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来訪者
しおりを挟む部屋に戻って来た僕とフェル。
フェルは僕に絵本を読み聞かせてくれる。
字が読めないから読みたい本はフェルが読んでくれるのだ。
するとドアが叩かれた。
「こんな時間に誰だろ?ちょっと待っててね。」
チュッとキスをされ、フェルはドアを開ける。
「フェル!会いたかったわ!!」
「アクア?どうして君が?」
ドアを開けると女性がフェルに抱きついた。
青の髪に青の瞳。
間違いない。アクアだ。
フェアリースクイズのヒロイン。
僕は胸がザワザワする。
「フェルがやっとあの平民の家から戻って来たと聞いたから来たのよ」
「平民って言い方は失礼だ。彼は僕の親友なんだよ?」
「けど平民よ!!あの子は、ってなんでルナがいるのよ!」
「ひっ!!」
アクアの言葉に僕は震え上がる。
「アクア、ルナは僕の恋人だ。父上も認めている」
「な、なんですって?酷いわ!!私はフェル、貴方の、婚約者よ!!」
「婚約は破棄したよ。僕はキミの婚約者じゃない。そして、ルナを傷つけるキミは僕に必要ない!!」
フェルは大きな声でアクアに言い、アクアを離す。
「アクア。僕は昔からキミが嫌いだ。ルナを虐めるキミが大嫌いだった。だからこれ以上僕の前にもルナの前にも現れないで…」
するとアクアは顔を覆ってしまう。
「酷いわフェル。私は貴方に相応しい女性になろうと…」
「大切な人を蔑むキミを相応しいとは思わないよ。キミを弟の婚約者にしようと父上に言ったけど破棄してもらう。弟の婚約者は純粋な貴族の、そうだな…アルトの妹にして貰おう」
「な、あ、アルトはただの騎士でしょ!?私の方が家柄も良いわよ!!」
「アルトの妹は君なんかよりよっぽど美しいよ。近衛。アクアを外に出し、今の私の言葉を父上にお伝えしろ」
「はっ!!」
いつの間にか近衛の方が数人現れ、アクアを取り押さえる。
「いや!いやよ!!フェル!」
「アクア。さよなら。二度と顔も見せないで」
「フェル!!」
アクアの声がしたがフェルはパタリと扉を閉める。
僕はフェルの背中に抱きつく。
「ルナ。ごめん、傷つけた」
「大丈夫…フェルこそ大丈夫?」
「僕は大丈夫だよ。アクアに言いたいこと言えたから…」
フェルは僕を抱きしめてくれる。
「ルナを傷つけるアクアなんて大嫌いだったんだ。大切な人を馬鹿にするあの子なんて…」
「フェル…」
きっとフェルはアクアに沢山僕の事を酷く言われたのだろう。
「絶対に離さないよ。何があってもルナを守るから」
「ありがとうフェル。僕もフェルから離れない」
僕達はキスをする。
あんなこと言われたあとだけど心がぽかぽかする。
フェルの愛が感じられてとても嬉しい。
そして僕はフェルにキスを送った。
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