転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

ジェーン

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知られてはならない過去

スイとリナ

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 リナに名前を呼ばれたスイさんは、水龍だと僕たちに告げ、そして僕の横にいるリナを抱きしめた。

「なぜ、泣いている?嫌なことがあったのか?」

 するとリナが顔を上げてスイさんを睨みつける。

「何言ってるの?キミが居なくなったから、ずっと探してんだよ!!馬鹿!!」

 今まで僕の前で見せて居た謙虚な姿はなりを顰め、キンッとした高い声でリナはスイさんを怒鳴りつけた。

 多分これが本来の彼女の姿なのだろうと僕は思う。

 だが、リナの思いを聞いたスイさんは首を傾げる。

「居なくなった?誰が?」
「「はぁ?」」
「私は置き手紙をしていたが?気づかなかったのか?」
「置き手紙??」

 リナは首を傾げる。僕も意味がわからなくて、スイさんを見つめると、スイさんは小さく息を吐いた。

「君の机の上に置いていたのだが……」
「机の上って……まさかあの落書き!?」

 リナは思い出した様な声を出す。

 その瞬間、ある憶測が僕の脳裏をよぎった。

 ……そうか、スイさん人外だから人の言葉書けないんだ。

 人外種というのは人とは違う言葉を使う種がいる。きっと龍もその一種なのだろう。
 スイさんにとっての文字は、龍が使う独自の文字であり、リナにしてみては落書きに見える。
 その些細なズレが今回のこの水龍探しの依頼は起こってしまった。

「あの、ちなみに、手紙にはなんで書いたんです?」

 なんとなくこのままだと、二人が喧嘩になりかね無いので、僕が尋スイさんに尋ねてみると、彼は僕の方を向き、その綺麗な切れ長の瞳を細めた。

「彼女と結婚する事を、私の住む国に伝えに行って来ると……」
「えっ!?」

 リナは驚いた声を出し、僕も息を呑んだ。

 まさかそんな大切な事を言いに消えて居たとは思わなかったからだ。
 けど、スイさん、本当にリナのこと大切なんだなぁ。だって、抱きしめてる手、すごく優しい。

 彼女を傷つけないように力加減を配慮しているのがわかる。
 きっと龍だから気をつけないと小さなリナを傷つけてしまうのだろう。

「スイ、それ本当?本当に僕と結婚してくれるの?」
「ああ。だから、龍の国に戻っていた。こちらで住むと言いに行っていたのだ。だが、どうやらかなり君を困らせたらしい。すまない」

 シュンとするスイさんがなんだか可愛らしく、僕とリナは顔を見合わせ笑ってしまう。

「ふふ、なんだ。それなら僕に言ってから出て行ったらよかったのに……」
「びっくりさせたかったのだ。いつも、君に驚かされるばかりだからな」

 スイさんの言葉でリナとスイさんがとても仲良しなのがわかる。
 微笑ましい会話をする二人を見て、僕も今は隣にいないルナのことを思い出してしまう。

 ……僕もルナに会いたくなって来たなぁ……

 もしこの場にルナが居たら、綺麗な二人に感激していたと思う。
 見せられないのはすごく残念だ。

 するとスイさんがリナを抱きしめたまま、僕を見つめる。

「君は、少し変わっているな」
「え?どういうことですか?」
「スイ?」

 スイさんは抱きしめていたリナから手を離し、僕の目の前にくる。

 フェルもまぁまぁ背が高いが、スイさんの方が背が高い。

「何というか、不完全だ。そして何か隠し事をしているようにも見える」
「騎士様の隠し事?スイ、そう言うプライベートは聞いたら……」

 リナがスイさんの着物の裾を引っ張るが僕は、スイさんの綺麗な紫の瞳をみて、うなづく。

「流石は人外種ですね。僕の心を見抜くなんて……」

 そう言って僕は小さく呟いた。

「初めまして。水龍。僕はフェル・リターナー。転生者と言うものです。そして僕は貴方が言うように隠し事をしています。よければ聞いてくれませんか?」

 なんとなく、スイさんからは逃げれない気がした。彼には心すら見抜かれてる。そんな気すらして、ずっと心の中にある、ある隠し事を僕はこの場で話すことにしたのだった。








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