勇者と魔王は真実の愛を求めて異世界を渡り行く

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勇者と魔王は突如現れた悪戯好きな神様に異世界へ飛ばされることになりました。 Prototype

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 無限に広がる大宇宙の中にある一つの星。その星には魔族と呼ばれる生き物と人間と呼ばれる生き物がその星の大陸を丁度半分にして、お互いに干渉することなく暮らしていました。 
しかしお互いに干渉していなかった魔族と人間はそれぞれ人口増加と文明開化を重ねていく内に、お互いの存在を少しずつ認識するようになりました。 
ところが魔族と人間がお互いを認識し始めた時、文明開化と人口増加によって人々が暮らせる土地はそれぞれ無くなり始めていました。 
これらの問題に目を通し始めた魔族と人間の王は、これらの問題の解決を踏まえてお互いに国境を越えて会談の場を設けるなどして、交流を深めてこれらの問題を解決しようとしていました。 
しかし二人の王は幾度となく交流を深めましたが、衝突し合うばかりで一向に二つの国の仲は深まらず、人間と魔族はどんどん仲が悪くなってしまいました。 
こうしてお互いの国の仲が悪くなる中で、それぞれの抱えていた問題は遥かに予想を超える速さで膨らみ、二つの国を苦しみに陥れました。 
これらの問題に苛立ちを強く感じ始めた二人の王は、『これらの問題は私が悪いのではない、悪いのは全て我々を認めようとしないあの王が悪いのだ。』と二つの国はついに自分の国の問題の解決の為に、相手の国を侵略しようと対立を始めてしまいました。 
しかし侵略を目的とした戦争は月日をいくら重ねても終わらない状況が続きましたが、二つの国の王が何度と変わったとしても対立を辞めようとはしませんでした。 
こうして戦争に決着がつかず、数千年という月日がいつの間にか経っていました。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おおおおおぉぉぉっ!!」 
 
「ぐはぁっ!!」 
 
暗い空からの僅かな光が差し込む黒い城の中、剣を持った一人の人間とその仲間たちは立ちふさがる魔族達を力ずくで払いのけて目的地へと駆け足で向かっていた。 
 
「通すな!魔王様の元へ絶対に勇者たちを入れるな!!」 
 
「おおっ!!」 
 
地位が高い一人の魔族の指示と共に、迫力ある大きな掛け声と共に勇者たちの倍以上ある魔族はそれぞれ手に武器を持ち、血走った目で勇者たちを殺そうと真正面から迫ってきていた。 
 
「はぁぁぁぁぁっ!」 
 
勇者との距離が縮まり、魔族の一人は勇者めがけて強烈な一撃を交えた剣を振り下ろす。しかし 
 
「っ!!」 
 
その一撃は虚しくも勇者の剣によって轟音と共に軽くあしらわれ、振りかざした剣が魔族の手から離れた時 
 
「はっ!!」 
 
片手剣とは思えない重い一撃を乗せた勇者の剣は魔族の胸元を容赦なく切り裂いた。 
 
「かっ…、ぁ…。」 
 
酷く生々しい音を立てて、魔族は肉の塊となって床に倒れこんだ。 
しかし勇者は慈悲無くその場を素早く後にし、向かってくる魔族も勇者と同じように倒れた仲間を気に掛けること無く、『勇者たちを必ず倒す』という殺意に意識を向け勇者たちに襲い掛かろうとする。 
 
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」 
 
「ハァァァァァァァァッ!!」 
 
「行けっ!!」 
 
魔族たちが遠距離から放たれた強力な魔弾・弓矢は空気を切り裂くかのように一斉に勇者めがけて飛んでくる。だが勇者は足を一切止めることなく真っすぐに突き進む。そして魔弾・弓矢が突き進む勇者との距離が2mと近縮まった時 
 
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…。」 
 
勇者の後ろから盾と剣を持ち、鎧を身に着けた金髪と青い瞳の青年が猛スピードで勇者を追い抜き 
 
「…ッ!」 
 
勢いよく地面を蹴り勇者の元へと放たれた魔弾と弓矢の目の前に自ら飛び込み盾を構えると 
 
「【シールド・プロテクション】!!」 
 
盾に魔力を込め、防御魔法をを発動して勇者に直撃するはずだった魔弾と弓矢を全て、爆発と共に身代わりとなり受け止めた。 
 
「仲間を犠牲にしないと進めない、人間というのは本当に無様だな!」 
 
先頭にいた魔族は盾となった勇者の仲間の勇気を嘲笑った。 
 
「…誰が無様だって?」 
 
「なっ…!?」 
 
並大抵の防御魔法を打ち崩すほどの強力な魔弾・弓矢を喰らったはずの青年は、かすり傷一つないまま黒い爆風を抜けて自分の勇気を嘲笑った魔族の目の前に瞬時にして現れた。 
 
「くっ…!くそっ…!!」 
 
いきなり目の前に現れた青年に驚いた魔族は何とか体制を戻して素早く剣を振り下ろそうとしたものの 
 
「【シールド・ナックル】!!」 
 
剣を振り下ろされる前に青年が放つ盾による強烈な打撃の一撃により、頭蓋骨が砕ける嫌な音と地獄のような痛みを交えて遥か後ろへ飛ばされてしまった。 
 
「…このぉっ!!」 
 
盾を大振りして隙だらけになった所を別方向から槍を構え、猛スピードで魔族の一人が青年の心臓に一撃を浴びせようとして、槍を猛威に振るい串刺しにしようとする。 
 
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
「ふっ!!」 
 
しかし青年は素早く体制を戻して、魔族の槍の一撃を完全に防ぐ。 
 
「なっ…!?」 
 
魔族は槍による一撃を跳ね返され、自身への反動で後ろへと足取りをフラつかせて後ろへと後退してしまう。 
そして青年は魔族がフラついた僅かな瞬間を逃さず 
 
「【アクア・スライシス】ッ!!」 
 
魔法により水属性となった切れ味が数倍増した剣で素早く二連続で魔族を切り裂いた。 
 
「ぅあ…。」 
 
魔族が倒れて完全に動かなくなった所を確認した青年は、剣に付いていた魔族の血を軽く振り払うと即座に勇者の元へと走って戻ってきた。 
 
「悪いアゼル!助かった!」 
 
「気にするな!お前は前だけ見て走れ!今はなるべく魔王を倒す事だけに集中しろ!!」 
 
青年は勇者の横に並び、城の長い通路を駆け抜けていく。しかし 
 
「おらぁっ!!」 
 
豪快な音と共に通路の大きな扉が開いて走る二人の後ろへ突然と数人の魔族が現れた。 
 
「…しまった!」 
 
突然と前と後ろで挟み撃ちにされた二人は思わず走るスピードを落としてしまい、後ろからくる魔族は思った以上の速さで二人の距離をどんどん縮めていく。 
 
(ヤバい…!俺が囮になるしか…!) 
 
後ろから来た魔族達は二人を追い詰めていき、勇者を守ろうと盾を構え立ち止まったアゼルへ一斉に攻撃を仕掛けていく。 
 
「死ねぇぇぇぇぇぇぇっ!」 
 
「くっ!」 
 
「アゼル!!」 
 
アゼルが魔族たちの一斉攻撃を死を持ってでも受けようと覚悟を決めた。 
 
「…【フィールズ・アイス・ショウズ】!!」 
 
だが間一髪でアゼルと追いかけてきた魔族たちの中心へ入り込んだ男性が槍を地面に突き刺した瞬間魔法で尖った氷が発生し、うまい具合に魔族たちを足止めした。 
 
「…全くアゼル、進むことも大切だがお前は一つ間を置いて少しでも冷静になろうとしろ!」 
 
「分かってるよニル…。いちいち言わなくって良いってーの!」 
 
「…ったく。まぁ、お前らの無茶にはもう慣れたけどなっ!!」 
 
ニルは地面に刺さった槍を改めて自分の手に取り、足止め代わりの氷を解除してアゼル達を後ろから攻撃しようとした魔族たちの中へと向かっていく。 
 
「チッ…!!邪魔しやがって…!!」 
 
あと少しでアゼルを倒せたかもしれないのに、攻撃を邪魔をされたことに腹を立てた魔族たちは怒りを露わにしてニルに向かっていく。 
 
「【フリーズ・ピック・ランス】」 
 
ニルの魔法の詠唱と共に槍の先端は強力な冷気を纏い、おぼろげな光を発する。 
 
「おらぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
魔族たちの一人がニルを返り討ちにしようと殴りかかろうとする。 
 
