【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第4章 奴隷と暮らす

第6話

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 奴隷に堕とされてから始まったのは、調教だった。基本的な挨拶や作法は騎士だった頃に叩き込まれているし、台詞セリフ覚えも良かったので特に何も言われることはなかった。

 だが、少しでも反抗的な目を向けると、数時間ほど鞭で打たれ続ける羽目になるから、常に頭を下げ俯いて過ごすようにした。

 食事量は、奴隷の身分であるからとても少なく、小さな固いパン二つと、一杯のスープと水だった。この食事制限も、奴隷から気力を奪うためなのだろう。

 疲れて冷たい床で眠る度に悪夢を見る。内容はいつも同じで、大勢の民と俺の家族が出てくる。『何で助けてくれなかった⁉︎』『私の子どもを返してよ!』『アンタ騎士だろうが! 一体、何の為の騎士だよ⁉︎』『兄さんの所為で俺たちは死んだ』『兄貴、何でまだ生きてんの?』……俺を非難する声が絶え間なく続く。

 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う‼︎ 俺はただ………守りたかっただけなのに……。

『嘘つき』『本当は、生き残れてラッキーとか思ってんだろ?』

(思ってない!)

 狼人の姿をとっていた彼らが血塗れに染まってゆき、俺との距離を詰めてくる。血は口から溢れ、目から流れ、もはや狼人でも何でもない化け物の姿に変貌していく。

 そんな悪夢が朝になるまで続きうなされ、目を覚ませば毎回汗だくになっている。段々と調教を受けている時の方が楽になっていった。ただ言われたことをやっていれば、それだけを考えることに集中できるから。

 奴隷として過ごしてから、様々な奴隷商館を転々とした。捕虜だった俺は、いつも売れ残り、たらい回しにされていたのだ。誰かに買われるよりはマシだと思っていたので、それで良かった。転々としていると、商館の従業員から様々な情報が飛んでくる。どれもこれも大した内容じゃなかったが、この日ばかりは違った。

「ノワール王国、滅んだらしいぜ」

(滅んだ⁉︎)

 その興味深い従業員の会話に耳をそば立てた。

「マジかよ」

「マジマジ、今日の新聞に載ってたぜ。あそこの国、評判悪いし迷惑してたから、周辺の国で同盟組んで一気に潰したんだとよ」

「え、じゃあ狼人国アレクセイの奴等はどうなるんだ?」

「上手く逃げた奴等はまた狼人国アレクセイに戻ってくるんじゃね?」

 戻って、くる───────?

 ふと思い出した。

(弟たちは、今も生きているのか……?)

 あの日から、弟たちの生存確認が出来ていない。上手く逃げ延びたのか、殺されたか、それとも俺と同じように……。

(頼む……生きていてくれ!)

 組んだ両手を額につけ、俺はただただ祈ることだけしか、出来なかった。


 
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