物置小屋

１人向け・イベント系

星に願いを(七夕・視える人)

今日も疲れた...あれ？あの人、どうして笹を見つめているだけで願い事を書かないんだろう？
...あの、こんばんは。
もし何か願い事があるなら、ここの短冊は自由に使えるから書いてつるしてみてください。
もしかして、緊張しているからずっと大笹の下にいるのかなって思ったんですけど...勘違い、でしたか？
ごめんなさい、泣かせるつもりじゃなかったんですけど...。
俺、言葉が下手で本当に傷つけるつもりはなくて、えっと...これ使ってください。
汚れてないハンカチ、これしかないのでそのまま持っていってください。
それじゃあ、失礼します。


どうしよう、この前は失礼なことしちゃったかな...。
...あれ、またあの人が立ってる。
あんなに悲しそうな顔をしているのに、どうして他の人たちは話しかけないんだろう。
もしかして、俺また区別がついてないのかな。
まあ、どっちでもいいけど。
...こんばんは。また会いましたね。
お願い事、やっぱり迷っているんですか？
短冊なら持ってますから、好きなことを書いてください。
あ...大丈夫ですか？
怖がる？どうしてそんなことを...ああ、そういうことだったんですね。
俺でよければ今すぐあなたの願い事を書いてつるします。
さっき指先がぼろぼろになっていったでしょう？
その腕で文字を書くのは難しいと思うので、代わりにやります。
...生きていようが死んでいようが、願い事をする自由はあると思うから。
俺、ぱっと見ただけじゃ生きている人と死んでいる人の区別がつかなくて...今までも何回か話しかけてきました。
あなたが死んでいることも、ついさっきまで気づいていなかったんです。
この大笹に願い事を書いた短冊を綺麗に結べたら叶うって噂があります。
本当かどうかは分からないけど、叶えたいことがあるなら俺に手伝わせてください。
恋人の幸せ...そう思える相手がいるのは素敵ですね。
それに、人の幸せを願えるのはすごいと思います。
俺にはそういう相手がいないのでよく分からないんですけど、今すぐ書いてちゃんと綺麗につるしますね。
多分このあたりにつらせたら...これでよし。
これできっと、あなたの願いは叶います。
え、そんなことないですよ。俺は優しくなんかありません。
あなたの願いが叶うことを祈っています。
俺ですか？...たしかに願いたいことはありますけど、内緒です。
それじゃあ俺はこれで。

...誰かの幸せを願う、か。
もし俺にも俺自身の幸せを願ってくれる人がいたら、どうなってたのかな。
今とは少し違った生き方をしていたのかもしれない。
...彼女の願いが叶うように、短冊に書いておこうかな。
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少し早いですが、七夕ものを綴ってみました。