「…遅い。」 
 
しかしその殴りかかろうとする魔族の攻撃は全く当たらず、軽々と容易に避けていく。 
 
「クソッ…!!何で当たらない…!!」 
 
「…。」 
 
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 
 
魔族が我を少し我を忘れ無駄に大きく振りかぶって攻撃を仕掛けようとする。 
 
「…。」 
 
だがそれもあっさりとニルは避ける。そしてニルは少し我を忘れた魔族の懐へ 
 
「…ふっ!」 
 
冷気を纏った槍を突き出した。 
 
「くぅっ…!!」 
 
突如と走る痛みと冷たさに魔族は苦痛の表情を浮かべる。 
 
「…!」 
 
ニルの攻撃の手はこれだけでは止まらない。魔族に刺さった槍を一瞬で抜き、別方向にいる魔族にも槍の攻撃を的確に当てていく。 
 
「うぉっ…!」 
 
「…くぁっ!!」 
 
「うぐっ…。」 
 
近くにいた魔族全員に攻撃を終えたニルは槍の先端に付与していた魔法を解除して、その場を去ろうとする。 
 
「クソったれが…、なめやがって!!」 
 
だが攻撃を受けた魔族は傷口を抑えながらも全員立ち上がり、改めてニルに攻撃を仕掛けようとする。 
 
「結局誰一人殺せない臆病者が!!己のその無様な行いに恥て死ぬがいい!!」 
 
大きな怒りを露わにして魔族たちはニルの元へ向かってくる。 
 
「…。」 
 
危機的な状況で何故かニルは魔族たちのいる方向へ少しだけ振り返った。 
 
「うぉぁぁぁぁぁっ!!」 
 
あと少しで魔族の打撃がニルの顔面に入る。魔族は自分の一撃がニルに入ったと思った瞬間 
 
「がっ…!?」 
 
何故か魔族は足首を突然と掴まれたように、地面へと急に倒れ転んでいた。 
 
「なっ、何が…!?」 
 
倒れた原因が何なのかと魔族は慌てて足元を見る。 
 
「…!?」 
 
確認すると自身の足元が地面と同化するように凍りついており、さらに刺された傷口から広がるように凍り始めていた。 
 
「バカな…!いつの間に…!!」 
 
自身が凍りつきそうになるの必死に抑えるが、その抵抗も虚しく凍りつくのを抑えられない。 
 
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
「!」 
 
突然の仲間の悲鳴に魔族は周りを慌てて見る。 
 
「い、痛い…。止めて…くれ…!」 
 
「あ…、あぁぁ…。」 
 
「嫌だぁ!やめろ!やめろぉっ!!」 
 
ニルに攻撃を受けていた魔族たちは次々と凍りつていく。そして魔族は自身が凍りついていくことに冷たさと共に恐怖が強まっていくの強く感じてしまった。 
 
「…誰も殺せない臆病者か。」 
 
今まで黙っていたニルが静かに口を開き、魔族は少し震えながらニルの元を見る。 
 
「違うな。」 
 
見上げたニルの見下す視線は氷のように冷たく、強烈な威圧感を魔族に与えていた。 
 
「あ…、あぁ…。」 
 
その威圧感に魔族は耐えきれず『頼む、助けてくれ』と口を開こうとした。しかし身体を侵食する氷の冷たさと恐怖に言葉を発することが出来なかった。 
 
「俺はお前たちに、俺が出来る最も残酷な殺しを行っただけだ。」 
 
そう一言告げるとニルは魔族に背を向けその場を去った。 
 
「ぁ…。」 
 
助けを求めようとした魔族の全身が凍り付いた時、そこにあるのは見るも無残な魔族たちの凍り付いた姿だけであった。 
 
「…ニル!」 
 
魔族の元を去ったニルを呼び止める声が後ろから聞こえる。 
 
「リリィ、ルーフェ。来たか。」 
 
ニルが振り返ると二人の人間の女性がこちらに向かって走ってきていた。 
 
「はぁ、はぁ、はぁ…。」 
 
「リリィ、大丈夫?」 
 
「え、えぇ…。何とか。」 
 
「キツイと思ったら我慢せずにいつでも言って。ところでニル、状況はどうなってるの?」 
 
「二人は今先にいる魔族たちを撃退しながら魔王のいる玉座を目指してるところだ。」 
 
「勇者様とは今どれぐらい離れていますか?」 
 
「…だいぶ離れているとは思うが、今ならまだ二人に追いつけると思う。」 
 
「急ぎましょうか。」 
 
「はい。」 
 
勇者の後を追いかけようと三人は勇者が向かった方向へと走り出す。 
 
「はあっ!!」 
 
しかし、走り出したタイミングで別の扉と窓から魔族が襲い掛かってきた。 
 
「このタイミングで…!」 
 
「文句を言ってられる状況じゃないな。前方は俺が片付けるから二人は後方を頼む!」 
 
「分かった。リリィ、援護をお願い!」 
 
「はい!!」 
 
二手に分かれ三人は向かってくる魔族を撃退しようとそれぞれ身を構え応戦する。 
 
「…ハッ!」 
 
ニルは先ほどと同様に【フリーズ・ピック・ランス】を使い、魔族の攻撃を避けつつ、攻撃を当てて氷漬けにしていく。 
一方でルーフェはニルに負けじと魔族たちの入り乱れる攻撃を避けて、カウンターを交えた打撃を連続して叩き込んでいく。 
 
「こ、このデカ女…!!」 
 
「…!」 
 
『デカ女』と呼ばれたことがルーフェの気に障ったらしく、その怒りにより打撃はより鋭いものと化して更なる一撃を与える。 
 
「がっ…。」 
 
「ふぐっ…!」 
 
「チィッ!!バラバラに攻めるな!一気に畳みかけるんだ!」 
 
ひるんでいた魔族も立ち上がり、一網打尽にしようとルーフェに素早く襲い掛かろうとする。 
 
「…。」 
 
攻め込まれている状況でもルーフェは呼吸を少しも乱さずして落ち着いて構えて目を瞑る。 
 
「「「うおおおぉぉぉぉぉっ!!」」」 
 
4m…、3m…、2m… 
ギリギリまでに魔族たちを自分に近づけ、目を開いたルーフェは右手に急激に魔力を溜めて空気を思いっきりぶん殴った。 
 
「【ウィンド・インパクト】ッ!!」 
 
『バン!』ととても大きな爆発音のようなものが響き、ルーフェの右手から放たれた風と衝撃波は前方にいた魔族を容赦なく吹き飛ばし、魔族たちは所々から血を流しながら吹き飛び意識を失っていった。 
 
「はぁっ!!」 
 
しかし【ウィンド・インパクト】を放ってすぐに別方向の窓を破りルーフェに魔族たちが襲い掛かってくる。 
 
「…!」 
 
【ウィンド・インパクト】を放った反動でルーフェは動こうとしても少しも動けずにいた。 
 
「はあぁぁぁぁぁっ!!」 
 
ルーフェに魔族たちが剣を入れこもうとする。 
 
「【ボルテージ・バリア】」 
 
だがルーフェの周りを青白い電気を纏った球体の魔力の障壁が展開される。 
 
「!?」 
 
思わず驚いたものの、魔族たちは障壁ごとルーフェを切ろうとする。切ろうと障壁に触れた瞬間 
 
「「ギャアアァァァァァァァッ!!」」 
 
剣が電気を通し魔族の一人を感電させ、その際に魔族の一人に流れていた電気が暴発して周りにいた魔族も巻き込んだ。 
 
「ア…、ァ…。」 
 
電撃が流れ終わると魔族たちは原型を留めないほどの黒焦げとなり、バタバタと床に倒れこんだ。 
 
「…このっ!!」 
 
「!」 
 
だがリリーの後ろへ魔族がいつの間にか急接近している。 
 
「…リリィ!」 
 
「終わりだ!」 
 
斧による魔族の一撃はリリィに入ろうとする。 
 
「…はっ!」 
 
しかし魔族の斧の一撃は、リリィの高速で展開された魔法障壁により防がれる。 
 
「クソ…!!」 
 
遅れながらも駆け付けた魔族も加わり、リリィを滅多打ちにするように様々な箇所へ攻撃をするも魔法障壁はびくともせずにいる。 
 
「…。」 
 
「何だよこれ、ミスリルの盾かよ!?」 
 
「クソッ!クソッ!!」 
 
「ちっくしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
激情した魔族の一人がリリィに自身の全力の一撃を叩き込んだ。 
 
『バリン…』 
 
すると嫌な音を立て、何かが壊れる音がする。 
 
「へっ…。」 
 
リリィの魔法障壁が割れたと魔族は顔をにやけさせる。 
 
「…。」 
 
しかし、リリィの魔法障壁を確認するも魔法障壁にはヒビ一つすら入っていなかった。 
 
「なっ…!?」 
 
もしかしてと魔族は自分の愛用の斧をゆっくりと見る。 
 
「…バカな!?」 
 
斧の先端はすでに壊れており、先端部分は隣の壁に突き刺さっていた。 
 
「…貫け。」 
 
斧が壊れたことに唖然としていた魔族が、リリィの声に気が付き急いでリリィの方を向く。 
リリィは杖に魔力と電気を集中させ、壊れた斧を持った魔族に杖の先端を向ける。 
 
「【ボルト・ランス】!!」 
 
杖から放たれた槍のように細く長く鋭い電撃は、壊れた斧を持った魔族の心臓を鎧の上から簡単に貫ぬく。 
 
「くぁ…。」 
 
一瞬の内に命を奪われ、魔族は電撃に痺れながら膝をつきゆっくりと倒れこむ。 
そして【ボルト・ランス】はただ魔族を貫くだけでは終わらず、軌道を変えて他の魔族の心臓も貫いていく。 
 
