物置小屋

黒蝶

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1人向け・慰め系

ふたりの世界に星が降る(箱庭シリーズです)

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こんばんは。今日は雨が沢山降ってるね。
...どうしたの?大丈夫...ではないよね。取り敢えずこっちおいで。
こうやって抱きしめられるの、好きでしょ?
こんな夜遅くにいるってことは、今夜も家には戻らないの?
そっか...。今日も辛いことがあったんだね。
それなのに、またお弁当を作ってきてくれて...いつもありがとう。
それじゃあ、いただきます。
君は食べないの?食事はちゃんと摂らないと、いつか倒れちゃうよ。
そうなっちゃうのは嫌だから、一緒に食べよう?
君と一緒にいると、ただのお茶でさえもすごく美味しい。
独りでの食事よりふたり一緒の方がきっと美味しく食べられるから。
あ、上を見て。空が晴れて星が沢山流れてるよ。さっきまであんなに雨が降ってたのに...ちゃんと見られてラッキーだね。
願い事をしたら、叶うかもしれないね。
今丁度短冊を2枚持ってるんだ。くくりつけるものなんてないけど、もしよかったら一緒に書いてみない?...決まり。
折角作ってきてくれたお弁当をちゃんと食べ終わってからやりたいな。

ごちそうさまでした。短冊には、なんてお願いするの?
《ここでの幸せな時間が続きますように》、か...他の場所には、行きたくないの?
俺は君を誰かと比べようとは思わない。
君が落ちこんでた理由は、もしかして誰かと比べられたから?
それは辛かったね。
君にだって、いいところは沢山あるのに...。
こんなふうに俺に心がこもった料理を作ってくれるのは君だけだし、いつだって自分より人のことを気遣っているし...。
そんな言葉なんて気にしなくていいなんて簡単には言えないけど、周りがどう言おうと君には君の才能があるって俺は思ってる。
いつも色んなことを頑張ってること、ちゃんと知ってるから。
...眠かったら寝ちゃっていいよ。
今夜もこのまま、抱きしめて離さないから。

よかった、ちゃんと休んでおかないと明日から持たなくなっちゃうから。
君は家を出て、いつもの廃墟で沢山何かを飲んで眠ってる。
何かが入ってるお弁当箱、そのままになっちゃってるよ。
ここから出てちゃんと食べないと、本当に現実に戻れなくなっちゃうかもしれない。
...ねえ、やっぱり君はこの世界にいることが1番幸せだと思ってるの?
ここは君が造り出した幻想で、俺とこの廃墟しかないんだよ。
まさか星を見られるとは思わなかったけど、すごく嬉しかった。
だけど、ここは所詮偽物でしかないんだ。
これから先、俺はどうすればいいんだろう...。
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周りとの比較...普通の感覚を持ち合わせていない私は、決して身近にいる人間たちから褒められることはありませんでした。
なので、今回はほぼ私の理想のようなものです。
個人的に頑張れという言葉は嫌いです。
相手は頑張ってきて疲れているのだから、もし何か相談されれば別の言葉をかけたいと思っています。
あとは、私自身がどんなことにおいても頑張れと言われ続けてきたから...でしょうか。
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