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天使の血筋
しおりを挟む部屋に戻り、フェルに魔法で体を綺麗にしてもらった。
ネグリジェという寝る時に切るワンピースを着せられ、フェルもシャツと緩いズボンのみになる。
そうして寄り添っていたら、部屋のドアが叩かれ扉が開く。
入って来たのはお父様だ。
「フェル!ルナくん、大丈夫だったのか!?」
「僕は大丈夫だけど、ルナがアクアに酷いことされて……」
「そうだったのか…かわいそうに…」
「本当は僕が助けるべきだったのにルナの発作を起こすと言われて…」
するとお父様はフェルの手を握る。
「仕方ないことだ。発作を起こすと言われたら誰もが動けなくなる。ルナくんもよく耐えたね。アクアはこれからこの屋敷と騎士団に出入りはさせない。今回のも家には内緒できていたそうだ」
「そうだったのですね……」
「罪に問うこともできるがそれをしても貴族の罪はそこまで重くない。だから出入り禁止にしたから安心して欲しい」
「わかりました。ルナ。もう大丈夫だよ」
「うん…」
僕はほっとする。
「そしてここからが本題だ。現場を見てきた。ルナくん、キミは天使の血を引いている」
「天使?」
「ああ。この世界の秘密だ。王族にしか伝わっていない」
「え?」
フェルと僕は顔を見合わせる。
お父様は椅子に座る。
「この世界は実は、天使と悪魔そして妖精族と人間がいた。太古の話だけどね。妖精の力を引くものが今の魔法使い。私たちだね。そして、ごく稀に天使の血や悪魔の血を引く子がいる。しかし悪魔の力は天使の力はほとんどが現れることは無いんだよ」
「どうして現れないのですか?」
「妖精の血が強いからだ。妖精族は人間と交わることでしか子を宿せなかった。妖精は皆、女性だったから。普通なら子孫繁栄のために子を増やせば血は薄くなるが、妖精族はそうではない」
「まさか…逆?」
フェルは僕の手を握る。
「そうだ。妖精族は子孫を作ると子孫の血は強くなる。そして私たち魔法使いが生まれたが、強すぎる力に耐えられない子が現れた。それが不治の病だよ」
「っ…」
僕とフェルは何も言えない。だって妖精族なんて知らないから
けど、ゲームの名前はフェアリースクイズ
フェアリーなんてどこにも居ないと思ってたけどまさかこんな理由があったなんて……
隠しダンジョンとかあったのかな?そこで明かされそうな内容だ。
クリアしてないから分からないけど…
「そしてごく稀に天使の血や悪魔の血を持ち生まれる子もいる。天使の力や悪魔の力はほとんど現れないけど、ルナくんの場合、きっとかなり濃く血を受け継いだんだね」
「じゃあ僕は天使なの?」
「妖精と天使のハーフだね。とても美しく綺麗な種族だよ」
「そうなの?」
「ああ。私も昔一度だけ見たことがある。本当に美しく可愛らしいんだ。フェル、守り抜いてあげてね」
「分かってます」
フェルはお父様に頭を下げる。
「私は本当に素敵な子どもに恵まれてる。困った事があればすぐ言いなさい」
「わかりました」
「はい」
「じゃあ私はもう行くね。今日は休みにしたから、二人でゆっくり過ごせばいい。そういえば近くの広場でお祭りをすると聞いたから明日にでも行っておいで」
「ありがとう。父上」
「お父様、ありがとうございます」
お父様は部屋を出ていく。
「びっくりした。まさか3つの種族が居たなんて」
「うん」
「けどルナが天使なのは分かるな。可愛いもん」
「え?」
フェルは僕を抱きしめる。
「綺麗で可愛い。天使みたいって思ってたけど本当に天使だなんて嬉しい」
「あ、ありがとう……」
僕とフェルはキスをする。
そして、ゆっくりとベッドに寝転がる。
フェルの甘い匂いを嗅ぎながら、僕は目を閉じる。
そして意識は眠りに落ちてしまった。
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