物置小屋

黒蝶

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1人向け・イベント系

拝啓、かぼちゃに囲まれて(ハロウィン)

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拝啓

毎年かぼちゃだらけになるこの季節、僕はあなたと会えるのを楽しみにしています。
…なんて、ありきたりかな?どんなことを書けばいいのか分からなくて、ペンを握っては置きを30分くらい繰り返しながら書いています。
恥ずかしがり屋の君が一緒にいてくれるように、今年もかぼちゃをくり抜いて顔を作っています。
去年のより大きいからちょっと重いかもしれないけど、色んなサイズのものを用意して待ってるね。
君と会えることが僕にとって1番の幸せだから。
いくら恥ずかしがり屋さんとはいえ、そろそろ素顔を知りたいな…なんて言ったら、君は怒るかな?
仕方がないことだと分かっていても、時々無性に見てみたくなる。
勿論無理にとは言わないけど、いつか素顔の君とも話してみたいな。
今年も去年と同じ場所にかぼちゃを置いて、近くの公園で待ってるね。


…これでよし。今年も会いに来てくれるといいな。
あ…久しぶり!元気そうでよかった。
そのかぼちゃが丁度よかったんだね。覚えておく。
来年はもっと完璧に作るから…え!?
ごめん、まさかいきなりかぼちゃを取っちゃうとは思ってなかったんだ。
怖い?どうして?それ、火傷の痕でしょ?痛そうだね…。だけど、怖いとは思わない。
ごめん、泣かせるつもりじゃ…僕でいいなら、ハロウィンじゃなくても会いに来て。
ひとり暮らしだし、ここにいてくれたら迎えに行くよ。
まさか毎年かぼちゃをかぶっていた理由がそれだとは知らなかった。
実は僕にもあるんだ。…この首のあたりにあるの、火傷の痕なんだよ。
君の方が痛そうだね。ここまで来るのも大変だったでしょ?かぼちゃはこっちに避けて、ここに座って。
…さて、今年はどんな話をしようか。
いつもだと他愛のない話をして終わるけど、これからの話をしようか。
やっと本当の君に少し近づけた気がするから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
毎年同じ仮装をして会いに来るのは、顔の火傷を隠すためでした。
今年からハロウィンでなくてもふたりは一緒にいられます。ふたりの未来はきっと素敵なものになるでしょう。
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