勇者と魔王は真実の愛を求めて異世界を渡り行く

usiroka

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第二章 二人ぼっちの異世界で

第十六話 三つ首の魔術師

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「…さて。後衛は任せたぞ、魔王。」

「無論だ。前線は任せるぞ、勇者。」

そうお互いに背中を預けるように言葉を残して、二人はキャスター・ケルベロスの元へと向かっていく。

「「「...Guyyyyy!!」」」

自身の魔法攻撃をあっけなく塞がれたことに激情したキャスター・ケルベロスは『ギリギリッ』とそれぞれ歯を喰いしばると、頭上に炎・雷・氷の魔法を融合させた球体を今度は瞬時に複数作り上ていく。

「「「【Triトライrainレインrain】」」」

先程の【Triトライattackアタック】よりも大きくなった複数の魔法の球体を二人めがけて勢いよく落とす。

「「…っ!!」」

だが二人は焦ることなく状況を確認しながら、それぞれ自分の身体に魔法を掛けていく。

「【グラビティ・カット】」

「【スカイ・フライ】」

二人の身体に魔法が掛かるが、それとほぼ同じタイミングで複数の【Triトライrainレインrain】の一部が二人に降り注ぐ。

「…!」

二人のいる位置から大きく白い爆風が立ち上がり、フルハの顔には再び強い不安がよぎる。

「「…。」」

しかしユウトは自分に掛かる無駄な重力を消して移動速度を上げ、マナは素早く低空飛行を施してギリギリのタイミングで【Triトライrainレインrain】をかわしていた。