「うぁ…。」 
 
「ぐへぇ…。」 
 
「…か。」 
 
【ボルト・ランス】が自然消滅すると同時にリリィを襲った魔族は全員動かなくなっていた。 
 
「ふぅ…。」 
 
「リリィ!ごめん、さっきはありがとう!」 
 
「いえいえ。大体はルーフェさんが片付けてくれたから、こっちもとても助かりました。」 
 
「とりあえず、ニルたちの所へ急ぎましょう。」 
 
「はい!」 
 
二人は急いで勇者達の元へと向かって走り出した。 
 
 
 
 
 
「はぁ…、はぁ…。」 
 
あれから先を目指し、途中で合流したニルと共に勇者たちは幾度と無く襲いかかってくる魔族たちを撃退して、大きな傷を負うことなく大きな扉の前に来ていた。 
 
「ここが魔王のいる玉座の間か…?」 
 
「…いや、玉座のある部屋ならもっと扉は大きいはずだ。可能性は低いだろう。」 
 
「しかし、リリィとルーフェは大丈夫だろうか…。」 
 
「おいおい、何しみったれてんだよ。らしくないなぁ。リリィはともかくあのデカ女がいりゃあ…。」 
 
「誰が『デカ女』だって…?」 
 
「!!!」 
 
後ろからいきなり聞こえた冷たい声に、顔色を悪くしながらアゼルが恐る恐る後ろを振り返ると、いつの間にかルーフェとリリィが到着しており、ルーフェが鬼が怒るかのような怒り顔で両手を鳴らしながらゆっくりアゼルに近づいて来ていた。 
 
「ル、ルーフェ!?ぶ、ぶ、無事で良かったな!なっ!?」 
 
「…あれだけ『デカ女』とは呼ばないで欲しいと言ったのに、アゼル貴方はまだ懲りていないようね…。」 
 
「ゴメン、ごめん、ごめんっ!!本当に悪かったから!!許して!!このとーり!!」 
 
「…まぁ、いいわ。」 
 
「…!!」 
 
「後で締め上げるから、覚悟するのね。」 
 
「!?」 
 
結局許してもらえず、アゼルは下を向いて項垂れた。 
 
「とりあえず、みんながここまで無事でよかった。」 
 
「勇者様たちも無事でよかったです!」 
 
「そうだな、本当に無事でよかった…。…それで話を戻すが、この扉の先は魔王のいる玉座である可能性はほとんど無いが魔王がいないとも限らない、気を引き締めていこう。」 
 
「あぁ…!いくぞ!!」 
 
勇者はみんなの前に立ち、慎重に扉を開ける。 
 
「「「「「…!」」」」」 
 
やはりニルの予想通りそこには魔王も玉座もその部屋は存在しておらず、その部屋はただ広い白色の広間があるだけであった。 
 
「予想以上に広いなここの広間は…。」 
 
「小さな窓が上に数ヶ所と上に何かしらの通路が一つあるだけで、特に【マジック・トラップ】等の魔法はありません。」 
 
「…ここは行き止まりなのか?」 
 
「…いいえ。あそこに螺旋階段があるわ。」 
 
ルーフェが指を示す先に異様な程に豪華に飾り付けられた大きな螺旋階段が目立つように存在していた。 
 
「異様な位に目立ってるな…。」 
 
「だけど、見る限り上の通路へ行くにはあそこの階段を使うしかないようね。」 
 
「もしも【マジック・トラップ】等があった場合は私が何とかします。また先ほどのように魔族たちに見つかって戦闘をするのは、あまりにも時間の無駄です。急ぎましょう。」 
 
リリィの案に4人は賛成し、首を縦に振った。 
 
「…ほぉ?誰があなた方を逃がすとでも?」 
 
「「「「「!!」」」」」 
 
突如と現れた不気味な声に、5人は一斉に声のする方向へ振り返る。 
すると振り返った先には広間の中心に先程まで存在していなかった赤い魔法陣がいつの間にか展開されており、そこから4つの影がズルズルと現れ始めたのだ。 
 
「いつの間に…!」 
 
5人は先程の魔族たちとは桁違いの圧倒的な力をその不気味な魔法陣から嫌という程感じ取っていた。 
 
「【ゲート・ロックキング】」 
 
魔法陣の中に映る影の一つが左腕を前方に伸ばし、魔法を詠唱する。 
すると広間の扉は勢いよく乱暴な轟音立てて閉まり、『ガチャリ』と鍵を閉める音がした。 
 
(締め出された…!) 
 
「…よくぞ、ここまで倒れずに来られましたね…。」 
 
勇者たちを皮肉ながらも賞賛する声がすると、魔法陣が消えて4つの影はハッキリと姿を認識する事ができるようになった。 
 
「初めまして…。私は魔王様の忠実なる下僕にして魔王軍幹部総代表者、名を『エグマ・エクスブロージュ』と申します…。」 
 
三白眼でツリ目の羊の角を生やし執事服を着た男性は自己紹介を丁寧に行い、頭を下げて丁寧にお辞儀をした。 
 
「同じく俺も魔王様の忠実なる下僕にして、魔王軍幹部の最強の斧使い『ザザク・ベルモンテ』。」 
 
「同じく私も魔王様の忠実なる下僕にして、魔王軍幹部の最強の猫人の一人『スルシュ・ティフォールド』。」 
 
「そしてアタシも魔王様の忠実なる下僕にして、魔王軍幹部の最強の双剣士の一人『ラーナ・ニルフィ』。」 
 
そしてエグマの近くにいた3人の魔族もそれぞれ自己紹介を済ませ、軽くだが頭を下げた。 
 
「さて自己紹介はここまでにして…。勇者一行よ…、あなた方のような汚らわしい人間を偉大なる魔王様の前へ合わせる訳に行きません。」 
 
「「「「「…!」」」」」 
 
「…そしてあなた方はこの城に入る際に、絶対に払うべきである入場料を払っておりません…。」 
 
「「「「「…?」」」」」 
 
「…ですのでこの城への入場料は今の魔王様が最も欲するであろう、…………あなた方の汚れた命で払っていただきます。」 
 
「「「「「…!!」」」」」 
 
「…では。」 
 
エグマは話を終えた途端、目つきを更に鋭いもへ変化させる。そして魔力を下半身全体に伝え、瞬発力・スピード・パワーを一気に底上げして勇者たちとの距離を瞬時に詰める。 
 
「【眠りへ誘う羊の蹴り】」 
 
「ッ!!」 
 
剣を即座に抜き、蹴りこんできたエグマの攻撃を勇者は間一髪で防ぐ。 
 
「…ふむ。」 
 
「…!!」 
 
エグマの攻撃を勇者は跳ね返し、エグマは宙を一回転して少し後ろへと下がり少し衝撃で痺れた脚を気にしながらも体制を整える。 
 
「オオオオオオォォォォォッ!!」 
 
二人の激突が引き金となり、自身の身体と同じほどの大きさの斧を持ったザザクはアゼルに近づき勢いよく斧を振り下ろす。 
 
「うぐっ…!」 
 
盾が変形するかもしれないほど斧の威力と衝撃の苦痛に顔を歪めながらも、アゼルは何とかザザクの攻撃を防いでいく。 
 
「どうしたぁっ!?勇者様は強くてもお前はただのザコに過ぎないのかぁ!?」 
 
「ぐあっ…!」 
 
「そのままぶっ潰れろ!!【バスター・アクスノイド】ッ!!」 
 
「…舐めるな!【シールド・ナックル】ッ!!」 
 
魔法により異常なまでに強化されたザザクの振りろされた斧をアゼルは堪えて押し返すようにしてザザクの斧を盾で弾き飛ばす。 
 
「…チィッ!!」 
 
「【アクア・スライシス】ッ!!」 
 
アゼルは一歩踏み出し、二連続の水の刃をザザクに叩き込む。 
 
「フッ!!」 
 
だが惜しくも斧を素早く持ち直したザザクにその二連撃は届かなかった。 
 
「くそっ…!!」 
 
「…ガキが!やりやがる…!!」 
 
こうした激戦の中で、ルーフェ・ニルも二人の幹部に苦しめられていく。 
 
「ニャアアアアアアァァァァッ!!」 
 
「くっ…!!」 
 
鉤爪を両手に装備する猫人のスルシュは高い瞬発力とスピードでニルの顔元を狙い攻撃を仕掛ける。高い瞬発力とスピードを持つはずのニルも一歩及ばずに、【フリーズ・ピック・ランス】で強化した槍を入れようとしても魔力で強化された鉤爪に防がれていく。 
 
