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29 南の国 ※
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何度かスーリに抱かれ、甘い疲労感に包まれたままシャルリンテは知らぬうちに眠っていた。
後ろから、耳にキスをされ、うとうとしながらも目を覚ます。
「…シャルリンテ様…もう一回…してもいいですか?」
クチュッ…チュッ…と音を立てながら、スーリは耳に執拗なキスを繰り返す。
スーリは、半分寝ているシャルリンテの両手を開くように、ベッドに押し付けた。
「猿で…すみません。でも、酔っぱらってしまって自制が利かない……というのは言い訳で、ただ、やりたい…」
耳元で囁くスーリの声がシャルリンテに心地よく響く…。
「…他の男も、そう思ってくれるかしら…」
「…他の…男……?」
スーリは、ピタリと動きを止めてシャルリンテに聞き返した。
「…私と寝るのだけでは…満足できないって事ですか…?」
「そうじゃなくて…お金を払ってでも私としたいって人、もしかしているかもしれないじゃない…」
「お金…?一体何の話をしているんですか…?そもそもあなたは、足を開いて寝ているだけで……。私がお金をもらいたいぐらいだ…」
シャルリンテは、スーリにそう言われ、急に自分が恥ずかしくなった。
そして、顔を赤らめながら言った…。
「…じゃあ、あなたが男の悦ばせ方…教えてくれればいいじゃない…。魔力がなくても、売春婦にはなれるんでしょう?私だって、がんばれば……」
「…なんで私が、他の男を悦ばせる手ほどきをしなきゃいけないんですか…。私は今のあなたのままでいい…。いえ、もっと無能な方がいい…です…」
そう言うと、スーリはシャルリンテの両手を押さえたまま、唇を近づけキスをした。
そして、何度か優しいキスを繰り返したスーリは、シャルリンテを見つめ優しく微笑んだ。
「…あと、996回私に抱かれれば魔力がもどりますよ。魔力が戻れば、体を売らなくてもお金を稼げるのでは?だから、それに挑戦しませんか?王女様…」
「挑戦できる…ならね……。スーリ、私、考えたんだけど…サシュナではない国へ向かうっていうのはどう?戻っても、遠回りになってもいいから…。サシュナは恐ろしい国と聞くし…」
シャルリンテは一筋の希望を込めてスーリに提案してみた…。
もし、違う国に行ってもいいと言ってくれたら……。
シャルリンテの期待もむなしく、スーリの甘い表情はさっと変わり、スーリは冷酷に言い放った。
「今更、来た道を戻って違う国に行くなんて…。狂気の沙汰です。のこのこ捕まりに戻るようなものですよ…。我が儘を言わないでください…王女様。引きずってでもサシュナに連れて行きます…」
「一人で…行けばいいじゃない。私は行かなくてもいいでしょ?怖いし…どうしても行きたく…ない」
スーリはため息をついて、身を起こした。
「確かに…サシュナは閉鎖的な国柄ですが…一瞬、寄るだけで長居はしません。すぐに、南へ飛びます」
シャルリンテはふと、気になっていた事をスーリに聞いた。
「…なぜ、南に向かうの?」
「…シーセントもカリストも北の国で…年中寒くて、暗い。暖かい季節は一瞬だ。あなたと、明るくて暖かい国に行けたら楽しそうだな…と、いつも憧れていた。ただ、それだけです…」
シャルリンテは、見た事もない南の国を思い浮かべ、自分も行ってみたいと思った。
しかし、スーリのイメージの中に、自分は本当に存在しているのだろうか……。
スーリの隣にいるのは、自分ではなく、お金なのでは…。
自分には、サシュナのその先の国などはなく……。
行く先があるとすれば、拷問部屋かカリストの地下牢…。
シャルリンテはゆっくりと起き上がり、深いため息をついた。
そして、自分が何も身に着けていない事に気がつき、暗い顔で床に落ちていた自分の寝間着を拾った。
不器用に、もそもそと寝間着を着始めたシャルリンテを見て、スーリは侍女の時のように着るのを手伝い始める。
スーリは寝間着のボタンを留めながら、シャルリンテに言った。
「何を…そんなに怖がっているんですか…?」
──私をサシュナに売り飛ばすって本当なの?
