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第1章 異世界に◯◯しました。
第10話
門番の男から聞いたとおりの場所を目指して顔面蒼白にしながら歩いていると、日本の結婚式場のような建物が見えてきた。ぽつぽつと人が入って行っているのが遠目に見えたので、それに続く。
教会へ入ると、大半が高齢者で椅子に座ってうつむき、うたた寝している人、読書をしている人等がいた。休憩所にも使われているようだ。既に祈りは済ませているのか、祈っている人はひとりもいなかった。
祈り方はさっぱりだったので、教会を管理しているであろうお姉さんに聞けば、国によって異なる場合もあるので、好きなように祈ればいいと言われた。
とはいえ、変な注目を浴びたくないので、床に正座して両手を胸の前で組む形で目を瞑った。
「目、開けていいよ」
涼やかで低い声に、閉じた目蓋を持ち上げてみれば、途方もなく続く地平線でも見えてきそうな真っ白な空間に神と思しき青年が一人佇んでいた。
その青年は、柔らかく微笑んだ。
「よくここまで来たね。地球から異世界転生してきたきみに対し、果たさなければならない使命はないよ。だから、この世界では自由気ままに生きるといい」
「……え?」
(今、この人……)
「待ってください……今、異世界転生っておっしゃいましたか? 転移ではなくて」
「あぁ、間違いなく転生だよ。きみはとっくに地球で死んでいる。お婆さんを庇って階段から落ちたことを覚えてない?」
「痛っ……⁉︎」
思い出そうとして、突如激しい頭痛に襲われる。両手で頭を押さえつけて暫くすると、ズキズキとした痛みが徐々にひいていった。
すると、フラッシュバックのように記憶のフィルムがなだれ込んできた。
「思い出したようだね」
しゃがんで頭を押さえつけていた両手の力を抜いて顔を上げて青年を見てみれば、神妙な面持ちでこちらを見つめる青年と視線が交わる。
「死にたいからって、命を粗末に扱うのはやめない?
本来、異世界人にはチートや加護を与えるのが一般的なんだけど、きみにそれを与えてしまえば、きみは誰かに頼ることをしなくなるだろう? だから、きみの場合は、誰かを頼ることを覚えた方がいいと思って、敢えて力を与えなかった。人を頼り、そして大切な人をつくって幸せになってほしい。それが、私の願いだよ」
そう言って、彼は私の頭をさらりと撫でた。髪を伝う温度がとても暖かく、酷く心地良かった。
(撫でられたの、いつぶりだっけ……)
目の前の青年は、創造神シューゼ。
私は彼の手によって、暇つぶしでこちらの世界で転生させられたらしい。何故、私だったのか。抽選でそうなったそうだ。
暇つぶしとはいえ、命ある生き物なので最後まで面倒は見るつもりだという。責任感のある神様で良かった。暇つぶしと言っている時点で責任もクソもないような気がするが、そこは深く考えないようにしておく。
そして、考えていた通り、この世界では奴隷制度が当たり前。女性の人口は少なく、一妻多夫制となっている。女性は貴重であるため、家で大切に囲われ、外にあまり出ることはない。万が一、女性がひとりで彷徨いていれば、人攫いに遭ってもおかしくないそうだ。
「それでは、いよいよお待ちかねの神の助言だ」
ごくり、と喉を鳴らす。
満面の笑みの神様。
「奴隷を買え」
「は?」
「以上」
「えっ、ちょ、待っ⁉︎」
創造神シューゼはパタリと姿を消して、私は教会で目を覚ました。もう一度、目を閉じても、彼が姿を現すことはなかった。
ということで、どうやら私は異世界に転移したのではなく、お婆さんを庇って死んで創造神シューゼの暇つぶしで、異世界に転生したようだ。
教会へ入ると、大半が高齢者で椅子に座ってうつむき、うたた寝している人、読書をしている人等がいた。休憩所にも使われているようだ。既に祈りは済ませているのか、祈っている人はひとりもいなかった。
祈り方はさっぱりだったので、教会を管理しているであろうお姉さんに聞けば、国によって異なる場合もあるので、好きなように祈ればいいと言われた。
とはいえ、変な注目を浴びたくないので、床に正座して両手を胸の前で組む形で目を瞑った。
「目、開けていいよ」
涼やかで低い声に、閉じた目蓋を持ち上げてみれば、途方もなく続く地平線でも見えてきそうな真っ白な空間に神と思しき青年が一人佇んでいた。
その青年は、柔らかく微笑んだ。
「よくここまで来たね。地球から異世界転生してきたきみに対し、果たさなければならない使命はないよ。だから、この世界では自由気ままに生きるといい」
「……え?」
(今、この人……)
「待ってください……今、異世界転生っておっしゃいましたか? 転移ではなくて」
「あぁ、間違いなく転生だよ。きみはとっくに地球で死んでいる。お婆さんを庇って階段から落ちたことを覚えてない?」
「痛っ……⁉︎」
思い出そうとして、突如激しい頭痛に襲われる。両手で頭を押さえつけて暫くすると、ズキズキとした痛みが徐々にひいていった。
すると、フラッシュバックのように記憶のフィルムがなだれ込んできた。
「思い出したようだね」
しゃがんで頭を押さえつけていた両手の力を抜いて顔を上げて青年を見てみれば、神妙な面持ちでこちらを見つめる青年と視線が交わる。
「死にたいからって、命を粗末に扱うのはやめない?
本来、異世界人にはチートや加護を与えるのが一般的なんだけど、きみにそれを与えてしまえば、きみは誰かに頼ることをしなくなるだろう? だから、きみの場合は、誰かを頼ることを覚えた方がいいと思って、敢えて力を与えなかった。人を頼り、そして大切な人をつくって幸せになってほしい。それが、私の願いだよ」
そう言って、彼は私の頭をさらりと撫でた。髪を伝う温度がとても暖かく、酷く心地良かった。
(撫でられたの、いつぶりだっけ……)
目の前の青年は、創造神シューゼ。
私は彼の手によって、暇つぶしでこちらの世界で転生させられたらしい。何故、私だったのか。抽選でそうなったそうだ。
暇つぶしとはいえ、命ある生き物なので最後まで面倒は見るつもりだという。責任感のある神様で良かった。暇つぶしと言っている時点で責任もクソもないような気がするが、そこは深く考えないようにしておく。
そして、考えていた通り、この世界では奴隷制度が当たり前。女性の人口は少なく、一妻多夫制となっている。女性は貴重であるため、家で大切に囲われ、外にあまり出ることはない。万が一、女性がひとりで彷徨いていれば、人攫いに遭ってもおかしくないそうだ。
「それでは、いよいよお待ちかねの神の助言だ」
ごくり、と喉を鳴らす。
満面の笑みの神様。
「奴隷を買え」
「は?」
「以上」
「えっ、ちょ、待っ⁉︎」
創造神シューゼはパタリと姿を消して、私は教会で目を覚ました。もう一度、目を閉じても、彼が姿を現すことはなかった。
ということで、どうやら私は異世界に転移したのではなく、お婆さんを庇って死んで創造神シューゼの暇つぶしで、異世界に転生したようだ。
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