「【キャット・ハント】ッ!!」 
 
顔の肉を削ぎ落とそうとして魔法で更に強化された鉤爪は息をつく間もなくニルへ向かってくる。 
 
「…ッ!!」 
 
だが、何とかそれをニルは間一髪で避ける。 
そして圧倒的に隙がスルシュに生まれ、それをニルは逃さなかった。 
 
「…【アイス・スピット】!」 
 
【フリーズ・ピック・ランス】に更に魔法を上乗せして更に強力となった槍をスルシュへ向けて放つ。 
 
「シィ…!!」 
 
しかし隙が生まれたはずだったスルシュは、猫人としてある身体の柔軟さを生かして余裕にニルの槍を避ける。 
 
「…くっ!」 
 
槍を避けたスルシュはニルから少し離れ即座に体制を立て直すと、鉤爪を構えて瞬時にニルに襲いかかる。 
 
「…【キャット・ハンツ】ッ!!」 
 
先程の【キャット・ハント】とは威力が少し落ちているものの、スピードが上がった連続攻撃は避けるので精一杯となるほどにニルを苦しめる。 
 
「うっ…!」 
 
「ニャアアアアアァァァァッ!!」 
 
ついに避けきれなくなったニルへ、スルシュの【キャット・ハンツ】が入り込む。 
 
「【ウィンド・ナックル】ッ!!」 
 
しかしそこへルーフェがギリギリでニルとスルシュの間へ入り込み、魔法により強化された拳がスルシュのみぞおちへめり込むようにして入る。 
 
「ゴホッ…!!」 
 
身体を浮かせてスルシュは1m後ろへ飛ぶ。そして地面に着地しても痛みが引かず下を向いて、その痛みに抗う。 
 
「…悪い。」 
 
「大丈夫!気にしないで!」 
 
「よく言葉を交わす余裕があるなぁ!?」 
 
「!」 
 
そこへ2本の短剣を構え、強い怒りを露わにしたラーナがルーフェを襲う。 
 
「よくもアタシという存在を無視しやがって…!!ふざけるなぁ!!」 
 
「くっ…!」 
 
短剣による連続はルーフェを追い詰めるものの、ルーフェはそれを的確に避けていく。攻撃が当たらないことにラーナはどんどん苛立ちを覚えていく。 
 
「煩わしい…!!【シェイプド・エッジ】!!」 
 
ラーナの短剣は突如として長剣へ変化して、攻撃の速度を更に上げてルーフェを切り刻もうとする。 
 
「…!」 
 
 
リーチが良くなり、避けることが難しくなり少しづつルーフェを追い詰める。 
 
「ハアアアアアアァァァァッ!!」 
 
追い詰めて攻撃箇所が出来たラーナは右手の長剣をルーフェ目掛けて振り下ろす。 
 
「【ウィンド・メイル】!!」 
 
ラーナの長剣が振り下ろされた時、ルーフェの身体に沢山の風が鎧のように身に纏われる。 
 
(なんだ…!?) 
 
そしてニールの長剣がルーフェの左腕に当たった瞬間、ルーフェは無傷のままに剣が当たった箇所から暴風が起こりニールを後ろへ大きく吹き飛ばす。 
 
「く…!」 
 
後ろへニールが吹き飛ばされた瞬間に素早く構えたルーフェは、魔力を右手に魔力を集中させて素早く空気を殴る。 
 
「【ライト・ウィンド・インパクト】ッ!!」 
 
先程の【ウィンド・インパクト】には威力がかなり劣るものの、強力な風と衝撃波がラーナを襲う。 
 
「…【クロス・クラッシュ・ブレイド】ッ!!」 
 
だが体制を何とか持ち直して剣を持ち替えたラーナは、二本の剣を外側から内側へとバツ印を描くようにして切り込み、飛ばされてきた【ライト・ウィンド・インパクト】を相殺した。 
 
「散々イラつかせやがって…。…絶対にぶっ殺す!!」 
 
「…!」 
 
ラーナとルーフェはお互いに間合いを取って再度ぶつかり合いを始めていく。 
 
「うぅ…!」 
 
「…。」 
 
一方でエグマはリリィをつけ狙い、彼女が張っている魔法障壁を破ろうと無言のままに強烈な蹴りを入れていく。 
 
(クソ…!) 
 
勇者はリリィを助けようとするもエグマは厄介な位置にいるため、間違ってリリィの魔法障壁を割りかねない状況を作らていた。そしてリリィもエグマに魔法を仕掛けようにも勇者のサポートが結果的に邪魔となり魔法が使えず、魔法障壁を展開してエグマの攻撃を耐えることに専念するのに精一杯となっていた。 
 
「…いい加減その障壁は邪魔ですので、割らせて頂きます…。」 
 
「「…!」」 
 
魔力を更に下半身に更に集中して、エグマはリリィに襲いかかる。 
 
「【眠りへ誘う羊の連撃】」 
 
攻撃力・瞬発力・スピード全てにおいての力を底上げし、リリィの魔法障壁をエグマは容赦なく蹴りを連発して入れ込む。 
 
「うぐ…!」 
 
「…!」 
 
そしてついに耐え切れなくなったリリィの魔法障壁はガラスが割れるかの如く『パリン』と音を立てて砕け散る。 
 
「キャアアアアアアアアッ!!」 
 
「それでは、さようなら…。【死へ誘う羊の蹴り】」 
 
黒い闇を纏った右脚を魔法障壁を破られ防御が無くなったリリィの首元へ向けて振り下ろす。 
 
「おおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」 
 
「…!」 
 
だがエグマがリリィの魔法障壁を割るのに少し時間を掛けたため、ギリギリだがエグマの脚技からリリィの首元を守ることに成功する。 
 
「はあぁっ!!」 
 
エグマの脚技を跳ね返し、勇者とエグマはようやく最初の体制へと戻りピンチを切り抜ける。 
 
「【死へ誘う羊の蹴り】」 
 
「せあっ!!」 
 
再度衝突して勇者とエグマはお互いに技をぶつけ合う。だがエグマは、自分の脚技を普通にぶつけるだけでは勇者の力に及ばないとすぐに理解した。 
 
(なるほど…。なら…。) 
 
勇者とエグマはお互いを弾き、最初の位置に戻る。そしてお互いにぶつかり合いに持ちかける。 
 
「はああああぁぁっ!!」 
 
「【ウール・プロテクション】」 
 
また勇者の剣とエグマの脚技が豪快にぶつかる。しかし 
 
「…!?」 
 
勇者の剣はエグマの脚にめり込んでおり、その感触は何故か羊の毛に包まれているような不思議な感触を作り出していた。 
 
「…ッ!」 
 
そして謎の弾力性がついた脚でエグマは勇者の剣を弾き返す。 
 
「しまっ…!!」 
 
剣を押し返されて足元をふらつかせた所へ、素早くマグナは勇者に詰め寄り勇者に剣を構えられる前にトドメを刺そうと攻撃を仕掛ける。 
 
「【死へ誘う羊の連撃】」 
 
「…【ボルテージ・バリア】ッ!」 
 
「…!?」 
 
勇者を一方的に狙っていたせいか、一瞬だがリリィの存在が頭から離れていたためエグマは足を止められず、展開された電気のバリアに身を委ねてしまう。 
 
「ぐぅああああああああぁぁぁぁぁっ!?」 
 
電撃に苦しみながらも、エグマは何とかその場を急いで離れる。 
 
「はぁ…、はぁ…。」 
 
「【ラピッド・バンプ】!!」 
 
小さく、うさぎのように跳ねる爆発はエグマを容赦なく巻き込んでいく。 
リリィの【ボルテージ・バリア】かなり効いた為に、エグマは本来避けられるはずの爆発を直接受けていた。 
 
「人間風情が…!!」 
 
魔族たちの怒りやプライドに大きく触れたため魔王軍幹部全員の攻撃力は大きく上がる。 
 
「うぅ…。」 
 
「…く。」 
 
「うわぁっ!」 
 
それぞれの状況は予想を超える速さで悪くなっていく。 
勇者はこの場本気を出せばこの状況は一瞬に逆転するだろう。 
しかし勇者は『お前は、絶対に魔王と戦うまで本気を出すな。』と4人からしっかり釘を刺されており、本気をどうしても出せないでいた。 
 
((((このままじゃ…!!)))) 
 
勇者をもどかしい状況にしてしまっている4人は、最悪の結末をこのままでは迎えると考え始める。 
 
「ぐっ…!!」 
 
追い込まれる勇者を前に4人は何とかアイコンタクトを取り、それぞれの胸に覚悟を決める。 
 
「…勇者様!あれをやります!!」 
 
「…でも!!」 
 
「分かってます!…けど、お願いします!!」 
 
「…分かった!」 
 
勇者は少し苦い顔をしたものの、4人の案を呑むことにした。 
 
「準備してくれ!」 
 
「「「「了解っ!!」」」」 
 
作戦決行のため勇者たちはそれぞれ魔王軍の幹部たちに向かい、猛攻撃を仕掛ける。 
 
「「「「はああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」 
 
勇者を除く4人はそれぞれ力を合わせて少しの無茶をしながらも、魔王軍幹部の4人を広間の中心へ留めることに成功する。 
 
「「「…くっ!!」」」 
 
そして一ヶ所へと留められたアゼルの目に何故か剣を鞘へ収めようとする勇者の姿が映る。 
 
(何を…!?) 
 
