皓皓、天翔ける

黒蝶

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第22章『水底にて』

第125話

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「お友だちとは、最近会っていなかったんですか?」
《そうなの。突然連絡がとれなくなってしまって…。他の子たちにも聞いてみたんだけど、誰も繋がらなかったみたい。
ふらっとひとり旅に行くことはあっても、連絡がつかなくなるのは初めてで…》
女性にとってそのご友人はとても大切な人なんだろう。
《私は私でモデルの仕事でどたばたしていたんです》
「モデルさんなんですね」
《モデルといっても、地方紙と絵のモデルなんですけどね。だけど、少し大手から声をかけてもらえて…。友人と一緒に話を聞きに行く予定だったの》
照れくさそうに話す女性はすごく眩しい。
ただ話しているだけなのに、言葉ひとつひとつが丁寧でとても綺麗だった。
「あ、あの、グラタンお持ちしますね」
《ありがとう》
すぐに食堂車まで向かい、トレーを受け取ってすぐ戻る。
「お、おまたせしました」
《ありがとう。いただきます》
とろっとしたチーズを美味しそうに食べているのを見て、少しだけほっとした。
きっと殺された瞬間は苦しかったはずだから、今は楽しい事を考えてほしい。
《これ、昔通ってたお店の味に似てる…》
「そうなんですか?」
《店主がもう年をとったからって閉めてしまったんだけど、お金がない頃とてもお世話になっていたんです。
今も裕福な暮らしをしているわけじゃないけど、安くて美味しいお店で、お客さんの笑顔が絶えなかった…》
女性は懐かしむように目を細める。
それから、ポケットに入れていたキーホルダーを見せてくれた。
《友人とお揃いのもので、願掛け代わりにいつも持ち歩いていたんです。
…それと、彼女が最後に立ち寄ったのがモデルをしていたアトリエだって気づいて訪ねました》
「そう、なんですね」
《でも、画家は知らないって言った。ましてや、そもそも来ていないって言い放ったの。
アトリエに呼ばれたから顔を出すって連絡が来たのに、訪ねてきていないと言う…怪しいなって思って調べてみたの》
マカロニが刺さったフォークを見つめて、そっと口まで運ぶ。
「し、調べた結果はどうだったんですか?」
《あくまで私独自の調査なんだけど、やっぱり行ったみたいだった。そこにスマホが落ちていたから…》
女性はぼんやり記憶を辿っているみたいだ。
グラタンを食べる手を止めて、空になったカップを渡される。
《申し訳ないけど、おかわりをいただいてもいい?なんだかすごく寒くて…》
「かしこまりました」
極寒の湖に沈められそうになったのだから、心まで冷える感覚に陥っているのかもしれない。
おかわりを作ってマショマロをのせてサーブした。
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