僕が告白した年上彼女は全方面で僕に勝ってくる

サンプラスにちお

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ボウリング場でカッコつけ…られない!!

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登場人物
川野武 16歳 高2 178cm
中山絵理 17歳 高3 152cm
竹村友恵 18歳 高3 161cm
瀬戸口学 17歳 高2 170cm

キーンコーンカーンコーン。とある夏の放課後のことである。

勉強熱心な川野武は、その日は部活が休みということもあり、帰りのホームルームが終わるやいなや、鞄から数学の参考書を取り出した。

期末テストに向けて今回の試験範囲をさらっておこうと、ペンケースから三色ボールペンを取り出したその時…。

「たけし~、また勉強かよ~。あんまり根詰めないで少しはアートの世界にでも触れたらどうだ?」
「ん?…なんだ学か。」
「なんだとは随分だな。そんなにガリガリばっかりやってると、愛しの彼女ちゃんにも愛想尽かされちまうぞ。」
「う、うるさい、余計なお世話だ!…ところで学は今日は部活は?」
「見りゃ分かるだろ。これから音楽室に行くんだよ。」

瀬戸口学。武のクラスメートで、室内楽部に所属している。室内楽部は、弦楽器を中心に合奏などの練習に取り組んでいる文化部だ。学が背中に背負っているのはヴァイオリンのケース。学は幼少時からヴァイオリンを習い続けているのだ。

「そうか、今はどんな曲を練習してるんだ?」
「ドヴォルザークの弦楽四重奏"アメリカ"。秋には音楽祭があるからな。この夏が天王山ってとこさ。」
「そうか…。…お前に言われたからじゃないが、俺もたまにはクラシックでも聴いてみようかな。」
「おっ、その気になったか!今度俺の一番のお気に入りCD、バックハウスのベートーヴェン四大ピアノソナタ集を貸してやるよ。世界変わるぜ~?」
「お、おう。なんだかよく分からんが楽しみにしてるよ。」
「おっと、もうこんな時間か。じゃあ俺部活行くから。お前も芸術に触れるために、たまには覗きに来いよ!」

学とは、気負わずに軽口を叩き合える。ぶっきらぼうに応対する武だったが、学の存在は武の中で決して小さなものではなかった。

(俺もあいつみたいに、手放しで夢中になれる世界があればな…お前が羨ましいよ、学)

武がそんな考えを巡らせていた時。

「た~け~し~くんっ☆」

教室のドアのところに、武の恋人の中山絵理が元気良く姿を現した。

「お、おい、中山先輩だぜ。」
「いつ見ても、ちっこくて可愛いよなぁ。」
「くぅぅ~、天真爛漫系学園のヒロインが、今まさに降臨されましたゾォォ~!」

教室の男子達がざわつき始めた。学年は違えども、絵理の存在は二年生男子の間でも有名だった。

「川野の奴、あんなに可愛い先輩と付き合ってるんだぜ。」
「羨ましいよなぁ。」
「くぅぅ~、許すまジィィ!!」

男子達の視線もお構いなしに、絵理は武の机のところまでトコトコと走ってきた。

「えりちゃん、どうしたの?教室まで来るなんて珍しいじゃない。」
「聞いて聞いて!この間友恵とボウリングに行ったんだけどさ、キャンペーン中だったみたいで、一日無料のペアチケットもらっちゃったの♪」
「そうなんだ!大盤振る舞いだね。」
「それも嬉しいんだけどさぁ、たけしくん聞いてよ~、友恵ったらボウリング、てんでダメなの!もう何度投げてもガーターガーターでwしまいにはお店の人にガーター上げてもらってプレイしたよ~、あれ子供の時以来だなぁ~。」
「へぇ~、竹村先輩って何でもそつなくこなすイメージだけど、そんな一面があったんだ。なんか親近感湧くなぁ。」
「でしょ~!?もうホント可愛くて!」

武と絵理のカップルは、話を始めると、言葉に詰まるということがほとんど無い。口下手な武を絵理が圧倒的コミュニケーション力でフォローしているという事情はあるにせよ。

「あぁそうそう、本題本題!せっかく無料チケットがあるんだから、たけしくん一緒にボウリング行こっ☆」
「うん、もちろんいいよ。たまには遊ばないとね。」
「たけしくんは遊ばなさすぎぃ~!そんな頑張り屋さんのたけしくんを遊びに連れ出してあげるのは、私の使命なのです♪」
「あはは、嬉しいよ、ありがとう、えりちゃん。」

