物置小屋

１人向け・other

静かに続く縁(優しい死神)

こんばんは。突然で申し訳ないけど、君の寿命はあと1時間で尽きます。
もし何かやり残したことがあるなら、悔いの残らないように…どうかした？
出掛けたい？かまわないけど、1時間以内に辿り着ける場所？
その広告、ここから少し離れた場所の…。お願いを叶える手助けはできる。しっかり掴まってて。


ここに来てみたかったの？夜の水族館なんて、珍しいことをやっているんだね。
ぺんぎんを探す競争？そんなことがしたかったの？…分かった。先に見つけた方が勝ち？
それなら真剣に探さないといけないね。見つけたら待ってるよ。

……見つけてしまった。あの子は平気かな？
こういうことをやりたいと願う人間もいるのか…やっぱり不思議だ。
ああ、やっと来た。ズルはしていないよ。そもそも、午後に来たのは初めてだ。
どうしてそんなほっとした顔をしているの？
…温かい表情？僕が？全然意識していなかった。
そもそも、考えたこともなかった。
写真？持っていけるよ。僕も？まあ、いいけど。
…ぺんぎんと写真を撮られるなんて、珍しい場所だね。
他にやりたいことは？カプセルトイ…いいよ。
あ、ぺんぎん。君のとは色が違うみたいだ。
シークレット…こっちの方が珍しいのか。
欲しいならあげる。遠慮する必要はないよ。
交換？…君のをもらっていいの？分かった。それなら遠慮なく受け取っておくことにする。
そろそろ時間だよ。お礼を言われるようなことなんて、何もしてない。
君の病気を治せるわけでもないし、ただ隣にいただけで…。不思議な人間だね。
写真もキーホルダーも持っていけるよ。…そっちの扉を開けて。その先が君の終着点だ。


これ、どうしよう。こういうのも悪くなかったな。
…僕がいたから独りじゃなかった、か。
もし叶うなら、彼女が心ゆくまで好きな場所へ出かけられたらいいな。
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優しい死神の話にしてみました。