物置小屋

１人向け・other

みんなでいくなら怖くない(心中)

こんばんは。突然声をかけてごめんね。
独りで覚悟を決めたような顔をしているように見えたから、つい。
どうしてだろうね。分かっちゃうんだ。…同類っぽい子だってこと。
そんなに驚くようなことだった？
君は話せないんでしょ？だったら、首をふって答えてくれればいいよ。
あとは表情から読み取るから。
質問1。ここの景色が好き？やっぱりそうなんだ。いいよね、静かで人がいなくて、傷つくこともない。
質問2。今持っているものが君の大切なもの？そのぬいぐるみ、すごく可愛いね。
質問3。その子は友だち？…本当に大切なものほど手放してしまいそうで怖くなるけど、その子なら絶対に裏切らないからいいね。
質問4。…君は今消えたいと思ってる？ああ、やっぱり同種だ。
その子と一緒なら、どこへ行っても寂しくないかもしれないね。
…僕のこと、知りたい？あんまり詳しくは言いたくないから、少しだけね。
大事にしたいって思っていた相手は、僕を引き立て役としか思っていなかった。
どんなにもがいても、他の人たちみたいに生きられなかった。
…生きるの向いてないんだ、僕は。
だから、さいごにこの場所を選ぼうと思った。
君も辛くなったんじゃないかなって…当たり？
それじゃあ、最後の質問。…僕とその子と、別の世界へ行かない？
そのぬいぐるみだけひとりぼっちになったらきっと寂しがるよ。
…未練がないなら、この手をとって。似た者同士、一緒に行こう。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
夢の世界へ辿り着いたのか、現実という地獄から抜け出せなかったのか。
結末は本人たちのみぞ知る話。