喉まで出かかった言葉を、シャルリンテはぐっと飲み込んだ。
後ろから、耳にキスをされ、うとうとしながらも目を覚ます。
「…シャルリンテ様…もう一回…してもいいですか?」
クチュッ…チュッ…と音を立てながら、スーリは耳に執拗なキスを繰り返す。
スーリは、半分寝ているシャルリンテの両手を開くように、ベッドに押し付けた。
「猿で…すみません。でも、酔っぱらってしまって自制が利かない……というのは言い訳で、ただ、やりたい…」
耳元で囁くスーリの声がシャルリンテに心地よく響く…。
「…他の男も、そう思ってくれるかしら…」
「…他の…男……?」
スーリは、ピタリと動きを止めてシャルリンテに聞き返した。
「…私と寝るのだけでは…満足できないって事ですか…?」
「そうじゃなくて…お金を払ってでも私としたいって人、もしかしているかもしれないじゃない…」
「お金…?一体何の話をしているんですか…?そもそもあなたは、足を開いて寝ているだけで……。私がお金をもらいたいぐらいだ…」
シャルリンテは、スーリにそう言われ、急に自分が恥ずかしくなった。
そして、顔を赤らめながら言った…。
「…じゃあ、あなたが男の悦ばせ方…教えてくれればいいじゃない…。魔力がなくても、売春婦にはなれるんでしょう?私だって、がんばれば……」
「…なんで私が、他の男を悦ばせる手ほどきをしなきゃいけないんですか…。私は今のあなたのままでいい…。いえ、もっと無能な方がいい…です…」
そう言うと、スーリはシャルリンテの両手を押さえたまま、唇を近づけキスをした。
そして、何度か優しいキスを繰り返したスーリは、シャルリンテを見つめ優しく微笑んだ。
「…あと、996回私に抱かれれば魔力がもどりますよ。魔力が戻れば、体を売らなくてもお金を稼げるのでは?だから、それに挑戦しませんか?王女様…」
「挑戦できる…ならね……。スーリ、私、考えたんだけど…サシュナではない国へ向かうっていうのはどう?戻っても、遠回りになってもいいから…。サシュナは恐ろしい国と聞くし…」
シャルリンテは一筋の希望を込めてスーリに提案してみた…。
もし、違う国に行ってもいいと言ってくれたら……。
シャルリンテの期待もむなしく、スーリの甘い表情はさっと変わり、スーリは冷酷に言い放った。
「今更、来た道を戻って違う国に行くなんて…。狂気の沙汰です。のこのこ捕まりに戻るようなものですよ…。我が儘を言わないでください…王女様。引きずってでもサシュナに連れて行きます…」
「一人で…行けばいいじゃない。私は行かなくてもいいでしょ?怖いし…どうしても行きたく…ない」
スーリはため息をついて、身を起こした。
「確かに…サシュナは閉鎖的な国柄ですが…一瞬、寄るだけで長居はしません。すぐに、南へ飛びます」
シャルリンテはふと、気になっていた事をスーリに聞いた。
「…なぜ、南に向かうの?」
「…シーセントもカリストも北の国で…年中寒くて、暗い。暖かい季節は一瞬だ。あなたと、明るくて暖かい国に行けたら楽しそうだな…と、いつも憧れていた。ただ、それだけです…」
シャルリンテは、見た事もない南の国を思い浮かべ、自分も行ってみたいと思った。
しかし、スーリのイメージの中に、自分は本当に存在しているのだろうか……。
スーリの隣にいるのは、自分ではなく、お金なのでは…。
自分には、サシュナのその先の国などはなく……。
行く先があるとすれば、拷問部屋かカリストの地下牢…。
シャルリンテはゆっくりと起き上がり、深いため息をついた。
そして、自分が何も身に着けていない事に気がつき、暗い顔で床に落ちていた自分の寝間着を拾った。
不器用に、もそもそと寝間着を着始めたシャルリンテを見て、スーリは侍女の時のように着るのを手伝い始める。
スーリは寝間着のボタンを留めながら、シャルリンテに言った。
「何を…そんなに怖がっているんですか…?」
──私をサシュナに売り飛ばすって本当なの?
喉まで出かかった言葉を、シャルリンテはぐっと飲み込んだ。
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