物置小屋

１人向け・other

あいにいく(閲覧注意)

こんなふうにあなた宛の手紙を書きはじめて、どのくらい経ったでしょうか。
あなたがいなくなってしまってから、俺の時間は止まってしまいました。
...ずっと一緒にいられる明日があると、そう勝手に信じていました。
でも、そんなはずなかった。
俺の隣で笑ってくれるあなたがいて、おはようとおやすみを言いあって。
俺はただ、ただいまって言ったときのあなたからのおかえりがあれば充分だったのだと思います。
大切なものは失ってからその大きさに気づくとよく言われるけど、本当なんだなって今なら分かるよ。
なんとか頑張ってみようと思ったけど無理でした。
ちょっとした出来事があったとき、いつもあなたを探してしまう。
ご飯をふたり分用意してしまったり、あなたが好きだったジュースを多めに買ってしまったり。
時間が経てばいつかは平気になると言う人がいるけど、そのいつかっていつなんだろう。
俺には、いつまでも来ないような気がする。
だから、直接伝えにいく決心を固めました。
まず何も気づけなかったことを謝りたい。それから、あなたの苦しみを全部聞きたい。
そのあとは一緒に作ろうと約束していたケーキを作って...ありきたりだった日常を取り戻したい。
今度こそ、側であなたを護りぬいてみせます。
あなたはごめんと言ってたけど、俺はいつも助けられてばかりだった。
もし会えたら、ちゃんとお礼も伝えないといけないね。
...突然だけど、今俺が来ているのはあなたが見つかった近くの海です。
どんな気持ちでこんな高い場所から飛び降りたのかと考えただけで、何も気づけなかったという罪の重さをいつも以上に感じます。
きっとこれが最期の手紙になるでしょう。
もう手紙を書くことも、ふたりだけの家に帰ることもありません。
...だってこれから、俺も君の側にいくから。
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短めです、申し訳ありません。内容が暗いうえに綴りながら結構精神的にきてしまいました...。