「「「Aaaaaaaaaaaaaaa!!」」」

またしても自身の攻撃が当たらなかったことにキャスター・ケルベロスは怒って攻撃を続けていくが、二人には一切攻撃がかすりもせずにどんどん距離を詰められていた。

「…【重剣じゅうけん・」

キャスター・ケルベロスとの距離が5m程に縮まった所で、ユウトは地面を力強く蹴ると

「ライト・ブレイク】ッ!!」

一気にキャスター・ケルベロスとの距離を詰めて、真ん中の脳天へ重い一撃を振り下ろした。

「…ッ!?」

突如と走る激痛で、真ん中のキャスター・ケルベロスの脳と視界は大きく揺れる。

「「...Grrrrrr!!」」

だが右と左の頭はそれぞれユウトを強く睨みつけており、口元に魔力を溜めて強力なブレスを放とうとする。

「「…!?」」

しかしキャスター・ケルベロスがブレスを放とうとしたその時、右と左の頭の視界がそれぞれ少し歪み

「…【コンセル・イラプション】ッ!」

マナが右手を握り締めると同時に、右と左の頭を包み込むようにして大きく爆発した。

「「Gur…!Aaa…!!」」

顔が焼ける痛みと脳天に走る衝撃の痛みにキャスター・ケルベロスが悶え苦しむ中で、ユウトは宙で後ろへ一回転して地面に着地する。

「魔王!周りの状況は!!」

「…!」

ユウトの指示を受け、マナは周りを見渡し即座に状況を整理する。

「ここ周辺近くには人はいない!だけど、まだ逃げている冒険者が数多くいる!戦闘時間が長びけば巻き込まれる可能性がある!!」

「一撃でコイツを仕留められるのなら問題は少なくなくて済むが、俺の技量だと時間がどうしても掛かる…!魔王!何とかできるか!?」

「出来るが、このまま魔法を使えば近くにいるフルハが巻き込まれる!それに勇者といえども離れなければただでは済まない!!」

やはり他の冒険者がこの場から離れるまで、ある程度ユウトと共に行動するしかないのかとマナが思う中

「…一撃でキャスター・ケルベロスを倒せるんだな?」

とつぶやくようにしてユウトがマナに再度尋ねる。

「そうだが、この状況では…。」

「分かった…。」

何か確信を得たユウトはもう一度剣を強く握ってキャスター・ケルベロスの頭部分へ大きく飛ぶ。

「…!」

「勇者!?」

「目を瞑れっ!!」

突如と飛んだユウトに二人は驚くも、ユウトの指示通りをすぐに思い出して慌てながらも目を瞑った。

「【重剣じゅうけん

ユウトの力強く握る剣は朧げな光を纏い

「「「Uuuuu...」」」

「フラッシュ・コリジョン】ッ!!」

剣が再び中央のキャスター・ケルベロスの脳天に届くと同時に閃光手榴弾と同じような衝撃と眩い光を放った。

「「「U...!Uaa...!!」」」

先程の一撃から立ち直って反撃をしようとしたキャスター・ケルベロスだが、強い衝撃だけでなく眩い光に視界を奪われてまた意識が朦朧としてしまう。

「お前が一撃でキャスター・ケルベロスを倒せるのなら、俺はその攻撃のチャンスを必ず作り出す!!少しの間だけ力を貸してくれ!!」

「…本当に、できるのか…?」

「あぁっ!!だから魔王、俺を信じてくれっ!!」

「…分かった!!」

お互いを改めて信じ合い、二人はキャスター・ケルベロスの警戒へと戻る。

「「「u...!UuuuuUuuu...!!」」」

そしてたかが二人の人間と魔族に二度も不覚を取られたことにキャスター・ケルベロスは激しい怒りに燃えていき

「「「UUUUUUUUuuuuuuuuuuuuuu!!」」」

その怒りを開放するかのようにして、自身の身体に鎖で縛られていた三つの大きく不気味な魔導書を空中に解き放った。

「「「AAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」」」

キャスター・ケルベロスの激しい咆哮と同時に空中に浮かぶ二つの魔導書はページを進めていき、それが止まった瞬間魔導書は強い魔力を放ち始めた。

「「…!」」

「「「【Iceアイスflameフレイムwaveウェイヴ】」」」

魔導書はそれぞれ強い光を放つと共にキャスター・ケルベロスの周囲を炎が波を打つようにして大地を覆い尽くしていく。

「…っ!」

何か来ると読んでいたユウトはすぐに上に飛んで回避するが、その炎によって黒く大地が焼かれたと思った瞬間、大地は即座に大きな氷に覆われる。

「「…!!」」

それだけに終わらず魔導書のページをそれぞれ移動させながら、キャスター・ケルベロスは魔法を続けて詠唱していく。

「「「【FreezingフリージングLightningライトニング】」」」

雲一つない空より落とされる水色の雷は、轟音もかねて勢いよく二人に降り注ぐ。

「「…ぅ!」」

降り注がれる雷を二人は避けていくが、雷の衝撃が身体の芯までに響くその威力に少しひるみを見せる。

「「「【Lightningライトニングsparksスパーク】」」」

そして僅かにひるみを見せた二人にキャスター・ケルベロスは素早く横方向に雷撃を発生させ、雷撃の衝突と共に生まれた大きな火花は散り散りに飛んで目くらましと共に二人へ小さなダメージを与えいた。

(これは…!)

(躊躇してられないな…!!)

