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お仕事.13.

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はっ待て待て。名前そのままだとしても何をやってるかはまだ聞いてないし別だろう?聞いてみるんだ。

「…ちなみに何に使う場所…?」

恐る恐る聞いてみる。

「私たち以外ならえっちぃことをする場所かなっ」

いい笑顔で返答された。

「そのまんまかよ!!」二度目の叫びである。

「あれれ?名前から分からなかった?朱希ちゃん意外とウブかなっ??」

うふふ~とニヤニヤする怜奈の顔を軽く睨む。

「分かってた…分かってて聞いたんだよ……。」

「だよねっ朱希ちゃんがウブな訳ないよねっあーびっくりしたよ~」

…ん?さりげなく毒付けられたような。…………気のせいかな。

「…っそれにしても人多いな。」

活気がいいというか…店出た時からちょくちょく人の肩に当たったりしている。つい今も当たった。おかげで着物がもう随分ずれている。

「少ない方だよ?」

「えぇ……。」今より多かったら人に酔いそうだな……。

「まあ、確かに向こうに比べたら多いね~」



そう言ってる怜奈は欠伸をした。楽な感じで言っている怜奈も絶対人に当たっているはずだ、とキッと見たら意外に着物の乱れがない。そして前から歩いてきた人にぶつかりそうになっても軽く体を少し傾けて避けた。

慣れてる……。くそう……。

「……ん?」

「ど、どした。」

じーっと怜奈を見ていたら怜奈が後ろへ振り向いた。一瞬見ていたのがバレたのかと思ったがどうやら違うみたいだ。さっきまでだらしなかった目にキレがある。……と思ったらまただらしない目になった。

「れ…怜奈?」……雰囲気が変わってる。

「朱希ちゃん、今からあなたにお仕事だよ~。」やけに冷静な小声だった。

そしてするりと着物の中に、店の中で怜奈が俺に刺した妖専用の小刀が入れられた。
「ど…どういうことだよ」

「女の子らしい言動を心掛けてね。後、部屋の中で相手が首を晒した瞬間に斬ること。」

会話が出来ていない。

「は…はあ?」

「きっと相手がらぶほてるに連れてってくれるから、中に入ったら見られないように受付の人にこれを渡してね。」

着物の中にまた何かを入れられた。…木製の薄い札……?

「絶対に躊躇はしないでね。…死なないように」

は!?

怜奈の目は相変わらずだらしない。だけど声は真剣だった。


歩きながら混乱していると、
 誰かが後ろから俺の肩を叩いた。

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