物置小屋

１人向け・other

誘い(ダークな話)【閲覧注意】

こんばんは。突然声をかけて申し訳ない。
雨の中、傘もささずにいるものだから気になって…。このタオル、よければ使ってください。新品なんです。
謝らないでください。だけど、もし少しでも申し訳ないと思っているなら…話を聞かせてもらえないかな？
ここで会ったのも何かの縁だろうから。

そうか、疲れちゃったんだね。
…もういいんだよ。ずっと頑張ってきたのに、君のことなんて誰も見ていない。
だから君が困っても誰も助けに来ないんだ。…君はきっと、無自覚のうちに色々な人を助けてきたはずなのにね。
そんな理不尽な中、全力で頑張る必要なんかない。
ほどほどに頑張って、無理なら諦めていいんだよ。
どうして分かるのか、か…似たような経験があるから、かな。
どうするかを選ぶのは君自身だけど、絶望してどうしようもないなら諦めてもいいかなって思うんだ。
…君と似たような状況だったけど、僕は選んだ道を後悔していない。
どうしても辛いなら、この薬を飲んで。そうすれば楽になれるから。
それはあげる。僕にはもう必要ないものだから。…それじゃあ、また話がしたくなったらここに来て。
大抵この場所にいるから。


…あれ、もしかしてもう薬を飲んじゃったの？
あれは致死量の毒が入った薬だよ。眠ったようにこの世界とさよならできる、魔法の薬。
僕はこの世界を諦めて、あの薬を飲んだ。
僕が死んでいることにも気づかないなんて、本当にうっかりさんなんだね。
ここに残ろうが天にのぼろうが君の自由だ。
感謝されるようなことはしてないよ。僕はただ、君の背中を少し押しただけだから。
…ああ、また引きこんでしまった。別に誰かに生きるのを諦めてほしいわけじゃないのにな。
こんなことをしても、この寂しさは埋められないのに。
消えたいと願っている人って、意外と多いんだな。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
少しだけどんでん返しになればいいなと思いつつ書いてみましたが、かなりダークな内容になってしまいました…。