物置小屋

１人向け・慰め系

失敗作の終わらせ方(優しい死神)

こんばんは。突然だけど、君の寿命はあと1時間で尽きます。もしやり残したことがあるなら…なんだか疲れているね。
というよりも、全てを諦めたような目をしてる。
ずっと比べられてきた人生、か。
君の妹がどういう人物なのか知らないけど、誰かと比べなくていいと思う。
…そうは言っても、誰からも否定されるのは苦しいか。
そういうの、なんとなくなら分かるんだ。
やりたいこと、見つかった？
ネットの友だちに感謝を伝える？…君がやりたいことをすればいい。
実験台のような人生が嫌になって、何度もこの世界を捨てようとしたってことは知ってた。
だけど、君には友人と呼べる相手がいたんだね。
だから心の平穏を保ってこられたのか…。
みんな違ってみんないいという言葉を聞くけど、それならどうして優劣をつけたがるんだろう？
僕が人間じゃないからかもしれないけど、丸の数を数えればもっと幸せだろうと感じる。
君はコンクールで佳作をとったり、勉強だって努力を続けてきた。
それを頭ごなしに否定されたら、自分なんかって思うのも仕方ないことだ。
だけど、僕は君を否定しない。
どんな生き方をしたって百点満点にはならないから。
他人に迷惑をかけず、自分がやれることをせいいっぱいした。
結果が出なかったとしても、僕はその過程を尊敬する。
誰にでもできることじゃないから。
…別に僕は優しくない。思ったことを言っているだけ。
そろそろ時間だけど、感謝の気持ちは伝えられた？…そう。
優しい君の最後の悔いを消せたならそれでいい。
手をとって。これからはもう誰にも否定されないから。
…それでは、ゆっくりおやすみください。


あんな笑顔で迎えられたのは久しぶりだったな。全てを諦めた顔…というより、心が死んでいたのかもしれない。
…願わくば、もう我慢しなくていい世界にいられますように。
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優しい死神の話にしました。