武は自然と絵理の手を優しく握り、感謝の気持ちを示したのだった。

そして、ボウリングデート当日。

「あっついね~!まさに夏本番!ってやつだね!」
「そうだね。」
「今日はこの暑さに負けないぐらい、熱~く盛り上がっていこうね、たけしくん!」
「あはは、えりちゃんはいつでも元気いっぱいだね。」
「当ったり前よ~☆元気のない私なんて、桑田さんの抜けたサザンみたいなもんだから!」
「例えが上手いなぁ!よ~し、今日は俺も気合い入れていくよ~!」
「おぉ~~!!」

二人は手続きを済ませ、シューズを借り、自分の腕力に合ったボールを選んだ。そして、和やかな雰囲気の中ゲームが始まったのだった。

「まずは俺の番だね。よっと、……それっ!」

武の初球は、無情にもガーターに吸い込まれていった。

「ありゃりゃ…。」
「たけしくん、ガンバって!ファイト♡」
「よ~し、それっ!」

ポク。

「あははは、一本!!たけしくん、もしかして笑い取りにいってる?w」
「ち、違うよ、真剣にやってるよ!」
「あはは!それってなおさら可笑しいかも!wホントたけしくんは期待を裏切らないねぇ♪そんなたけしくんが好き♡」

武は不意打ちで愛の告白をされて、頬があっという間に紅潮してしまうのだった。

「私の番だね~、えいっ!」

カラカラカコーン!

「あぁ、惜しいね!9本だ。」
「くぅ~、なんか悔しい!絶対スペア取ってやるぅ!…えいっ!」

絵理は針の穴を通すコントロールで、右端に残った一本を倒してみせた。

「すごい、えりちゃんナイスコントロール!」
「やったぁ、スペア!へへ~ん、どんなもんよっ☆」

そんな調子で和気あいあいとした雰囲気の中、ゲームは進んでいった。

武は最終投球の直前までストライクもスペアも取れなかった。一方の絵理は、ストライク3回、スペア3回と見事な投球を見せたのだ。

そして武の最終投球。

「たけしくんガンバっ!意地を見せてよね!また愛する彼女に負けちゃうよ~?♪あ、もうスコア的に逆転は無理か☆」
「え、えりちゃ~ん、意地悪言わないでよ~。」
「あはは、応援してるのは本当だよ!最後こそストライク取れるといいね!」
「よ~し、…それっ!」

カラカラカーン!

「あ、惜しい~!9本だぁ、たけしくん、次は私のために絶対スペア取ってね!」
「よぉし、この一投を、愛するえりちゃんに捧げるよっ、えいやっ!!」
「あ、たけしくん、そんなにリキんだら…!」

すってんころりん。

武はテニスの時に続いて、盛大に尻餅をついてしまったのだった。ボールはもちろんガーターに吸い込まれていった。

「いっててて…」
「あ~はははは!!たけしくん、もう私、笑いが止まんない、あははは!涙が出ちゃうよぉ、たけしくん、芸人の才能あるんじゃない!?私、応援するよ!収入が不安定でも私が稼いで養ってあげるから♡」
「え、えりちゃ~ん、笑いすぎだってば~、いててて……」

その後、絵理は最終投球で華麗に3連続ストライクを決めて見せたのだった。武の連敗記録は、またも更新されることとなってしまったのだった…。

「あぁ~楽しかった☆たけしくん、また私に負けちゃったね~。ホントによわよわなんだから~♪でも、そんなたけしくんのことも大好きだから安心してね!何があっても私が何とかしてあげるから♡」
「うぅ、ぐすっ、えりちゃんありがとう、嬉しいよぉ…。」

武は今までのように大泣きするということはなかった。彼も日々精神的に成長しているのだ。

こうして、二人の仲睦まじいボウリングデートは幕を閉じたのだった。次こそは、武は連敗記録に終止符を打つことができるのか?はたまた、絵理が圧倒的強さで勝ち続けるのか?二人の熱い愛のバトルは続くのであった…。

通算戦績
武 0勝4敗
絵理 4勝0敗

つづく
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