物置小屋

１人向け・イベント系

ランタンが消えるまで(ハロウィン・記憶障害の恋人)

ただいま。どうかしたの、そんなに恥ずかしそうにして...って、その格好...そっか、今夜はハロウィンだもんね。
その...すごく、可愛いと思う。
ごめんね、あんまり上手いこと言えなくて。だけど、本当に綺麗だなって思ったんだ。
今夜は特に予定はないよ。今年は家でふたりで過ごそうって話になって、外に行く計画はたててないんだ。
謝らないで。俺は、君が黒猫パーカーを着ているところが見られただけで充分嬉しいから。
今日の夕飯は、俺が作るから用意しなくていいって話をしたんだよ。
だから、君はそのまま寛いでてほしいな。
実は仕事に行く前に、今夜の為に下準備してあるんだ。
かぼちゃばっかりになっちゃってごめん。喜んでもらえるといいんだけど...。
かぼちゃコロッケにかぼちゃのポタージュ、かぼちゃプリン...ほら、やっぱりかぼちゃばっかりになってた。
無意識のうちにあれもこれもと作ってたらこうなっちゃったんだ。...食べてくれる？
ありがとう。それじゃあ、いただきます。
...どうかな？美味しい？喜んでもらえてよかった。
でも、今ちょっと気にしてたでしょ？
君が何回忘れても、俺がちゃんと覚えてる。
もしまた分からないことが出てきたら、一緒に沢山話をしよう。
日記帳いっぱいに君が過ごした幸せな時間が残るように。
たとえ君から消えてしまったとしても、出来事はなかったことにならないから。

...全部食べてくれてありがとう。そうだ、今夜はこれで灯りをつけようか。
そう、ランタン。1個だけ用意しておいたんだ。
試しに使ってみない？
え、この状態で日記を書くのって難しくない？
それならいいけど...トリック・オア・トリート。
お菓子、持ってる？すごい、美味しそうなキャラメル...！
俺？俺は...君がいつも食べてる飴、持ってるよ。
美味しいならよかった。え、俺も仮装？あんまり本格的なのは持ってないけど...マント羽織ってくるね。
その間に日記、ゆっくり書いててね。


...去年の約束と色々混ざっちゃったんだな。
寂しそうな顔をしていたのは、きっと今夜デートで出掛けると思ってたからだよね。
彼女の記憶はランタンの灯りくらい儚くなってる。
どうかそれが消えてしまう前に、俺とのいい思い出を綴ってくれますように。

...お待たせ。どうかな？似合う？
あれ、もしかして緊張してる？...やっぱり可愛い。
今夜はこのまま夜ふかししようか。明日は休みなんだ。
もしよかったら、明日はどこかに出掛けよう。
君との時間を大切にしたいから。
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記憶障害の恋人で綴ってみました。