【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第3章 奴隷と暮らすまで

第24話

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 新聞販売店を出て、歩きながらノートにチェックを入れ、確認する。

「あとは、治療器具と医学書、薬品……だな」

(薬品は『ローダの薬屋』で買うとして……)

「治療器具と医学書はどこで売っている?」

 進む足を止め振り返り、狐人を見る。

「大体は治療院近くにあるかな? 大きな治療院のところだと、納品しやすいようにすぐ側に治療器具の店があるよ。ほら、あそこだと大きいし、近くにあるんじゃないかな?」

 そう言って、狐人が親指で指差す先へ顔を向ければ、横に長い長方形でクリムゾンレッドの建物が見えた。

「あの平らな屋根で赤褐色の建物か?」

「そうそう」

(病院のわりに派手な色だな……)

 ノートをアイテムボックスへしまい、私たちはその建物の方向へ向かった。


***


 目の前にそびえ立つのは、遠目に見ていた通りの横に長い長方形でクリムゾンレッドの建物。そして、窓は縦に長い長方形のスライドガラスで、室内の換気のためか複数開放され、カーテンがふわりと膨らんだり萎んだりを繰り返している。

 用事があるのはここではなく、その周辺の店舗だが。

「あのさぁ、医学書って結構高額なんだけど大丈夫?」

「別にかまわない。店舗ごと買えるくらいの余裕はあるからな。主治医としての職務を全うできるようにしっかり揃えてくれ」

 医学だけには留まらず、マニアックな本が並ぶ『専門書店』や『治療器具専門店』といった複数の店舗を回って行った。

 素人の私にはよくわからないが、狐人は同じような器具を手に取っては見比べるのを繰り返しているから、メーカーによって使いやすいものがあるんだろうかと思った。

 特に狐人は獣人だから、獣人の手に馴染む器具を探すのにじっくり選んでいたのかもしれない。

(そういえば……手、大きいもんな)

 狐人のわりには、随分と真剣に時間をかけて選んでいる。仕事とプライベートをしっかり使い分けるタイプなのかもしれない。へらりとした軽い性格が今後の主治医としての仕事に影響しなさそうで安心した。

 あくまで私の想像でしかないが、「ま、これでいいんじゃない?」と適当な治療をされたら最悪だ。その場面を脳内に浮かべて思わず苦虫を潰したような複雑な表情かおになる。命従紋があるから、最悪の事態は免れられるだろうが、その力が働かないようになるべく自分の意思で動いてほしい。

「なんかさぁ、失礼なこと考えてない?」

「いや?」

 いつのまにか狐人が目の前にいた。ローブの奥から黒い笑顔を覗かせる狐人に対し反射的に返す。反射的に答えてしまったのは、図星だったからだろう。その態度が裏目に出ていないことを祈る。

「ふぅ~ん」と言って他に何か言いたそうな顔をしていたが、それ以上追求はされず、狐人は私に背を向けて店内を回って行った。追求から逃れた私は静かに息を吐いてほっと肩の力を抜いた。

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