけの秘密だよ？
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
今日はたしか執事の日だったはずなので、取り敢えず綴ってみました。
...色々うろ覚えです。