突然の同居人は女の子の幽霊でしたが平凡な日常は続く

ぽたお

文字の大きさ
5 / 5

5 お化け屋敷の幽霊メイクってすごい技術ですよね。

しおりを挟む
 「ねー!しょうたくん起きて。」

 くそ。まだゆっくり寝てたいのにサエコのやつこんな朝早く起こしてきやがって。

 「サエコさん今何時だと思ってますか?」

 「うん?朝の四時だよ?」

 「早すぎるよね!サエコさん、僕ニートなの。ニートはこんな朝早く起きたらダメって決まってんのよ!」

 「でも昨日約束したじゃん!今日は一緒にお出かけするって!」

 そう俺は昨日サエコとある約束事をした。サエコは幽霊なのに全然怖くない。これは幽霊としてどうなのかと俺は思った。だからサエコに

 「サエコ。君は全く怖くない!幽霊っぽくないんだ!だから俺が幽霊とはどんな存在なのかを教えてやる。」

 「私怖くないの…!?」

 「ああ、全く怖くない!サエコ悔しくないのか!幽霊になってしまったのなら一人や二人恨んでみろ!呪ってみろ!お前の幽霊人生こんなのでいいのか!」

 「嫌です!私怖くなりたいです!みんなから恐れられる最強の幽霊になりたいのです!」

 「そうだろ!見せつけてやろう。サエコの本当の実力を!明日出かけるぞ!俺がサエコを最強の幽霊にして見せる!」

 俺はなんで約束をしてしまったんだ。今になって後悔している。この間、熱血スポ根ドラマを見たせいで熱くなってしまった。ドラマに影響されやすいのは俺の悪いところだ。しかし約束は破りたくない。

 「それでしょうたくん。今日はどこに行くの?」

 「サエコよ。幽霊とは昔から人々に恐れられる存在なんだ。俺たちは今日お化け屋敷に行く。幽霊の恐ろしさを勉強しに行くぞ!」

 「了解であります!」

 しかしサエコと一緒に出かけるのは初めてだ。

 「サエコ。外ではあんまり俺に話しかけるなよ。」

 「なんでよー!」

 「サエコは幽霊だからみんなには見えないんだよ?周りから見たら俺が独り言で話してる変なやつに見えるだろ?」

 「そんなこと気にしなくていいよ?しょうたくんは元から変な人だもん。」

 「そうですか。僕はショックです。」

 「さぁー!!しょうたくん。いざお化け屋敷に出陣じゃー!」

俺とサエコはお化け屋敷に向かうため電車に乗った。人が多いな。久しぶりに外に出たからか汗が止まらない。すると後ろから女性の声が聞こえた。

 「キャッ!痴漢!」

痴漢?最低だな。どこのおっさんだ。まぁ俺には関係ないが。すると叫んだ女性が俺の腕を掴んできた。

 「おいっ!お前痴漢しただろ!」

ん…?俺!?

 「あ、あ、あ、いや、ぼ、僕はやってませんよぉ。」

くっ、コミュ症が発動してしまった。ただでさえ久しぶりに人と話すのは緊張するのに痴漢と間違えられるなんて、、。

 「しょうたくん。ごめん!私女の人に当たっちゃったかも。」とサエコは俺の耳元囁いた。

あ、、。そういうことか。俺は全てを悟った表情をし駅員さんに捕まった。
なんとか事情を話し誤解だと分かってもらったから良かった。

お化け屋敷よりも電車のほうが怖いなんて…。



よし…。なんとか無事に着いたぞ。


「サエコ。お前のせいで色々あったがやっと着いた。入るぞ!着いてきなさい。」

「よし!私全力で勉強します!」

このお化け屋敷は廃病院をモチーフにしていてリアルすぎる幽霊が怖いと話題になっている。

俺は小さい時からお化け屋敷が大好きだった。今日ここに来たのもサエコに勉強させるためでもあるが俺がずっと気になっていたからである。楽しみだ。この俺を驚かせてくれ。中に入るとまず風の音や子供の笑い声、遠くで鳴る警報器の音など、リアルな環境音を使って不安感を煽って来た。こりゃ期待できる。もうこの時点でかなり怖いが俺の敵ではない。しかし隣を歩くサエコは震えていて相当怖がっている。

「サエコ。あなた本物幽霊なのになんでそんなにビビれるんだ。」

「そんなの関係ないねっ!怖いものは怖いの!」

こんなにビビってるサエコはなかなか見れない。こりゃ最高だ。先を進むと点滅する蛍光灯や突然の暗転、ランダムに動く影が恐怖を誘ってくる。
そして看護師の幽霊に扮したアクターが僕の腕を掴んできた。まだまだ俺こんなんじゃ驚かないぜ。しかし隣のサエコ恐怖が最高潮に達したらしくとんでもない大きい声で叫んだ。

「キャァーーーーー!タスケテェーー!」
おいおい驚きすぎだろ。俺は面白くなり笑いそうになると、俺の腕を掴んできたアクターの手がガタガタ震え出しているのを感じた。

「今、、キャータスケテェーって女の人の声が聞こえた…。そんな台詞ここのアクター誰も言わないのに…。」

「このお化け屋敷、本物幽霊がいるわ!」
そう言うとアクターは仕事どころじゃなくなり逃げ出してしまった。その恐怖が周りのアクターにも伝染したのか皆お化け屋敷から逃げ出し俺とサエコだけの二人だけの空間になってしまった。

「しょうたくん。これで二人だけの空間になったね🖤」


「サエコ…。お前情緒どうなってんだ。怖えーよ!」

「だって怖すぎたんだもん!そりゃ叫ぶでしょ!」

今日はお化け屋敷よりも電車に乗っている時の方が怖かった。でも俺は諦めない。絶対サエコを最強の幽霊にして見せる。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...