勇者は両手を開いて両腕を前に出して、手のひらに魔力集中させ魔法を放つ。 
 
「【グラビティ・ダウン】ッ!!」 
 
勇者の手から魔法が放たれた瞬間 
 
「「「「!?」」」」 
 
魔王軍の幹部たちは全員めり込むようにして地面に叩きつけられる。 
 
「ぐあ…!」 
 
「重力系の…、魔法か…!!」 
 
「ふざけんじゃ…、ねえっ…!!」 
 
常人であれば動くことすらできないはずの重力内を、苦しみながらも魔王軍の幹部たちは歩いてこちらへ向かう。 
 
「【フィールズ・アイス・ショウズ】!!」 
 
「【アイス・メガウォール】ッ!!」 
 
しかしそこへリリィとニルが氷魔法で勇者たちと魔王軍の幹部たちとの間へ、分厚く大きな氷の壁を生成する。 
 
(…氷の壁作ったところで、この重力の中を抜ければ…!!) 
 
エグマが氷の壁をどう壊そうかと考えていた時 
 
(なんだ…!?) 
 
おかしな風が空気に流れているのにエグマは気がついた。 
エグマはおかしな風の流れの原因が何なのかを確かめようと空気の流れを見抜こうとする。しかし目の前の氷の壁が邪魔をして原因を探ることができない。 
 
「…。」 
 
そして氷の壁の向こう側ではおかしな風の流れを生みながらも、ルーフェは魔力と風をその右手に集中させる。 
 
「…!」 
 
暴発寸前まで溜めた魔力と風を右手に抑えて、ニルとリリィが作った分厚い氷の壁をアッパーカットで一気に右手に抑えていた魔力と風と共に殴り上げた。 
 
「【サイクロン・インパクト】ッ!!」 
 
あまりにも強力すぎる衝撃波と風で氷の壁は全体に一気にヒビを入れて、形と大きさのバラバラな氷の結晶となり斜め上へと天井を突き破る勢いで打ち上げられる。 
 
「…へっ!!こけおどしかよ!!脅かせやがって…!!」 
 
正面に【サイクロン・インパクト】を打たれると予測していたザザクは、攻撃は不発に終わったと嘲笑う。 
 
「…違う!!これは…、こけおどしなんかじゃない…!!」 
 
スルシュの言葉通り斜め上へ飛んだ氷の結晶は勇者の【グラビティ・ダウン】の範囲に入った途端、氷は魔王軍の幹部たちにめがけて勢いよく落ちていく。 
 
「…これは!!」 
 
「「「「【グラビティ・クリスタル・メテオ】ッ!!」」」」 
 
【グラビティ・ダウン】で動きを封じられた魔王軍の幹部たちは、抵抗する間もなく広範囲に勢いよく降り注ぐ氷の結晶を直接受けてしまう。 
 
「「「「ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」 
 
「…アゼル!!…今よ!!」 
 
「あぁ!」 
 
勇者の後ろにいたアゼルは盾を構えて、勢いよく勇者に近づく。 
 
「アゼルいくぞ!」 
 
「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 
 
アゼルの振りかざした盾に勇者は【グラビティ・ダウン】を解除して足を乗せる。 
 
「【シュート・シールド・ナックル】ッ!!!」 
 
勢いよくアゼルは振りかざし、勇者を弾き飛ばす。 
 
「…!!」 
 
勢いよく飛び出した勇者は体制を崩さずに10m近くを飛び、玉座への通路の道へ足を下ろす。 
 
「…っ!!」 
 
ふらついた足もとを整えると勇者は 
 
「アゼル!リリィ!ニル!ルーフェ!絶対に生き残れよ!!」 
 
と大きな声で叫ぶと魔王の玉座へと走り出した。 
 
「………させるものか!!」 
 
フラフラな状態ではあるが、エグマは今までにない程の恐ろしい怒りの顔して立ち上がる。 
 
「…させるかああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
勇者を止めようとエグマはこの場にいる全員を無視して螺旋階段を登ろうとする。 
 
「【ツイン・ボルト・ランス】ッ!!」 
 
だがエグマの足元へ二本の電撃の槍が雷のように落ちる。 
 
「…ちぃ!!」 
 
「…絶対にあなたを、勇者様の元へは行かせませんっ!!」 
 
「…………このっ!………………人間のっ!!………小娘風情がああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」 
 
 
 
 
 
 
 
 
「…!」 
 
仲間たちの協力を得て走る続けた先に、勇者はついに玉座のある部屋の扉の前にたどり着いていた。 
 
「…。」 
 
今までの全てを背負い、勇者は覚悟を決めておおきな扉を力いっぱい両手で押して開ける。 
 
「!!」 
 
玉座の間は薄暗く、不気味な雰囲気を漂わせる。 
 
「…。」 
 
勇者はゆっくりと警戒して玉座の間を歩く。 
 
「…よく来たな。人間の勇者よ。」 
 
「!?」 
 
勇者が玉座の間の中心にきた瞬間、突然と女性の声が聞こえ勇者が開けた扉は急激に閉まる。 
そして扉が閉められて真っ暗となって何も見えなくなったとき、飾られていたたいまつに紫色の炎が勝手に点火されていき、部屋全体を急激に明るくしていく。 
 
「…!!」 
 
そして明るくなった玉座の間で玉座に深く腰を掛けて座る魔王らしき人物が勇者の目に映る。 
 
「…いつまでも腰かけておくのは失礼だな。」 
 
玉座から立ち上がった魔王は首元のマントをボタンを外してゆっくりと玉座から降りてこちらへ向かってくる。 
そして玉座から魔王が下りるにつれて、魔王の姿がはっきりしていく。 
 
(…。) 
 
黒色に近い赤色をしたロングヘアー、170近い身長、形の整った豊満な胸、そしてとても綺麗整った顔立ちをして黒と赤を主体とした美しいドレスを見事に着こなしている。 
これだけを見れば絶世の美女とでもいえるだろう。だがそんな魔王からあふれ出る魔力は、明らかに常人が経っていられない程の強いプレッシャーを放っていた。 
 
「…人間の勇者よ、お前は何故ここに来た?そして何故私を殺そうとする?」 
 
魔王は口を開いて低く冷たい声で勇者に問いかける。 
 
「…俺はみんなの思いを背負ってここまで来た。」 
 
「…。」 
 
「俺よりも勇者になりたいと思う人は周りに沢山いたし、お前たちを憎んで殺したいと俺よりも思っている人は星の数程いる…。でもみんなはその悲しみや憧れといった感情を含めて、勇者として選ばれた俺に全てを預けてくれたんだ…!」 
 
「…。」 
 
「…だから俺は勇者として預けられたこの全ての思いを、無駄にする事は絶対にしてはならないんだ!!」 
 
「…ほう。」 
 
「…俺はお前たちを打ち滅ぼす!!お前たちを滅ぼして、お前たちに奪われたものを全て取り戻す!!そのために俺はここまで来たんだっ!!」 
 
「…そうか。…なら私も魔王として、全てをこの身に預けてくれたみなの為に私の全てを振舞おう…!!」 
 
一通りの会話を終えた魔王は自分の内からとてつもない程の量の魔力を湧きあがらせる。 
 
「!!」 
 
勇者は自分の鞘から剣を抜き取り、最大限の警戒体制に入る。 
 
「お前のように裏表ないその本物の意志に敬意を払い、私も本気で行かせてもらおう!!」 
 
「…来るなら、来い…!!」 
 
勇者と魔王はお互いに魔力を極限までに集中させる。お互いのとてつもない魔力はぶつかり合い、不自然な風が発生する。 
 
「「…。」」 
 
極限の集中状態の二人のにらみ合いは威圧感はあるものの、あまりにも静かでお互いの時がまるで止まっているかのようだった。だがその静けさはいつまでも続くことはない。互いの魔力によって作られた不自然な風が玉座の間にあるたいまつの炎を大きく揺らす。 
そして玉座の間にある一つのたいまつの炎がお互いの魔力のぶつかり合いで耐えきれなくなって消えた時 
 
