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魔法属性 sideルナ
しおりを挟む目が覚めると朝だった。
「おはようルナ。体調はどう?」
「フェル…おはよう」
昨日はパーティーを切り上げた後疲れて眠ってしまった。
「今日は魔法属性を調べるからね。それが終わったらお医者様に体見てもらって、その後は自由だよ」
「フェルも一緒に居てくれる?」
「いるよ。ただ、昼からは騎士団の方に顔を出すけど…」
そういえばフェルは騎士だ。という事は仕事もあると思う。
「ルナも来る?鍛錬するだけだし見学してもいいよ。それかお昼寝する?」
「フェルと行く」
一人で居るのは嫌だ。そう思い首を振ると、フェルは僕の額にキスをしてくれた。
「じゃあ一緒に行こうか。とりあえず準備しようね」
「うん」
僕はフェルと手を繋ぎ一緒に準備を始める。歯を磨いたり顔洗って、その後はフェルに服を着せてもらう。
「フェル…僕…男だよ」
「ルナは細いから女性ものが良く似合うよ」
「けど…恥ずかしいよ…… 」
フェルが着せてくれたのはふわりとしたピンク色のワンピース。
どう見ても女の子の服だ。
昨日のドレスはロングドレスだったけど、今日のは膝上で、しかも下着まで女性ものにされてしまった。
「ルナみて…」
「ん…」
鏡の前に連れてこられると、可愛らしいワンピースに身を包んだルナがいる。
確かにルナって女の子みたいに細いし白いからよく似合ってるワンピースが。
「恥ずかしがらなくても本当に可愛いから大丈夫だよ。魔法属性調べるとは言ってもお出かけだからおしゃれしないとね」
「ん…じゃあフェルもかっこよくなって…」
「わかった。少し待てる?」
「うん」
フェルは着ていたパジャマを脱いで、真っ白なシャツを着る。その上に黒の上着を着て、下は黒のズボン
騎士の制服とは違い、黒に身を包んだフェルは色気がある。
最後に魔法で剣を出す。黒い剣だ。
確かフェルが装備している剣の一本。
「これは黒翼の剣って言って魔物とかを倒すのに向いてるんだよ。ちなみに昨日の白の剣は白翼の剣。誓いの剣。あれはルナを守る時だけに使うからね」
フェルは黒翼の剣を腰に刺す。
本当に騎士様だ。
「フェル…かっこいい」
「ありがとう。ルナのお眼鏡に叶った?」
「叶ったよ。本当にかっこいい」
本当に本当にかっこいい。ドキドキする。
「ルナ」
「ぁ…フェル…」
フェルは僕を抱き寄せてキスをする。
触れるだけのキス。そのまま手を絡められる。
「大好き。ルナ…」
「僕も大好き。フェル……」
僕たちはもう一度キスをする。
「魔法属性が分かったら少しづつ魔法教えてあげるね」
「うん……フェルみたいに使いこなせるかな?」
「できるよ。それに魔法にも様々な使い方があるからね」
「そうなの?」
「そうだよ。攻撃だけじゃなくて補助とかも出来る。特に光魔法はそっちが多いんだ。攻撃も可能だけど」
「補助…」
ゲームではルナは邪神の力を使ってる。剣とかではなく攻撃魔法主体って感じだった。
けど…僕はフェルの助けになりたい。
「それぞれの属性にはそれなりに使い方があるから、ゆっくり慣れていこうね」
「そうするね」
「それじゃあ行こうか」
手を繋ぎ僕とフェルは部屋から出て、外に出る。
魔法属性を調べる場所は王立魔法機関っていう魔法の事を研究してる場所。
馬車に乗って、魔法機関に向かう。
「ルナ…」
「フェル…」
馬車の中で僕たちは手を繋ぐ。
僕はフェルに寄りかかり、フェルの指に自分の指を絡める。
特に言葉もなくただ吐息しか聞こえないけどそれでも安心できる。
そうして馬車に揺られて着いた先。
王立魔法機関。
大きな建物だ。
馬車から降りて、フェルに手を引かれて中に入る。
「すみません。魔法属性を調べたいのですが…」
「わかりました。突き当たりを右に行くと魔法結晶があります。そこで調べれます」
「ありがとうございます」
フェルは僕の手を引き、案内された場所に向かう。
僕は何も言わずにフェルに着いていく。
そして着いた先には大きな水晶があった。
「これで魔法属性を調べれるんだよ。この石に魔力を込めたら光が現れる。その色で魔法属性が分かるんだ」
「そうなんだ…じゃあしてみるね」
「うん」
僕はフェルと手を離して水晶に触れる。
そして目を閉じて、魔力を水晶に込める。
すると水晶の色が変わっていく。
「黄色と青と緑か。特に黄色の色が強いね」
「3つ?」
「そうだね。ルナは複属性なんだね。すごく珍しいよ。複属性の人は大体2種類だから」
「そうなんだ…っぅ!!」
「ルナ!!」
結晶を見ていると胸に痛みが走った。
「大丈夫?痛い?」
「大丈夫だよ。魔力使ったからかな?」
「3つも属性があるから体がついて行かなくても仕方ないよ。光属性が一番強いから魔法は光を主体にして、扱い慣れたら他の属性も使えるようにしようね」
「ありがとう。フェル」
まさか3つも属性があるなんて思わなかった。
けど、少しづつフェルの役にたてる魔法を覚えたいと思う。
「帰ろうか。お医者様も来るから」
「うん…」
フェルに横抱きにされ僕達は王立魔法機関を後にしたのだった。
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