【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第2章 奴隷を買いました。

第8話

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「なぁ、口は利けるように出来るか? あと目の方も外せるか?」

「承知致しました。それ以外は安全性のため、ご了承ください。外してすぐ、恐らくこの奴隷はスキルを使うでしょう。お客様は魔力量が多い為、大丈夫かと思いますが、恥ずかしながら私は魔力量があまり多くないものですから、魔力に当てられ気絶してしまいます。ですので、会話中のみ席を外しても宜しいでしょうか? ドアを出たところで待機しておりますので」

「あぁ……」

 改ざんの代償が今きたか。魔力550,000なんて書くんじゃなかった。そもそも他人のステータスなんか見たことなかったし……クソ……。

 そもそも魔力量ゼロの場合ってどうなるんだ? 死ぬの? 引くに引けず、ここにいる他ない。

 龍人の目隠しと口のマスクが外されると、蝶ネクタイの男はさっさと出て行った。

 ガチャリと冷たい音が鼓膜を叩き、ふたりきりになったことを自覚する。

 目隠しの時間が長かったためか、檻を挟んだ目の前の龍人の彼は、暫くの間、ぱちぱちと目の開閉を繰り返して、気怠げに顔を持ち上げこちらを見た。カージナルレッドの瞳と視線が交わる。薄暗く、身体のほとんどを鎖で覆われているため、どんな顔をしているのかはわからない。はっきり見えるのは、全体的なシルエットだ。だが、目を凝らして見てみると、鱗が見えた。

「珍しい、我のところに客とは。客を見たのは六十七年で初めてだ。随分と小さき客よな」

 そう言うと、彼は丸い目を細め、私をじっと見る。

「ほぅ、威圧が効かぬとは。魔力量も我をゆうに上回るか」

(威圧と鑑定を発動した……?)

 身体に異常はない。威圧は外した? 六十七年もこの状態ならそうなるか。でも次は当たるかもしれない。

 さっさと要件話して阻止してしまおう。

「貴方を三年雇いたい」

 三年もあれば、この世界に馴染めるだろう。きっと知り合いくらいはできるに違いない。奴隷を買ったからといって、いつまでも縛り付けておく気はない。

「買う、ではなくか?」

 戸惑いを隠せず、彼は首を傾げる。

「もとより、奴隷制度とは無縁のところから俺は来たので、人を買うとはあまり口にはしたくない。だが、信用に足る者が今いなくて困っている。だから三年間雇われてほしい。その後は解放し、一年程暮らせる金を渡そう」

「フハハハハハハ! 奴隷を雇う? 変わっておるなぁ」

 暫し続いていた笑いがおさまり、再び落ち着いた声で彼は話す。

「いいだろう、買うといい」

「因みに、いま国内に俺の家はない。今日のところは宿で我慢してほしい。今日中にほしい物があれば、出来る限りの範囲で準備するが何かあるか?」

 この頑丈な部屋に、鎖でがんじがらめにされていても、威圧や鑑定スキルが使えるってことは、主従契約を結んでも、ほとんど意味はないかもしれない。だったら、希望を聞いて少しでも不満を減らし信頼関係を築き、殺害されるリスクを下げた方がいいだろう。

「そうだな。最低限、食う物と服、それから風呂と寝る場所だな」

「それは安心してくれ。食べ物は屋台で買った物が沢山ある。服のサイズはわからないからここへ来る時ローブを買ってきた。出てすぐ、服と靴を買いに行こう。風呂と寝る場所はここらで評判のいい宿の一番高い部屋をとってきたから、大きな風呂がついているし、ベッドは一人一台あるから大丈夫だ」

「フハハハハハハ! 奴隷とは思えぬ高待遇よな。面白い!」

 その言葉に眉を顰める。

(高待遇、か)

 奴隷に対する扱いが、いかに酷いのか痛感させられる。

「では、あともう一人選んだら、迎えにくる」

「あぁ、楽しみに待っているぞ」

 私はこくりと頷き、彼に背を向け部屋を後にする。ガチャンと背後でドアの閉まる音がする。そして、待機していた蝶ネクタイの男に私は顔を向けた。

「あとひとり、医学に長けた者を」

「つっ………⁉︎ 承知しました」

 男は腰を折って恭しく礼をした。
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