「「!!」」 
 
勇者と魔王は殺し合いを始めた。 
 
「はあああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 
 
大きな掛け声とともに勇者は魔王の一歩先を行き、大きく振った剣を魔王めがけて容赦無く振り下ろす。 
 
「…!」 
 
「…。」 
 
一歩先を取られた魔王であったが、右手の手のひらに大きな魔法陣を展開して勇者の一撃を防ぐ。 
 
「…フッ!」 
 
「くっ!!」 
 
勇者の剣を跳ね返し、勢いよく剣を跳ね返された勇者は大きく後方へ飛ばされ地面を大きく転がる。 
 
「…展開せよ。」 
 
「…っ!?」 
 
勇者が目を上げた矢先に、左腕を大きく左へ広げた魔王とその後ろに大量に展開された魔法陣が目に映る。 
 
「【エクスプロージョン・キャノン】!!」 
 
数多く展開された魔法陣から超高熱の炎が大砲のごとく勇者に向かって放たれる。 
 
「…【グラビティ・カット】!!」 
 
急いで立ち上がった勇者は自信に掛かっている重力を限界まで無くし、全力で走りぬけて飛ばされてくる炎を何とか避けていく。 
 
「…ううううぅっ!!」 
 
放たれる炎が終わりを迎えたとき、勇者は走り抜けるのをやめて魔王に攻撃を仕掛けようと一気に近づいていく。 
 
「【重剣・」 
 
「!」 
 
「フォトン・ブラスト】ッ!!」 
 
光を纏った剣が魔王へ振り下ろされる。 
 
「…!?」 
 
しかし先程と違い、剣の重みが全く違う。まるで片手剣ではなく両手剣、いやそれよりも重い剣を持った相手にしているかのようだ。 
 
「はああああぁぁぁっ!!」 
 
強力な剣の力に耐えきれなくなり、魔王の展開していた魔法陣は砕ける。そして魔法陣が砕けた衝撃により魔王は後ろに転げるようにして飛んでいく。 
 
「ぐっ…、ガハ…。」 
 
勇者は攻撃の手を緩めることなく、魔王へ向かって全速力で走る。 
 
「【重剣・フォトン・バースト】ッ!!」 
 
また剣に光を纏わせて、勇者は剣を振り下ろす。 
 
「…くっ!…【スカイ・フライ】!!」 
 
だがそれに負けじと、魔王は自らを低空浮遊させ両手で魔法陣を展開して勇者の剣を受け止める。 
 
「!」 
 
「はあああああぁぁぁぁっ!!」 
 
勇者の剣を弾いてかなり遠くにとばし、勇者と魔王に大きな間ができる。 
 
「…!」 
 
「【ダーク・イート・デス】!!」 
 
そして魔王は勇者に間を詰められないように、両手から紫色の頭蓋骨がケタケタと笑うかのような不気味な闇魔法をガトリングのようにして連続で大量に放つ。 
 
「…【重剣・光速連撃斬】っ!!」 
 
勇者も負けじと、光を纏う剣で向かってくる【ダーク・イート・デス】を全て相殺していく。 
 
「…かかったな。」 
 
「…!?」 
 
ぼそりと口を開いた魔王に気が付いた勇者は、【ダーク・イート・デス】を相殺しながら急いで周りを見る。 
 
(…!!) 
 
すると勇者の周りにはいつの間にか数えきれないほどの大量の魔法陣が足元に敷き詰められていた。 
 
「【グラビティ・…ッ!!」 
 
「もう遅い!【ボルガノン・カラム】ッ!!!」 
 
敷き詰められていた魔法陣から玉座の高い天井をも燃やしつくすほどの高い炎の柱が一斉に放たれる。 
 
「うわあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
熱い。身が引き裂ける。 
勇者は超火力の炎の柱に巻き上げられながらにしてその身を焼かれていく。 
 
「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
「…。」 
 
死という絶望がいつ見えてもおかしくないと魔王は焼けていく勇者を見る。 
 
「あああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 
 
しかし、勇者のその心と精神は 
 
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 
 
一つたりとも諦めてはいなかった。 
 
「……はああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
燃え盛る炎を剣を振り払ってかき消し、勇者は危機を脱する。 
 
「何!?」 
 
そして炎の柱から抜け出した勇者は改めて剣を空中で剣を構える。 
 
「【重剣・月光波動斬】っ!!」 
 
空中から剣を振り、放たれた三日月のような美しい輝きを持った斬撃は魔王めがけて超高速で落ちてくる。 
 
「!!」 
 
あまりの速さに反応が遅れ、あわてながらも右手で魔法陣を展開させてる。 
 
「うぅ…!!」 
 
しかし片手での魔法陣の展開では限界があり、ドレスの一部を切られながら斬撃の衝撃で魔王は少し右腕にダメージを負う。 
 
「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 
 
「!!」 
 
右腕を気にする暇も与えず、一気に勇者は魔王の元へと突っ込んでいく。 
 
「…【エクスプロージョン・キャノン】ッ!!」 
 
魔王の後ろに高速展開された大きな魔法陣から、先ほどとは比べ物にならない威力の【エクスプロージョン・キャノン】が勇者に向けて放たれる。 
 
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 
 
だが勇者は目の前に向かってくる超高熱の炎に少しもそむけもせずに真正面へ向かっていく。 
 
「【重剣・月光直下】っ!!」 
 
勇者の身はその炎の中へと消えてゆく。 
 
「…!?」 
 
だが勇者は超高熱の炎を切り裂いて、更に速度をあげて魔王の元へと向かってくる。 
 
「…そんなっ!!」 
 
「はあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
【エクスプロージョン・キャノン】を全て切り裂き、勇者は魔王との距離を一気に縮めていく。 
 
「…くっ!!」 
 
魔王は両手で大きな魔法陣を急いで展開する。そして勇者が振り降おした剣は魔王が展開した魔法陣へ激しい音を立ててぶつかる。 
 
「はあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
しかし魔王が勇者の剣を防いだのはごくわずかな一瞬で 
 
「ああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
気が付いた時には勇者の剣は魔王の胸元を切り裂いていた。 
 
「…ぁあ!」 
 
勇者の渾身の一撃が入り、魔王は血しぶきを上げて後ろへと倒れていく。 
 
「はぁ…、はぁ…。」 
 
全ては終わりを迎え、勇者の勝ちは確定したように見えた。 
 
「…!!」 
 
しかし、倒れゆく魔王の目はまだ死んではいなかった。 
 
「……【ヘルフレイム・ブロウ】ッ!!」 
 
切られた痛みをこらえながらも魔王は無理やり起き上がって、偽りの勝利に溺れ油断した黒い炎で纏った拳を勇者のみぞおちめがけて重い一撃を与える。 
 
「ぐおぉっ…!」 
 
大きく弧を描いて勇者は後ろへと飛ばされる。 
 
「うぅ…。」 
 
「コホッ…。」 
 
勇者と魔王はお互いにもうボロボロだった。 
 
「「はぁ…、はぁ…、はぁ…。」」 
 
勇者は全身に負った火傷が強い痛みを発して立つことすら辛くなり、魔王も切られた場所から大量出血し意識を保つことがやっとの状態だった。 
 
「「はぁ…、……はぁ。」」 
 
だがそれでも二人は殺し合いを辞めようとはしない。自分に全てを預けてくれて、この場に立たせてくれた存在の為に必ずこいつを殺すと決めた固い意志が二人を震え立たせていた。 
 
「…【グラビティ・カット】!」 
 
「…【スカイ・フライ】!」 
 
お互いにそれぞれ身を構える。そして二人はお互いの目が合った時理解する。 
 
((…これが、お互いに最後の一撃だ…!!)) 
 
限界までに魔力を振り絞って一気に二人は距離を縮めていく。 
 
「「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」 
 
 
 
消えてしまうだろう自分の命の事を気にかけることなく、全てをその手に注ぎんだ二人は 
 
 
 
 
 
「【フューチャー・エンド】ッ!!!!!」 
 
「【重剣・シャイン・ホープ】ッ!!!!!」 
 
 
 
 
 
今ぶつかり合おうとしていた。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「…。」 
 
しかし、二人がぶつかり合うと思われた瞬間 
 
 
 
 
 
「「!?」」 
 
その真ん中に突如として、一人誰かが立っていた。 
 
「「!!」」 
 
お互いに攻撃を繰り出そうとしていたため、誰かいたことに気が付くもその攻撃は止めることが出来ず、真ん中にいた人物は二人の最大級の攻撃を喰らう。 
 
「…。」 
 
しかし真ん中に立っていた人物はあれだけの攻撃を受けたのに、かすり傷一つ追わずに、二人の攻撃を容易く受け止めていた。 
 
「「…!!!」」 
 
「ちょっと、ごめんね…。」 
 
真ん中に立っていた人物は勇者の方を向くと、受け止めていた勇者の剣を手でガラスのように粉々に砕いた。 
 
「…!」 
 
「…クッ!」 
 
魔王は突如現れた謎の人物に魔法攻撃をしようとするが 
 
「【マジック・ロッキング】」 
 
「…!?」 
 
謎の人物に南京錠の形をした紋章が両手の甲に現れて魔法を使えなくなってしまった。 
 
「いやぁ…、間に合ってよかったよ…。」 
 
謎の人物は胸を撫で下ろして何故か一安心していた。二人は一体あの一瞬で何が起こったのか理解が出来ないでいた。 
 
「…おっと!話をする前に君たちをまずは治さないとね!」 
 
「「…?」」 
 
「【パーフェクト・ゴッド・ヒーリング】」 
 
謎の人物の右手から回復魔法が放たれ、二人をどんどん癒していく。 
 
「「…!!」」 
 
たったの数秒程度で今まで身体に覆っていた二人の火傷や傷は跡形もない程に回復して、自身が経験したことが無い程の元気が身体の底からあふれ出ていた。 
 
「…おっと、勇者君もそういえば魔法が使えたね…。悪いけど【マジック・ロッキング】で魔法を封じさせてもらうよ。」 
 
そう言って謎の人物が右手をパチンと鳴らすと、魔王と同等に勇者の両手の甲にも南京錠の形をした紋章が現れた。 
 
(…さて準備は整ったし、時も止めたしそろそろいいかな…。) 
 
