皓皓、天翔ける

黒蝶

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第6章『護り方』

第30話

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「お客様、もしかしてこちらの指輪ではありませんか?」
《はい、これです!ありがとうございます。見つからないと思っていたのに、本当によかった…》
女子高生はほっとしたように私を見つめる。
《ありがとうございました。これがないと、梨里と合わせる顔がないから…》
「梨里さんというお、お知り合いがいらっしゃるんですね」
《はい!彼女、すごくいい子で…私とは比べ物にならないくらい美人なんです。
困っている人に優しくて、ずっと彼女に憧れていました》
女子高生は楽しそうに話している。
彼女もまた、自らが死んでいることに気づいていないようだ。
「と、とても仲がいいんですね」
《はい。大切な人なんです》
自信を持ってそう話せる相手がいるのは羨ましい。
私はいつも人付き合いを避けているから、誰かと話して仲良くなれる人たちを尊敬している。
「何かお召しあがりになりますか?」
《みゆのシフォンケーキ…》
「え?」
《あ、ごめんなさい。シフォンケーキってありますか?》
「かしこまりました。飲み物は何になさいますか?」
《アイスティー、ガムシロップ2つで》
「すぐにお持ちいたします」
みゆというのは、大切な人だと話していた相手のことだろうか。
だとすると、前回使ったプロセッサーを使ったらなんとかなるかもしれない。
ワゴンの下に入れていたそれにシフォンケーキの材料を入れて、ゆっくり紐を動かす。
お客様にはこうして作っているのが見えないのか、飲み物を用意していると思われているのか…不思議なことだらけだ。
「お、おまたせしました」
《ありがとうございます。…すごい、みゆの味がする、気がする》
女子高生は噛みしめるように食べながら、しんみりした表情で俯いてしまった。
「申し訳ありません。何か失礼なことを……」
《いえ。車掌さんのせいじゃないんです。ただ、その子につきまとっている男のことを思い出して…》
「つきまとい、ですか?」
《警察に行っても、証拠が足りないから動けないって言われてしまって…。まだ捕まえられそうにないんです》
困ったように話す彼女は予備のチェーンを持っていたらしく、首元の指輪を握りしめる。
それはまるで、何かに祈るような様子だった。
《たしかに素敵な人だから、狙われるのも分からなくはないけど、本人が嫌がっているのにしつこく追い回すんです》
「それは大変ですね。相手に悪意がない分、どう接していいか分からなくなりそうです」
《そうなんですよ…。車掌さん、分かってくれます!?全然まともに取り合ってくれないから、本当に困ってるんです》
明るく話しているけど、疲れているように見える。
せめて笑顔で過ごせるように、今はせいいっぱいできることをしよう。
「お客様の大切な方の話、もっと詳しく聞きたいです」
《みゆのこと…。初めて出会ったときから、みゆ…深雪はすごくいい子でした》
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