攻撃を避けるために後ろへ一旦下がっていたユウトは、もう一度キャスター・ケルベロスの元へと走り出していく。

「「「【FreezingフリージングLightningライトニング】」」」

これ以上の攻撃は許さないと、キャスター・ケルベロスは素早くもう一度凍てつく雷をユウトの元へ落としていく。

「【重剣じゅうけん

雷が落ちてくる中で、ユウトは剣を空に掲げると

フォトン・リザウンド】!!」

勢いよく地面に叩きつけて、大きく地面を響かせた。

「「「!」」」

響いた地面はひび割れと共にユウトの頭上を複数の大地の塊に覆い、落とされた雷は分散されて消滅してしまった。

「「「...Giiiiiii!!」」」

奥歯をギリギリと鳴らし、キャスター・ケルベロスは【Ice(アイス)・flame(フレイム)・wave(ウェイヴ)】を詠唱しようとする。

「「「…!?」」」

しかしキャスター・ケルベロスの視界には既にユウトの姿は無く、

「…重剣じゅうけん

「「「!」」」

足場の悪くなった地面を素早く抜けていたユウトは、

フォトン・ブラスト】ッ!!」

キャスター・ケルベロスの右脚のすね部分へ強烈な一撃を叩き込んだ。

「「「AAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」」」

脛に走るあまりの激痛に、キャスター・ケルベロスは鼓膜が破れる程に大きな咆哮を上げる。

「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」

しかしその咆哮に少しもひるみを見せることなく、ユウトは素早く移動を繰り返しながらそれぞれの脛部分へ剣を叩きこんでいく。

「「「A...、Aaaaa...!!Aaaaaaaa...!!」

耐えがたい激痛が続いていき、キャスター・ケルベロスのそれぞれの足から力がどんどん抜けていく。

「「「Uuurrrrr...!」」」

だがプライドの高いキャスター・ケルベロスは、たった一人の人間に足を地面に付かされてしまいそうになるこの状況に更なる苛立ちを覚え始め、

「「「Uuuuuuurrrrrrrrrrrr...!!」」」

脛の痛みが限界まで来たときキャスター・ケルベロスの怒りは頂点へと達してしまい、キャスター・ケルベロスの奥底に眠っていた異常な程強い力をユウトは引き出させてしまった。

「「「AAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」」」

「「っ!?」」

強い怒りを交えたキャスターケルベロスの咆哮と共に、足元に不気味な模様をした白色の魔法陣が出現する。

「あれは…!!【Triトライannihilationアナイレイションshockショックwaveウェイブ】ッ…!?」

「「「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」」」

それぞれの魔導書の輝きが強くなるたびに、魔法陣は瞬く間に外側から黄色、水色、赤色の順番に染まっていき、大地を震わせながら魔力を上昇させていく。

「ユウトさんっ!!マナさんっ!!早くその場から離れてっ!!」

フルハは慌てて草陰から二人に警告を促すものの、キャスター・ケルベロスの咆哮が邪魔をしてその警告は瞬時に届かないものになってしまった。

「「「…【Triトライannihilationアナイレイションshockショックwaveウェイブ】」」」

「「!!」」

魔法陣から放たれる炎・雷・氷の魔法の融合されたその強大な衝撃波が二人に勢いよく放たれようとしたその時。

「…【スプレッド・ミディオライト】」

マナが詠唱した魔法によって赤黒い炎に包まれた無数の隕石が素早くキャスター・ケルベロスの全身に降り注がれ、【Tri(トライ)・annihilation(アナイレイション)・shock(ショック)・wave(ウェイブ)】は不発に終わってしまった。

「「「Uu...!?Aaaa...!?」」」

突如として身体に走る打撲と火傷の痛みで、キャスター・ケルベロスの足元は更なるふらつきを見せていく。

「…ちょっ!!…マナさん!?」

「私が目の前にいるというのに、よくそんなふざけたマネができたな。」

ユウトがその場にいることを気にせずにマナが隕石を落としたことにフルハが驚きを隠せない中で、マナは冷たい視線を向けながらプレッシャーを交えてキャスター・ケルベロスへ罵倒の言葉を投げていく。