謎の人物は何やら少し考えて、左手で短いシルクハットを押さえる。 
 
「僕は…。」 
 
「待てっ!!」 
 
謎の人物が喋ろうとした瞬間に、魔王は大きな声を挙げてそれを妨害する。 
 
「…傷を癒してくれたことには感謝しよう。…だが!何故私たちの殺し合いを邪魔した!!どういうつもりでここに来た!?そしてお前は何者なんだ!!」 
 
魔王は怒りを交えた声で謎の人物に質問をプレッシャーと共に投げかける。普通の人間や魔族であれば魔王のプレッシャーにすこしは驚くであろう。しかし謎の人物は 
 
「…。」 
 
少しキョトンとして真顔になっていた。 
 
「…あのね魔王ちゃん、僕は今からそれを話そうとしてたんだよ…。それに僕はちゃんと殺し合いに水を差した理由もちゃんと言うから。とりあえず僕はメチャクチャ怪しいけど、包み隠さず全部話すからとりあえず落ち着いて。」 
 
とても落ち着いた状態で的確に言葉を返した謎の人物に 
 
「…っはい。なんかスミマセン…。」 
 
と少し間抜けな声で答えることしかできなかった。 
 
「勇者君もとりあえず変に会話に水を刺すような言葉を入れないようにね!」 
 
「あっ、ハイ…。」 
 
自分は何もしてないのにと思いながらも、勇者はとりあえず『ハイ』としか答えられなかった。 
 
「では改めて…。僕はロキ。ただの悪戯好きな神様だよ。」 
 
「「…は?」」 
 
自分を神様であると自称する謎の人物であるロキは、爽やかな笑顔で自己紹介をする。 
勇者と魔王は自分を神様だと自称をするロキに、『コイツ頭大丈夫か?』と呆れながらも呆然としていた。 
 
「おっと!僕は正真正銘の神様だからね!勇者くんと魔王ちゃんが『コイツ頭大丈夫か?』と思ってるけど、そこら辺にいる厨二病の奴らみたいにイタイ奴ではないからね!!」 
 
((心の中を読まれた!?)) 
 
ロキに心の中まで読まれて、『厨二病』という聞いたことのない言葉に疑問を寄せながらも、更に勇者と魔王は呆然としてしまった。 
 
「まぁ長い話になるだろうから、とりあえず椅子を出すから座って。」 
 
そう言ってロキが『パチン』と指を鳴らすと、三つほどフカフカなソファが現れた。 
勇者と魔王は警戒しながらもゆっくりとソファへ腰を下ろした。 
 
「それじゃあ、話を進めようか。なんで僕がここに来たのかを…。」 
 
ロキも脚を組んでソファに座ると、話をする体制に入る。 
 
「僕がここに来た理由はただ一つ…。」 
 
「「…!」」 
 
「…それは君たちが見ていてとても面白い存在だったからさ!!」 
 
「「………え?」」 
 
あまりにも予想外過ぎる答えに二人はポカンと口を空ける。 
 
「俺たちが面白い存在だっただけにわざわざ殺し合いにに水を刺したのか…?」 
 
「うん、そうだよ?」 
 
「「…。」」 
 
爽やかな笑顔であっさりと答えたロキに、二人は思わず黙って下を向いてしまう。 
 
「あれ…?二人ともどうしたの?おーい?」 
 
「「………けるな。」」 
 
「ん?」 
 
「「ふっざっけるなあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」 
 
大きな怒りを露わにして勇者と魔王はソファから思いっきり立ち上がる。 
 
「ど、どうしたの二人とも…。」 
 
「どうしたも、こうしたもあるかっ!!こっちは身を滅ぼす覚悟で殺し合いをした!!それをあっさりと止めて!!その理由が私たちが面白い存在だったからだと!?ふざけてるにも程がある!!!」 
 
「そうだ!!お前が身を挺してまで俺たちを止めた理由が面白い存在だったから!?ふざけるな!!!俺たちの殺し合いは全てを背負ったものだったんだぞ!!俺たちの殺し合いはそんなくだらない理由で止めていいものじゃないんだよ!!」 
 
二人は強烈な威圧を放って怒号の嵐をロキに向ける。普通の人なら怯えるはずの迫力があるものであるが 
 
「はあああぁ…。」 
 
ロキは呆れて顔をしてため息を吐いていた。 
 
「あのねぇ…。だから僕はそんなことの為に来たんじゃないんだよ…。仮に勇者君と魔王ちゃんの殺し合いが見たかったなら僕は姿を消して隠れながらも見ていたし、決着がつかないようにこっそり回復魔法を二人に使うようにしてたよ…。それに二人の戦いはレベルが低いから見てても面白くないんだよ…。」 
 
「「レベルが低いだと…!?」」 
 
ロキの発言は二人のプライドに触ってしまい、二人は怒りをさらに強める。しかしロキは二人を気にすることなく話を続けていく。 
 
「改めて言うけど僕は神様だ。君たちよりも遥かな年数を生き、様々な宇宙を巡っていろんなもの見てきた、そして見てきた景色の中には、僕の想像すらを上回った戦いが何千・何億もあった。だからこそ僕は君たちの戦いのレベルは低いと言っただけだ。ほら、おかしなことは何一つないだろ?」 
 
「「…!!」」 
 
あまりにもメチャクチャすぎる、ロキの言葉に二人のイライラは収まるどころかますます強くなっていく。 
 
「さて…、そろそろ話を戻そうか。ほらほら話をするから二人とも座った座った!」 
 
「「…クッ!!」」 
 
魔法も封じられ、何もできない二人はロキの言葉通りイラつきながら乱暴にソファに腰かける。 
 
「僕が二人を面白い存在と思った理由、それはね…。」 
 
「「…!」」 
 
 
 
 
「君たち二人がたった一枚の写真でお互いに一目ぼれしちゃていたからさっ!!」 
 
 
 
 
 
「「…。」」 
 
ロキの思いもよらぬ発言に二人の思考は思わず停止する。しかし思考が再開し始めたとたんに、二人の顔は見る見るうちに真っ赤になっていく。 
 
「はあァァぁああ嗚呼ぁアあ亜阿ぁぁぁあ唖あぁぁぁアアあ嗚呼亞あ亜阿ああアあぁァぁっ!?」 
 
先ほどの怒りは完全に消えて、勇者と魔王はソファから飛び跳ねるように立ち上がって、あちらこちらをしどろもどろする。 
 
「なな菜名なな那奈ナナなっ、な、何、何をいイいィィぃい井伊いいいいい、言っている!?わワわ和環吾わわ倭ワワわっ、私がっ!ゆユ湯癒楡ゆユユゆ油ゆゆ、勇者に一目惚れだとおオオおお御おォォぉおおぉぉオオぉぉっ!?」 
 
「そそソ蘇そ租素そそソ訴っ、そうだっ!!おおぉお苧おぉオ御おォォ緒お於おっ、俺が!!まま間まママま麻マま真まままマま摩痲ままっ、魔王なんかにっ!!ひひ日ひヒ比ひ被ひヒひ妃ヒヒヒ火ひひ非っ、一目惚れなんてするわけないだろっ!!」 
 
(うわあぁ…、分っかりやす…。) 
 
『私、あなたに一目惚れしちゃいました!テヘ☆』と言っていることに変わりがない程の慌てた言動をしている二人にロキは思わず白い目で二人を見る。 
しかしいつまでこうしている訳にもいかないので、ロキは話を再開する。 
 
「…ま、君たちはこれで相思相愛という訳d。」 
 
「「そんな訳あるかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」 
 
「えぇ…。」 
 
ほぼバレているような状態でも否定してくる二人にロキは完璧に呆れていた。 
 
「…じゃあ、どうしたら信用してくれる…?」 
 
「だったら先の発言が嘘じゃないとダントツで言える証拠をこの場に出して見なさいよっ!!」 
 
「神さまなんだからそれぐらいできるよなっ!?」 
 
二人の大きすぎる声に少し黙っていたロキだったが 
 
「証拠があればいいんだよね…?」 
 
と一言小さく声を挙げる。 
 
「「ああ。」」 
 
「…よし!」 
 
スクッと立ち上がったロキは 
 
「【チェイン・バインド】」 
 
突然魔法を発動して勇者と魔王をソファへ拘束する。 
 
「!?」 
 
「おい!証拠を出せといったのに、拘束する必要があるんだっ!?」 
 
しかし勇者の言葉を無視して、ロキは二人に魔法をかけていく。 
 
「【リンク・アイ】、【リンク・イアー】、【スピリット・コントロール】」 
 
「おい!話を聞け!!」 
 
「それじゃあ、証拠を出すね。」 
 
ロキはいつの間にか手元にあったリモコンのようなものスイッチを押す。 
 
「「…!?」」 
 
すると大きな画面が勇者と魔王の前に現れてきた。 
 
「今から見せるのは、君たちの半年前の出来事だよ。」 
 
そう言って少し悪い笑みをして、ロキは画面を見つめる。 
 
「あれは…。」 
 
「…俺か?」 
 
「…フフッ。」 
 
 
 
