Face to Face

なごみ

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『あぁ…クロック国もここまで愚かだとは思わなかったわ。』


ドレスの女性は椅子から立ち上がると涙を浮かべながら近づいてきた。


『こんな小さな子を…』


そのまま、ぎゅっとあたしを抱きしめた。

柔らかくていい匂い…
あたしが抱きしめられたのって、赤ちゃんのとき以外あったかな…
思わず女性の服を両手でにぎった。


『ルル。』

『えぇ、わかっております。すでに偵察部隊を手配してあります、アリサ様。』

『それと、この子は今このときから私の娘とします。』

『っ!しかし、アリサ様…!』

『町娘では十分に守りきれないわ。』

『そうですが、しかし…!』

『城には騎士がいるし、異変にも気がつきやすい。』


女性はあたしの背中に流れる髪を撫でる。


『それに、私たちには子供がいないからちょうどいいでしょう?』

『そういう問題では…!』

『私が気に入ったんだもの、あの人もきっと気に入るわね。』


ふふふ、と女性は笑うと少し身体を離してあたしの顔を覗きこんだ。


『アリサ…違うわね。お母様よ。』


女性が自分を指差しながら言う。

あ、自己紹介してくれてるんだ。
がんばって女性の発音をまねて女性の名前を言ってみる。


『お、かしゃ…みゃ?』

『お・か・あ・さ・ま』

『おかあ、しゃま?』

『…どうしましょう、ルル。とっっっても可愛いわ!』

『アリサ様…』
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