転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

病の話

帰還

家に戻って、僕達は父上にアクアの事を報告した。

「そうか。そんな事になっていたとは……アクアの事は私も調べる。今回の事件解決ありがとう」

父上は僕達に今日と明日はゆっくり休む様に言い、僕達は部屋に戻る。

ルナ達も発作は止まり部屋に戻っているという。

二人と別れて私室に入ると、ルナがベッドの上に座っている。

「フェル！おかえりなさい！」

「ルナ。ただいま。体調はどう？」

「良くなったよ。フェルが止めてくれたんだよね？」

ルナは目をうるませて僕を見る。

ルナを見るとアクアに言われたことなんてどうでもいいと思ってしまう。

ルナが転生者であの子だって言われてもそんな事もどうでもいい……僕はルナが大好きだ。

僕はルナを強く抱きしめる。

「フェル？」

「ごめんルナ。今はこうさせて？」

「いいよ。フェル、お疲れ様」

ルナは僕の背中に手を回す。

優しいルナ。僕の大切な人。

たとえ此処がゲームの世界で、僕とルナとアクアが転生者でも、そんな事どうでもいい。

だって僕はルナを愛してるから……

「ルナ…好き…だいす…」

「フェル？」

キスをしようとした時に、ルナの顔があの子と被った。

僕を見つめてたあの男の子。

あの子がルナなんだ。今のルナなんだ……

ゲームの中のルナも大好きだけど、今のルナはもっと好き。

「フェル？」

「ルナ。愛してる」

「っ！？僕も…愛してる」

そして僕達はキスをする。

アクアは僕達のこと決別させたかったのかもしれないが、そんな事させない。

だって僕はこの事件でもっとルナを好きになったのだから……

そう思い、ルナにもう一度キスを落としたのだった。



ただ少しだけ、キスに罪悪感が生まれた。

この罪悪感があんな事件になるなんて僕はこの時思ってすらなかったんだ……