 
 
『勇者様ー!』 
 
『リリィ、どうした?』 
 
『ついに現在の魔王とその幹部たちの念写写真が手に入りましたよー!!」 
 
『本当か!?』 
 
 
 
 
 
「………まさか。」 
 
「?」 
 
 
 
 
 
『まだ詳しいことは分かりませんが、この写真の中央にいるのが…!!」 
 
『…!!』 
 
『我々が倒すべき憎き魔王ですっ!!』 
 
そしてリリィが指を指した先にいた魔王を見た勇者は 
 
『…。』 
 
この時ほおを赤くして魔王に惚れ込んでしまっていた。 
 
 
 
 
 
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
自分が初めて女性に惚れ込んだ瞬間を、惚れた女性に見られるという最低最悪の凌辱行為に勇者は全力で声を荒げて顔を真っ赤にする。 
 
「…。」 
 
魔王も自分が惚れられた瞬間を見て、嬉しいと恥ずかしいといった感情を織り交ぜながらにして顔を赤くしていく。 
 
「フフフフフフ…。」 
 
勇者と魔王はあまりの恥ずかしさに手で顔を覆い隠そうとしても鎖が邪魔をし、何とか聞かないよう見ないようにとしようとしてもくっきりと画面からの音と映像が脳裏に色濃く映り、自分を落ち着かせようとしても全く精神が落ち着いてくれない。 
 
「さて場面が変わるよー!!」 
 
「「…へ?」」 
 
唖然としながらも、二人は画面を見る。 
 
 
 
 
 
『魔王様…。』 
 
『どうかしたか、エグマ。』 
 
『先日部下の一人が、勇者の念写写真を入手することに成功したとこちらを渡してまいりました。』 
 
『ほう…。』 
 
 
 
 
 
「…!!」 
 
この後の展開を理解した魔王は冷や汗を額から異常なほどに流す。 
 
 
 
 
 
『まだ断定はできませんが、こちらがその勇者の写真になります。』 
 
『どれ…。』 
 
そしてエグマから受け取ったを写真を見た瞬間 
 
『…。』 
 
魔王はほおを赤くして勇者に惚れ込んでしまっていた。 
 
 
 
 
 
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
勇者とほぼ同様に自分が初めて男性に惚れ込んだ瞬間を、惚れた男性に見られるという最低最悪の凌辱行為に魔王も顔を真っ赤にして泣いだぐんだまま全力で声を荒げてしまう。 
 
「…。」 
 
勇者もまた自分が惚れられた瞬間を見て、嬉しいと恥ずかしいといった感情を織り交ぜながらにして顔を赤くしていく。 
 
「さて!まだまだ証拠は残っているよ!!この程度でめげないでね!!」 
 
「「!?」」 
 
たださえキツイのに、これ以上見せられてたまるかと二人は大きく焦る。 
 
「待ってください!これ以上は本当にもういいですから!!」 
 
「お願いします!!もう本当に辞めて下さい!!」 
 
「えー?証拠見せろって言ったのは君たちだよぉ?せっかく用意したんだし、最後まで見せてあげるね!!」 
 
「「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こうして映像を無理やり見せられ続ける事一時間…。 
 
「…以上証拠映像でしたー!!勇者君、魔王ちゃん!!分かってもらえたかな!?」 
 
「「……………ハイ、スゴクワカリマシタ…。」」 
 
勇者と魔王は燃え尽きるかのように真っ白になって脱力していた。 
 
「いやー、何度見ても面白いねぇ!…おっと【マジック・ロッキング】以外の魔法は解いておくね!」 
 
「「ぁ…。」」 
 
脱力したまま二人はソファから落ちて、地面へうつ伏せ状態になっていた。 
 
「まあこれで二人は両想いということで、もういっそのこと『魔族と勇者は戦争は終わらせて結婚して幸せに暮らしましたとさ!』みたいにしちゃたら?」 
 
「……無理よ。」 
 
地面にうつ伏せたまま魔王はロキの言葉を否定する。 
 
「なんで?」 
 
「私たちは魔族と人間の代表…。そんな二人が恋に落ちて幸せになろうとしても誰もそれを喜んでくれないし、祝ってもくれない…。」 
 
「…。」 
 
「人間は魔族を…、魔族は人間を千年間ずっと恨んでいた…。だから私たちはそれを晴らす為に…、消すために殺し合ったんだ…。それを今更無かった事にするなんて、したくてもできないのよ…。」 
 
顔をぐしゃぐしゃにして泣きながら、魔王はこの場で初めて誰にも見せられなかった弱音を吐く。 
 
「…!!」 
 
好きな子が隣で泣いているのに励ます事すら許されない状況に勇者は酷く腹を立てた。 
 
「…そうかぁ。じゃあ僕はこの場にいてももう意味は無いね…。それじゃあ、これd。」 
 
「待て!!」 
 
脱力してうつ伏せになっていた勇者は何とか立ち上がり、帰ろうとしたロキを引き留める。 
 
「なに…?」 
 
「ロキ…、お前は神さまなんだよな…?」 
 
「そうだよ。」 
 
「………だったら何で!…お前ら神さまは!…こんなふざけた世界を創りあげたんだっ!!」 
 
「…!」 
 
「こんなに近くにいるのに…!泣いて苦しんでいるのに…!!それでも好きになった人を助けられないなんて…、ふざけるなっ!!」 
 
「…。」 
 
「勇者…。」 
 
「…今更理解したけど俺たちは最初から争うべきじゃなかったんだ。」 
 
「…。」 
 
「だけど…!!それでも…!!こんなことをしなければいけないだなんてあまりにもこの世界はあまりにも理不尽だっ!!争いがほとんど不要な平和な世界があるなら…!そんな世界を最初から作れるんだったら…!!この世界を最初からそんな素晴らしい世界にしてくれよっ!!」 
 
「…。」 
 
「うぅ…、うう…。」 
 
悔しさで心がいっぱいだった。言えることは全部口から出した。でも結局行動を起こすことが出来ず、ただ目上の存在に愚痴を吐くようなことが出来ない勇者は拳を握り締めて下を向いて涙をこぼした。 
 
「フフフ…。アハハ…。…アーハッハッハッ!!」 
 
話を聞いていたロキが大きな声で大笑いする。 
 
「…何がおかしい!?」 
 
「あー、いやいやゴメン。そういう訳じゃないんだ。」 
 
笑って出てきた涙をロキは軽く指で拭く。 
 
「…そうだよ。勇者君、よくそれが言えたね。」 
 
「何を…?」 
 
「何をって、僕みたいな目上の存在にここまでしっかりと自分の意志を言ったんだ。そんな君みたいな素晴らしい存在には特別にこれを与えよう!【オープン・ゲート】!!」 
 
ロキは右手を大きく開くと、直径10mほどの大きな穴を出現させる。 
 
「「これは…!?」」 
 
「さあ行くよ!!」 
 
ロキは二人の襟元を掴むと 
 
「「!?」」 
 
「せーの!!」 
 
その穴の中へ二人を思いっきり放り込んだ。 
 
「「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」 
 
 
 
 
 
「「うぅ…。」」 
 
「ほら、起きて二人とも!着いたよ!!」 
 
着地の際に打った個所押さえながら、二人は立ち上がる。 
 
「イタタタタ…。」 
 
「ここは…。」 
 
そして目を開けた瞬間に二人の予想できない風景がそこには広がっていた。 
 
「「!?」」 
 
「ここは君たちとはいた世界とは真逆の場所…。つまり!!人間と魔族が争うことなくして、共存する世界なんだ!!」 
 
ロキの言葉の通り、飛ばされた街には楽しそうに争うことなく人間と魔族が共存する姿が二人の目に入る。 
 
「「凄い…!!」」 
 
「これが僕からのプレゼントだ。君たちにはこれからここに住んでもらうよ。」 
 
「「ああ…。…って、えぇ!?」」 
 
突然見たことのない世界にきて、いきなり暮らせというロキの発言に二人は戸惑いを見せる。 
 
「いやいやいやいや!いろいろ問題がありすぎでしょ!?」 
 
「大丈夫!もう魔法は使えるようにしたし、勇者君の剣もちゃんと直しておいたから!」 
 
「でもまだ…!!」 
 
「言葉も通じるし、今二人が持っていたお金もこの世界のものに変えたし、元居た世界でのことも僕が上手くごまかしておくから!!」 
 
「「…で、でも!!」」 
 
「それじゃ!お二人ともお幸せにね!!じゃ!!【テレポート】!!」 
 
そう言い残すとロキは『フッ』と姿を消してしまった。 
 
((…ええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?)) 
 
がやがやと人間と魔族が楽しそうにしている街の中心で、勇者と魔王は今身に起こったありえない状況にただ茫然とするのであった。 
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