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病の話
真相
しおりを挟むアクアの屋敷に着くと何かがおかしかった。
まずメイドがいない。それに使用人の男性すら見当たらない。
「変だな。アクアの家はメイドが沢山いるのに」
「何かあったのでは?」
「そうだろうけど……とりあえず入ってみるよ」
僕はドアを開ける。
中にも人の気配はない。
「不気味だな……」
「ご両親もいないなんて……」
「警戒して行こう」
剣に手を添えて、僕達は2階に上がる。
そして1つずつ部屋を開けた。
「アクア!」
「あら、フェル。来てくれたの?」
三つ目の部屋でアクアがいた。
魔法陣の上に座り、僕が呼べば微笑むが不気味な笑みだ。
「君がこの病の犯人なのか?」
「ええ、そうよ。ルナだけにするには難しかったから大掛かりな事になったけどルナは苦しんでくれたかしら?」
「お前!なんでそこまでルナを狙う!しかもこんなことして許されないだろ」
リアの言葉にアクアは笑う。
「だってフェルが悪いのよ。私の愛を断るから」
「僕はキミよりルナが好きなんだ。だから断った」
「なんであの子なのよ!フェルはいつもそう!ルナ、ルナって……そんなにルナがいいの?ただの平民なのに!!」
「平民でも僕はルナが好きなんだよ。幼なじみとして守りたいと思ってたからね」
するとアクアは立ち上がる。
「どうしてよ…ルナの何処がいいのよ?弱くて、闇堕ちまでして……最後は死ぬくせに!!」
「アクア、待って!なんでそれを君が……」
「うるさい!!」
「どわ!!」
強い風魔法で、僕達は吹き飛び、リアとアルトは壁に叩きつけられた。
「リア!アルト!!」
二人は気を失っている。
「アクア、どうしてキミがルナの末路を知っているんだ!?」
それは転生者しか知らない。知るはずがない。
するとアクアは笑う。
「だって私、転生者だから。そしてフェル貴方も転生者よね?」
「キミも転生者……」
「ええ、そうよ。そしてフェル、いや、深夜。貴方の恋人だったわ。なのに貴方はあちらでも私を愛してなかった」
僕は言葉が出ない。僕の恋人だった女性がアクアになってるなんて……
「あなたの心は別にあったわ。あの小さい男の子。けどあの子死んだけどね」
「え?」
前世で僕の未練として残ってる子だ。あの子が死んだ?
「そうよ。亡くなったわ。けど貴方の傍に転生してる。ルナとして」
「そんなこと……」
「ある筈ない?ううん。あるのよ。だから気に食わないわ。なんでルナが愛されるの?ゲームの話では私が愛されないと行けないのよ!!」
アクアは怒鳴る。そして小さく息を吐く。
「まぁいいわ。私がフェルと戦うのは今じゃない。フェル、真相が欲しいならルナに聞くといいわよ」
「っ……」
僕はアクアを見る。
「まぁ転生者であろうと関係ないけどね。私はいつか貴方を私のものにするんだから」
「アクア…僕は君のものにはならないよ」
「フェル……」
「例えルナが僕と同じ転生者でも、僕はルナを愛してる事に変わりはない!ルナを傷つけるなら僕は君と戦う」
「それでも私は貴方を自分のものにするわ。けどそれは今じゃない。今じゃないわ」
「アクア!!」
そう言ってアクアはその場から消えてしまう。
床にあった魔法陣は消えていた。
多分、魔法は解除したのだろう。
僕は座り込む。
「大変なことになった……」
まさかアクアが転生者なんて…しかも僕の恋人?
何人か付き合ったし、その中でアクアのような話し方をするのは一人しか思い当たらない。
「結衣…」
僕はアクアの転生前の名前を呟き、そして暫くここで休んで行くことにした。
ルナに会えば心配させてしまうと思ったからだ……
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