物置小屋

１人向け・other

捨てる旅路(優しい死神)

こんばんは。突然だけど、あと1時間で君の寿命が尽きます。何かやり残したことがあるなら…どうしたの？
ごめん。いきなりこんなこと言われても怖いと思う。だけど、後悔してほしくない。
…そんなものを使わなくても、眠るように終わることができる。
生きているのが辛いという感覚を、僕は感覚としてしか知らない。
それでも、それを恥ずべき感情だとは思わない。
生きづらくて、でも他人を傷つける気力はない。
誰かを傷つけてしまうくらいなら、自分を終わらせればいい。…そういうことなんでしょ？
だったらなおのこと、やりたかったことを知りたい。
それを考える力さえ奪ったこの世界はきっと間違っている。
君が悪いなんて絶対に言わない。言えない。
…きっと沢山苦しんだんだろうね。記録に載ってること以外も。
僕たちは記録というものを読んで、対象者に通告する。
もっとも、大半は通告なんかしないけど。
僕はやりたくてやっているんだ。…そして、少しでいいからその心が軽くなってほしいと思っている。
やりたいこと、あった？…話？構わないけど、さほど何も変わらない気がする。
だけど、君がそれを望むなら相手するよ。

…今回の人は変わっていたな。まさか話し相手になってほしいなんて願われるとは思ってなかった。
願わくば、彼女が孤独から救われますように。
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優しい死神の話にしました。