「「「U...、Uu...」」」

「どうした?お前の魔法はここにいる二人も倒せない程に軟弱なものか?」

「「「...!!」」」

見下していたはずの魔族に逆に見下されているこの状況に、キャスター・ケルベロスの怒りはますます煮えたぎっていった。

「期待はしたが、所詮は獣の魔法か…。」

「Uuuuu...!!」

「私程度の魔族も一撃で倒せる魔法もあるかと思ったが、お前は本当に期待外れな獣だったな。」

「「「AAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaa!!」」」

侮辱に更なる侮辱を重ねられ、怒りがまた頂点に達したキャスター・ケルベロスは、魔力を最大限まで増幅させて頭上に大きな氷の塊を作り上げていく。

「…。」

氷の塊は巨大な門に使わる柱程までに大きく生成され、更にそこから雷と炎の魔法が付加されて禍々しさに磨きがかけられる。

「「「【Thunderサンダーflameフレイムicicleアイシクルcannonキャノン】」」」

かするだけでも危険な氷の塊が、時速100kmを超えるスピードでマナに向けて放たれる。

「…【イート・ダーク・デス】」

マナは落ち着いた様子で直径5m近くの大きな魔法陣を展開させると、『ケタケタ』と不気味に笑う骸骨のような無数の闇魔法を一斉に解き放つ。

「…!!」

しかしマナの放った【イート・ダーク・デス】は、勢いの強さ・魔力と全てにおいてキャスター・ケルベロスが放つ【Thunderサンダーflameフレイムicicleアイシクルcannonキャノン】に負けていることはフルハの目からしても明確に映っていた。

(このままじゃ…!!)

もう攻撃の相殺すら叶わずに【Thunderサンダーflameフレイムicicleアイシクルcannonキャノン】がマナに激突すると、フルハがマナから目を逸らしたその時。

………じゃく

何かを不気味に噛み砕いたような音が小さくフルハの耳元で突如と響く。

「…?」

じゃく……、じゃく…

今の音は気のせいだろうと思っていたフルハだったが、不気味な音は止まることなくフルハの耳元で更に響く。

じゃくじゃく…、じゃくじゃくじゃくじゃく…

気になったフルハが恐る恐るながらも音の方向へ視線を向けると

「ッ!?」

じゃくじゃくじゃくじゃくじゃくじゃくじゃく!!

不利かと思われたマナの魔法はキャスター・ケルベロスの魔法を相殺ではなく、捕食するという形で無効化していた。

「「「…!?」」」

じゃくじゃくじゃくじゃくじゃくじゃくじゃくじゃくじゃくじゃくっ!!

キャスター・ケルベロスの放った魔法はどんどん小さくなっていき、フルハとキャスター・ケルベロスが何が起こっているのかようやく理解したとき雷炎を纏った氷の塊は跡形もなく消えてしまった。

「…こんな不味い氷菓子を生成する魔法で、お前は私を一撃で倒せるとでも思っていたのか?」

「「「…ッ!!」」」

魔法を無効化されて更に憐みの表情を向けられたキャスター・ケルベロスは、歯を食いしばりながらもう一度魔法を放つため頭上へ氷の塊を再度生成し始める。

「思ったよりも魔法を放つのは速いようだが、そうやってお前は私ばかりに目を向けていてもいいのか?」

ニヤリと不敵に哂うマナを無視して、キャスター・ケルベロスが氷の塊を生成を続けようとしたその時。

「…重剣じゅうけん白三日月しろみかづき】」

マナの隕石攻撃に巻き込まれてもうダメかと思われていたユウトは、キャスター・ケルベロスの腹元へ飛ぶとともに弧を描くようにして素早く切りつけ攻撃を行っていた。

「A...、a...!?」

「…ぇ!?」

無防備となっていた腹に刺さった鋭い痛みと今まで蓄積されたダメージに耐えきれなくなったキャスター・ケルベロスは、足元のバランスを崩してゆっくりと地面に倒れこんでいく。

「…まだ!」

だが、ユウトは素早く地面へ着地すると同時にキャスター・ケルベロスが倒れる方向に走り出していく。

「…ユ、ユウトさん?」

ユウトがどうして無事なのかというだけで頭が混乱しているのに、倒れ行くキャスター・ケルベロスの方向へ何故か向かっているユウトの姿にフルハの頭は更なる混乱に襲われていた。

