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第14章『協力者』
第73話
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「…それじゃあ、また今夜」
「ちょっと待って」
いつもみたいに眠くなることなく列車を降りたところで、氷雨君に呼び止められる。
「もし明日、何か現れたらこの番号に連絡して。きっと力になってくれるはずだから」
「分かった」
一瞬氷雨君の番号かと思ったけど、反応からして別の誰かだ。
少し残念に思ってしまうのは何故だろう。
番号を携帯に登録して、マンションですぐ学校へ行く準備をした。
「今日の理科の授業は、姉妹校から来てくださった方にお願いします」
白鷺学園はひとつ駅をはさんだ距離にある烏合学園と姉妹校だ。
ひとりは周りの生徒たちがイケメン教師と騒ぐほどの人で、もうひとりは大学生らしき人が立っている。
「去年プレ授業でお会いした方もいますが、ほとんどの人ははじめましてですね。
普段は烏合学園で理科担当をしている室星といいます。彼女には助手をお願いして一緒に来てもらいました」
「こんにちは。折原です」
他の生徒たちは折原さんにも興味津々だ。
「……」
「…?」
一瞬折原さんと目が合った気がしたけど、気のせいだろうか。
「それじゃあ、いつもどおり授業していくから分からない所があれば遠慮なく言ってくれ」
そのまま授業は進んでいたけど、近くからおばあさんの声が聞こえた。
《困ったねえ…》
困っている人がいるのに、流石に無視するわけにはいかない。
「あ、あの…何か困りごとですか?」
《実は、門を越えてきたのに場所が分からなくなってしまって…。華やかな場所なんだけど、知らないかい?》
「ごめんなさい。私には分かりません。で、ですが、お手伝いさせてください」
《ありがとう。すまないねえ》
いつもより盛り上がっている授業から、私ひとり消えたところで気づかれない。
おばあさんの手を引いて校舎の外に出ると、近くの古井戸からいつもと違う音がした。
「あれ、氷空ちゃん?」
「あ…」
《ああ、門番さん》
矢田さんに声をかける前に、おばあさんがほっとした表情で彼に話しかけた。
「おばあさん、ひとりで行ったら迷子になりますよって言ったのに…。僕が案内しますから、もう少し待ってください」
《ごめんなさいねえ。久しぶりのこっちは楽しくて、つい。お嬢さん、助けてくれてありがとう》
「い、いえ」
「氷空ちゃん、授業中でしょ?あとは僕がやるから大丈夫だよ」
「あの、門番さんの仕事ってもう…」
「うん。事前訪問したがっているお客様も多いから…。氷空ちゃんのおかげで助かったよ。
だけど気をつけて。この時期は生死の境目が中途半端になるから」
「分かりました」
氷雨君にも言われた言葉を心で繰り返しながら屋上へ向かう。
誰もいないはずのそこには、うずくまっている男性がいた。
「あ、あの、大丈──」
《美味イ、見ツケタ!》
男性だと思っていたものは別の何かに形を変えて、大きな口を開けた。
あまりに突然のことで避けきれず、腕をがぶりと噛まれる。
《ギィア!?》
悲鳴をあげないように必死に堪えてやり過ごそうとしていたら、誰かに引き寄せられた。
「…ぎりぎりってところか」
間違いない。折原さんだ。
「あ、あの、」
「説明は後だ。先に目の前のやつを片づけるから、そっちに隠れててくれ」
「は、はい」
言われたとおりの場所まで小走りで行ってしゃがむと、折原さんが札のようなものを構えた。
「そんなに相手してほしいなら私がしてやる。…私の方が美味しそうだろ?」
「ちょっと待って」
いつもみたいに眠くなることなく列車を降りたところで、氷雨君に呼び止められる。
「もし明日、何か現れたらこの番号に連絡して。きっと力になってくれるはずだから」
「分かった」
一瞬氷雨君の番号かと思ったけど、反応からして別の誰かだ。
少し残念に思ってしまうのは何故だろう。
番号を携帯に登録して、マンションですぐ学校へ行く準備をした。
「今日の理科の授業は、姉妹校から来てくださった方にお願いします」
白鷺学園はひとつ駅をはさんだ距離にある烏合学園と姉妹校だ。
ひとりは周りの生徒たちがイケメン教師と騒ぐほどの人で、もうひとりは大学生らしき人が立っている。
「去年プレ授業でお会いした方もいますが、ほとんどの人ははじめましてですね。
普段は烏合学園で理科担当をしている室星といいます。彼女には助手をお願いして一緒に来てもらいました」
「こんにちは。折原です」
他の生徒たちは折原さんにも興味津々だ。
「……」
「…?」
一瞬折原さんと目が合った気がしたけど、気のせいだろうか。
「それじゃあ、いつもどおり授業していくから分からない所があれば遠慮なく言ってくれ」
そのまま授業は進んでいたけど、近くからおばあさんの声が聞こえた。
《困ったねえ…》
困っている人がいるのに、流石に無視するわけにはいかない。
「あ、あの…何か困りごとですか?」
《実は、門を越えてきたのに場所が分からなくなってしまって…。華やかな場所なんだけど、知らないかい?》
「ごめんなさい。私には分かりません。で、ですが、お手伝いさせてください」
《ありがとう。すまないねえ》
いつもより盛り上がっている授業から、私ひとり消えたところで気づかれない。
おばあさんの手を引いて校舎の外に出ると、近くの古井戸からいつもと違う音がした。
「あれ、氷空ちゃん?」
「あ…」
《ああ、門番さん》
矢田さんに声をかける前に、おばあさんがほっとした表情で彼に話しかけた。
「おばあさん、ひとりで行ったら迷子になりますよって言ったのに…。僕が案内しますから、もう少し待ってください」
《ごめんなさいねえ。久しぶりのこっちは楽しくて、つい。お嬢さん、助けてくれてありがとう》
「い、いえ」
「氷空ちゃん、授業中でしょ?あとは僕がやるから大丈夫だよ」
「あの、門番さんの仕事ってもう…」
「うん。事前訪問したがっているお客様も多いから…。氷空ちゃんのおかげで助かったよ。
だけど気をつけて。この時期は生死の境目が中途半端になるから」
「分かりました」
氷雨君にも言われた言葉を心で繰り返しながら屋上へ向かう。
誰もいないはずのそこには、うずくまっている男性がいた。
「あ、あの、大丈──」
《美味イ、見ツケタ!》
男性だと思っていたものは別の何かに形を変えて、大きな口を開けた。
あまりに突然のことで避けきれず、腕をがぶりと噛まれる。
《ギィア!?》
悲鳴をあげないように必死に堪えてやり過ごそうとしていたら、誰かに引き寄せられた。
「…ぎりぎりってところか」
間違いない。折原さんだ。
「あ、あの、」
「説明は後だ。先に目の前のやつを片づけるから、そっちに隠れててくれ」
「は、はい」
言われたとおりの場所まで小走りで行ってしゃがむと、折原さんが札のようなものを構えた。
「そんなに相手してほしいなら私がしてやる。…私の方が美味しそうだろ?」
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