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ご機嫌麗しゅう?.3.

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「……んん…。」

…あれ?何が起きたんだっけ。
確か、学校に行って、黒音子と話してトイレに行って…。

徐々にまぶたを開けていく。



……

「…ここどこだよッッ」

俺は見知らぬ部屋の中で倒れていた。まじでここどこだよ…。
なんか、部屋すっごい昔な感じがするし、か…刀?が飾られてるし。
ぜってー、どっかの築60年ぐらいの誰かの家の中だろ!
異世界行くの失敗してるだろ!
ただの不法侵入だよ!

その時、下から足音が聞こえた。
…あ、おわた。人いるじゃん。あーこの部屋、二階ダッタンダナー。(現実逃避)

足音がどんどん近ついてくる。

何もかも、秒速で展開する非現実に俺はもうついていけなかった。

もうどうにもなれ!俺は隠れる事もせずにぎゅっと目を瞑った。



バンッッ


襖が勢いよく開けられ、そこからはおばあちゃん…ではなく、着物を着たボイーンな女の子が立っていた。
女の子の目は大きく見開かれ、俺に驚いているのはすぐ分かった。
…これはいけるかも…?

「あ…あの、すみませ…」「どうやって入ったッッ!!」
言い終わる前に女の子は俺の元に走り、

転けさせられ、

ゴッ!
「いっ…!」

気がついたら、倒れて頭を打った俺の上に馬乗りになっている女の子がいた。
女の子は両膝で俺の両腕を封じ、両手には小刀が握られており、首の上で構えられている。

その光景に、俺は初めて命を奪われかける恐怖を知った。

「あ…あの…。」

「どうやって入ったと聞いてるの!!」

「お…お守りで…!気がついたらここにっい…居たんですっ」

「お守り…?」
女の子は怪訝な顔を数秒した後、
はっとしたような表情を浮かべた。

「それを見せて。早く。」なぜか、焦っている…。

身動きとれないのにどうやって見せろと。

「ぽ…ポケットの中にあるはず…」

女の子はすぐに俺の制服のポケットを小刀を持ちながら漁った。
そして、お守りを見つけ、それを凝視しだした。

「…これは……。」

女の子はたっぷり約一分間それを見つめ、やっと目を離したかと思うと、次は俺を見つめ始めた。

「…この子が……。」

…あのぅ、独り言激しくないですか。

すると、

女の子は何を言わずゆっくりと立ち上がった。…なんとか…なったのか…?

「君、朱希?」

何で名前知ってるの。

「は…はい。」

女の子がふにゃりと笑った。……やべ。可愛い。さっき殺されかけたけど。
っていうかそろそろ立ってもいいかな。

「もう正体はわかったから大丈夫だよ。
ごめんね。いきなり。ここは普通入れる訳ないからびっくりしちゃって。」

俺は立ち上がった。腰、痛ぇ。

「…ここはどこなんですか。何で名前知ってるんですか…。」

女の子がフスーと息を吐き、手を腰に当て、胸を揺らした。大きなそれがぷるるんっと震える。
……手を伸ばしかけた俺に罪はないはずだ。絶対ない。


「まあ、とりあえず、…ご機嫌麗しゅう?」



……

「殺されかけた時点で最低だよっっ(怒)」

前言撤回。







    
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