【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第2章 奴隷を買いました。

第25話

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創造神シューゼ視点
─────────

 神力をより発揮しやすい場所は、教会や修道院だ。第一世界自然豊かな世界ネイチャーの日本でいうところの神社もそれに当てはまる。

 神力の元となっているのは、人々の信仰心だ。だから、力の源となる信仰心が直接得られる教会や修道院では、人の前に姿を現しやすくなる。

 実体を見せることは容易にできるが、頻繁に神が地上にまで降りて姿を見せるのは、あまり良しとされていない。それは、信仰心の薄れや災いの原因となり得るからだ。

 だから、直接実体は見せないが、偶に人の精神に潜り込み、助言をするくらいに留めている。

「おや? どこかの教会に入ったようだね」

 水晶を通して見てみれば彼女が教会で祈る姿が映し出された。彼女が映る水晶に右手をかざして、精神体を彼女の意識に飛ばす。

 すると、暗い意識下で目を瞑る彼女の姿があった。暗いので親指と人差し指を擦り合わせパチンと鳴らし、明るくした。

「目、開けていいよ」

 朝日に照らされたかのように瞼をぴくりと動かし、黒い瞳をゆっくり覗かせる。ぼおっとした様子で教会とは違う景色に周りを見渡し、彼女の瞳がようやく私を捉えた。

 なるべく警戒させないように、柔らかく微笑えみ彼女に話しかける。

「よくここまで来たね。地球から異世界転生してきたきみに対し、果たさなければならない使命はないよ。だから、この世界では自由気ままに生きるといい」

「……え?」

(果たして、彼女は受け入れられるだろうか)

 転生した事実を───。

「待ってください……今、異世界転生っておっしゃいましたか? 転移ではなくて」

「あぁ、間違いなく転生だよ。きみはとっくに地球で死んでいる。お婆さんを庇って階段から落ちたことを覚えてない?」

いっっ……⁉︎」

 思い出した衝撃で、彼女は両手で頭を押さえつけ、体勢を崩し蹲る。暫くして落ち着いたのか、彼女は頭上に置かれた手の力を緩めはじめた。

「思い出したようだね」

 彼女と視線が交わる。

「死にたいからって、命を粗末に扱うのはやめない?
 本来、異世界人にはチートや加護を与えるのが一般的なんだけど、きみにそれを与えてしまえば、きみは誰かに頼ることをしなくなるだろう? だから、きみの場合は、誰かを頼ることを覚えた方がいいと思って、敢えて力を与えなかった。人を頼り、そして大切な人をつくって幸せになってほしい。それが、私の願いだよ」

 ただチートや加護を与えなかっただけで、何も与えなかったわけではない。

 彼女がまた昔のように飢えに苦しむことのないよう、お金に困らないようにしたし、暮らしやすいようにステータスや身分証の改ざんも出来るようにしたし、さらにスキルや魔力を使用不可にしたことで、ようにした。生活は不便になるけど……。

 彼女の顔色が悪い。記憶を思い出したことで、混乱しているのだろう。私は彼女の頭を撫でながら神力を使って、疲労を取り除いてあげた。すると、彼女は私の手に擦り寄り頬を緩めた。

(まるで子猫のようだ……)

 年相応の表情かおを見て、少し安心した。

 それから彼女に、私が創造神シューゼであることを明かし、暇つぶしでこちらの世界で転生させた、ということにして説明した。

 敢えて詳しい説明をしない方が、この世界を楽しめるだろう、そう思ったからだ。

 そして、この世界には奴隷制度があり、女性の人口は少なく、一妻多夫制となっている。女性は貴重であるため、家で大切に囲われ、外にあまり出ることはない。万が一、女性がひとりで彷徨いていれば、人攫いに遭ってもおかしくない、ということを伝えた。

 緊張した面持ちで私の助言を待つ彼女に、満面の笑みで告げる。

「奴隷を買え」

 それのみを言い残し、さっさと私は帰ったのだった。

(はやく奴隷を買って、誰かを頼れるようになって……)


───そう願いながら。


***


 暫くして、水晶を覗いてみると彼女は奴隷商館から出てきたところだった。背後にいるローブを羽織ったほぼ裸足の男五人は、おそらく彼女が買った奴隷達だろう。

「さて、どんな奴隷を買ったのかな?」

 水晶で拡大し、彼らの顔を覗いてみれば、人外人外人外人外人外。

「人間いないじゃん⁉︎ しかも、よりにもよって奴隷の中でも問題のあるヤツ⁉︎ 嘘でしょ……」

 想定外の事態に、私は思わず頭を抱えた。

 奴隷を買うまでに一体何があったのだろうと巻き戻して見てみれば、彼女は三年後全ての奴隷を解放するようだ。

「これでは奴隷が彼女を助けるんじゃなくて、彼女が奴隷を助けることになるのでは……?」

(取り敢えず暫くは見守るとしよう……)


 "静観"それが創造神シューゼの判断だった。

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