【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

文字の大きさ
12 / 103
第1章 異世界に◯◯しました。

第11話

 肩まで伸びた艶やかなリーフグリーンのストレートの髪、ゴールデンイエローの瞳、雪のようなスノーホワイトの肌をした青年は、顔を歪めていた。まるで、痛みに耐えるかのように───。

 彼女はきっと無意識だったのだろう。ご老人を庇って、歩道橋に背を向け空に手を伸ばし、足が浮いて落ちた瞬間、ほっとし笑った表情を浮かべていたことに───。


 何故、その歳でそんな顔が出来てしまうのか。


 彼女の顔は、あまりにも大人びていた。

 歩道橋の下で、血溜まりをつくりながらうつ伏せになっている彼女の側へ寄り添う。

 暫くすると、彼女の肉体からベビーブルーとターコイズブルーの入り混じった透き通るような球体──魂がふわりと姿を現した。


 なんて綺麗な魂なんだろう。


 よく見てみれば、奥深くにミッドナイトブルーのような暗い色が見えてくる。これは、彼女の心の闇だ。

「いいかい? 今度はちゃんと幸せになるんだ」

 そして、彼女の魂を両手で包み込み、飲み干した。私の世界の者とするために。



***



 星と世界は、神の数だけ存在する。何百、何千、正確には一体どれだけあるのかは、どの神も把握しきれていないだろう。

 それでも管理してゆかなければならないから、第一領域、第二領域……というように区分され、その領域だけは他世界同士であっても把握しなければならないという決まりがある。

 年に一度、神たちが集まり、会議を行う。特に大きな問題があるわけではないので、毎度、報告会という名の親睦会になっているわけだが。

 私の管轄である第三世界は、第一領域に区分され、今回は出雲大社にて会議が行われる予定であり、第三世界の代表として私が赴くこととなった。

 どうしても、管轄外である他世界へ行くと神力は弱ってしまい人の形をとれないので、その世界の動物に憑依しなければならなくなる。

 少ない神力でどうにか出雲大社のある島根に身体をおろした私は、近くにいた野良の白猫に憑依した。

 出雲大社へ向かう途中、うっかり車にはねられてしまった。世界が違い、車というものを見慣れていなかったことで、上手く対処できなかったからなのだろう。

 はねられた衝撃で、憑依していた猫の肉体から弾き出された。

 神は滅多なことがない限り死ぬことはないが、猫が私の所為で死んでしまうことに心が痛んだ。そんな時に、彼女に助けられたのだった。

 たかが猫一匹、車にはねられても誰も見向きもしないというのに、彼女だけがその猫に駆け寄り、血塗れの小さな身体を抱え、動物病院へと走って行ったのだ。

 治療費はとても値が張り、子供が支払うのは簡単ではないだろうに。

 あの時は会議に遅れてしまうので、他の動物を探して、またそれに憑依したのだった。確か烏だったか。

 他とは違う彼女が何故だか気になって、私は足首まで伸びた長い

 そして、出雲大社での会議を無事に終えた後、日本で最高位の神である天照大御神に、彼女の記録を見せてもらえないか頼み込んだのだった。


感想 39

あなたにおすすめの小説

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう
ファンタジー
【火曜、木曜、土曜、に投稿中!】 千年前に起こった大戦を鎮めたのは、最強と恐れられ畏怖された「魔女」を冠する魔法使いだった。 月日は流れ千年後。「永久の魔女」の二つ名を持つ最強の魔法使いトキワ・ルカはふとしたことで眠ってしまいようやく目が覚める。 気がつくとそこは魔力の濃度が下がり魔法がおとぎ話と呼ばれるまでに落ちた世界だった。 代わりに魔術が存在している中、ルカは魔術師になるためアルカード魔術学校に転入する。 けれど最強の魔女は、有り余る力を隠しながらも周囲に存在をアピールしてしまい…… 最強の魔法使い「魔女」の名を冠するトキワ・ルカは、現代の魔術師たちを軽く凌駕し、さまざまな問題に現代の魔術師たちと巻き込まれていくのだった。 ※こちらの作品は小説家になろうやカクヨムでも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

騎士団長のお抱え薬師

衣更月
ファンタジー
辺境の町ハノンで暮らすイヴは、四大元素の火、風、水、土の属性から弾かれたハズレ属性、聖属性持ちだ。 聖属性持ちは意外と多く、ハズレ属性と言われるだけあって飽和状態。聖属性持ちの女性は結婚に逃げがちだが、イヴの年齢では結婚はできない。家業があれば良かったのだが、平民で天涯孤独となった身の上である。 後ろ盾は一切なく、自分の身は自分で守らなければならない。 なのに、求人依頼に聖属性は殆ど出ない。 そんな折、獣人の国が聖属性を募集していると話を聞き、出国を決意する。 場所は隣国。 しかもハノンの隣。 迎えに来たのは見上げるほど背の高い美丈夫で、なぜかイヴに威圧的な騎士団長だった。 大きな事件は起きないし、意外と獣人は優しい。なのに、団長だけは怖い。 イヴの団長克服の日々が始まる―ー―。 ※84話「再訪のランス」~画像生成AIで挿絵挿入しています。 気分転換での画像生成なので不定期(今後あるかは不明ですが)挿絵の注意をしてます。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。