「…!」

そんなフルハを他所に、ユウトは倒れ行くキャスター・ケルベロスの前にたどり着く。

「…重剣じゅうけん

あと1m程の距離でキャスター・ケルベロスに潰されるであろうと思われる中、ユウトはキャスター・ケルベロスに背を見せながらも素早く剣を構え

フルムーン・ストライク】ッ!!!」

斜め後ろの方向へ強い一撃を叩き込み、キャスター・ケルベロスを右斜め上の方向に吹き飛ばした。

「…!?」

「「「...u、a...」」」

『ガキィィンッ!!』と酷く鳴り響く音と共に、上空に打ち上げられたキャスター・ケルベロスが立て続けの攻撃によって意識が遠のこうとしたその時

「地上がダメなら、空中へ…。こんな簡単ことにすぐ気が付けないとは、私もまだ愚かなものだ…。」

「「「…!」」」

右手に何やら濃い紫色の細長い正八面体の結晶を持ち、憎たらしい程に不敵に哂うマナがキャスター・ケルベロスの視界にぼんやりと映り込んだ。

「貴様は十分な行いを我々に授けてくれた。その礼として私特性の宝石をくれてやろう」

そう言うとマナはキャスター・ケルベロスの胸元にある切り傷に、右手に持った正八面体の結晶をクイナ手裏剣のように素早く放った。

「…【魔晶ましょう造衝殺ぞうしょうさつ】」

マナがつぶやくと同時に正八面体の結晶が切り傷からキャスター・ケルベロスの体内へ入った瞬間

バキィィンッ!!!

「「「Ga...、aa...!?」」」

八面体の結晶は即座に急成長して、凄まじい衝撃波と共にキャスター・ケルベロスの背中を大きく貫いた。

バキィバキバキバキィバキバキィバキバキバキィバキバキバキイッ!!!!

「「「A...、a...、a...」」」

結晶の成長は止まることなく続いていき、腹部・胸部・頭頂部・後頭部・眼球・口・喉元・臀部・脚部全体を衝撃波と共に貫いていき

「「「a...」」」

『ガシャアァンッ!!』とガラスが砕け散るような音が地面からした時には、キャスター・ケルベロスは飛び散る結晶の欠片の中で血肉の塊となって息絶えていた。

「…。」

展開のあまりの早さにフルハがポカンと口を開ける中で、ユウトは空から降りてくるマナの元へ向かっていた。

「すまない勇者、何の合図の無しに魔法を使って巻き添えにしようとして。」

「気にするな。あの時魔王がちゃんと俺が避けやすいように隕石を落としてくれなかったら、タダじゃすまなかったしな。」

「なんだ?そのことに気が付ける程の技量があるなら、やはり勇者だけでもキャスター・ケルベロスを倒せたはずじゃないのか?」

「言っただろ?俺じゃあ、どうしても時間が掛かるって。それに…。」

「それに?」

「魔王が一撃でキャスター・ケルベロスを倒せるって言ったんだ。それを信じ無い訳にはいかないだろ?」

「…そうだな。信じてくれてありがとう。」

「こっちこそ、信じてくれてありがとう。」

信頼がより深まって暖かな気持ちが心に芽生えた二人は、いつの間にか少し微笑んでいた。

「…。」

「「あ…!」」

しかしすぐにフルハの事を思い出し、二人はすぐにフルハの元に駆け寄っていった。

「ごめんフルハ!ケガは無いか!?」

「大丈夫?痛む所とかない?」

オロオロとフルハの心配を二人がしていると

「うぅ…。」

「「…?」」

「ゔわあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁんっ!!」

フルハは急に大粒の涙を滝のように流しながら、二人に抱きついた。

「「フ、フルハ…?」」

「…あ゛のどぎぃあの時、…わだじのぜい゛でぇお゛ぶだりをぉ私のせいでお二人をじなぜてじまっだどぉ死なせてしまったと…!れぇもでも…!あ゛のあ゛どまざがぎゃずだー・げるへろずにむがっでい゛っでじまっでぇあの後まさかキャスター・ケルベロスに向かって行ってしまって…!すっどすっどじんはい゛れぇずっとずっと心配で…!!らげとぉだけど…!ぼんろぉにふしにぃがえ゛っでひでぐれでよがっだあ゛ぁ本当に無事に帰って来てくれて良かったあぁ…!!ゔわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「「…。」」

フルハの言葉から、二人の頭の中では元居た世界に置いてきてしまった仲間の心配そうにしている姿が自然と強くよぎっっていた

「…心配かけて、ごめん。」

「…ごめんなさい。もう大丈夫だからね。」

しかし二人はこの辛い気持ちを押し殺し、フルハが泣やむまで優しくなだめ続けるのであった。
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