【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第4章 奴隷と暮らす

第27話

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 ローダの薬屋から出て来たご主人様と合流した後、今朝までいた宿へ戻って荷物を回収しに行った。

 それから、食料品を買って俺たちは、今日買った屋敷にまた戻ってきた。

 屋敷のドアを開け、玄関の灯りをつけたご主人様は広々とした玄関の中央まで行くと、二階へと続く階段を暫く見上げていた。

「今日からここが俺たちの家だ」

 背を向けたまま、そう言ったご主人様の声が響き渡る。そして、フードを剥ぎ取り、髪を額から後頭部にかけて掻き上げ振り返ったご主人様は、俺たちの顔を順番に見ると、まるで蕾が花開いたかのような柔らかな笑みを向けて言った。

「これから、宜しく頼む」

 その表情かおに心臓が高鳴り、俺は息を呑んだ。

「「「「「はい!(あぁ)(うん)」」」」」

 早く返事をしなければと焦り、「はい」と発した声が強く出てしまった。

 俺たちの返事を聞いたご主人様は、また笑った。ご主人様と出会ってから初めて見る、優しい笑顔だった。

(顔が……熱い)

 それに、さっきから心臓が煩い。

 動悸を抑えるために、俺は深呼吸するが戻らなかった。恐らく疲れているのだろう。


***


 それから、俺たちは夕食を食べることになったのだが、まさかご主人様自ら作るとは思いもしなかった。エルフは家事奴隷だったので、てっきり彼に任せるのかと思っていた。

 エルフとキッチンに立つご主人様の手際は良かった。料理をすることにとても手慣れているようで、無駄がない。細くて綺麗な手をしていたため、普段から手が汚れたり荒れたりしてしまうような作業はしていないのかと思っていた。

 出された料理は、シンプルで野菜と肉を煮込んだものだった。初めて嗅ぐ料理の香りに戸惑いつつも口に入れた。

(美味しい……)

 野菜にしっかり味が染み込んでいるし、時間をかけて煮込まれていたから柔らかくて食べやすい。一口目は薄く感じるが、二口三口と料理を口に運べば味に深みが増すから、丁度いい。胃もたれしない優しい味は、有難い。

「優しい、味がする……」

 ぽつりと鬼人が呟く。

 すると、ご主人様が席を立ってキッチンから調味料を持ってきて、「薄かったらこれを足すといい」と、鬼人の前に醤油を置いた。

「こやつはそういう意味で言ったのではないと思うのだが……」

 龍人のその言葉に、俺は心の中で同意した。

 その後に出された米というものも、美味しかった。米自体は知っていたが、元よりパンを主食としていたので奴隷になる前も口にしたことがなかった。

 米はもちもちしていて、不思議な食感だった。すぐに唾液を含んで小さくなるパンとは違い、米は噛まないとなくならない。よく噛むため、腹もすぐに膨れた。

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