公開処女喪失させられた王女は魔力を奪われました

空田かや

文字の大きさ
29 / 47

29 南の国 ※

しおりを挟む
何度かスーリに抱かれ、甘い疲労感に包まれたままシャルリンテは知らぬうちに眠っていた。

後ろから、耳にキスをされ、うとうとしながらも目を覚ます。

「…シャルリンテ様…もう一回…してもいいですか?」

クチュッ…チュッ…と音を立てながら、スーリは耳に執拗なキスを繰り返す。

スーリは、半分寝ているシャルリンテの両手を開くように、ベッドに押し付けた。

「猿で…すみません。でも、酔っぱらってしまって自制が利かない……というのは言い訳で、ただ、やりたい…」

耳元で囁くスーリの声がシャルリンテに心地よく響く…。

「…他の男も、そう思ってくれるかしら…」

「…他の…男……?」

スーリは、ピタリと動きを止めてシャルリンテに聞き返した。

「…私と寝るのだけでは…満足できないって事ですか…?」

「そうじゃなくて…お金を払ってでも私としたいって人、もしかしているかもしれないじゃない…」

「お金…?一体何の話をしているんですか…?そもそもあなたは、足を開いて寝ているだけで……。私がお金をもらいたいぐらいだ…」

シャルリンテは、スーリにそう言われ、急に自分が恥ずかしくなった。

そして、顔を赤らめながら言った…。

「…じゃあ、あなたが男の悦ばせ方…教えてくれればいいじゃない…。魔力がなくても、売春婦にはなれるんでしょう?私だって、がんばれば……」

「…なんで私が、他の男を悦ばせる手ほどきをしなきゃいけないんですか…。私は今のあなたのままでいい…。いえ、もっと無能な方がいい…です…」

そう言うと、スーリはシャルリンテの両手を押さえたまま、唇を近づけキスをした。

そして、何度か優しいキスを繰り返したスーリは、シャルリンテを見つめ優しく微笑んだ。

「…あと、996回私に抱かれれば魔力がもどりますよ。魔力が戻れば、体を売らなくてもお金を稼げるのでは?だから、それに挑戦しませんか?王女様…」

「挑戦できる…ならね……。スーリ、私、考えたんだけど…サシュナではない国へ向かうっていうのはどう?戻っても、遠回りになってもいいから…。サシュナは恐ろしい国と聞くし…」

シャルリンテは一筋の希望を込めてスーリに提案してみた…。

もし、違う国に行ってもいいと言ってくれたら……。

シャルリンテの期待もむなしく、スーリの甘い表情はさっと変わり、スーリは冷酷に言い放った。

「今更、来た道を戻って違う国に行くなんて…。狂気の沙汰です。のこのこ捕まりに戻るようなものですよ…。我が儘を言わないでください…王女様。引きずってでもサシュナに連れて行きます…」

「一人で…行けばいいじゃない。私は行かなくてもいいでしょ?怖いし…どうしても行きたく…ない」

スーリはため息をついて、身を起こした。

「確かに…サシュナは閉鎖的な国柄ですが…一瞬、寄るだけで長居はしません。すぐに、南へ飛びます」

シャルリンテはふと、気になっていた事をスーリに聞いた。

「…なぜ、南に向かうの?」

「…シーセントもカリストも北の国で…年中寒くて、暗い。暖かい季節は一瞬だ。あなたと、明るくて暖かい国に行けたら楽しそうだな…と、いつも憧れていた。ただ、それだけです…」

シャルリンテは、見た事もない南の国を思い浮かべ、自分も行ってみたいと思った。

しかし、スーリのイメージの中に、自分は本当に存在しているのだろうか……。

スーリの隣にいるのは、自分ではなく、お金なのでは…。

自分には、サシュナのその先の国などはなく……。

行く先があるとすれば、拷問部屋かカリストの地下牢…。

シャルリンテはゆっくりと起き上がり、深いため息をついた。

そして、自分が何も身に着けていない事に気がつき、暗い顔で床に落ちていた自分の寝間着を拾った。

不器用に、もそもそと寝間着を着始めたシャルリンテを見て、スーリは侍女の時のように着るのを手伝い始める。

スーリは寝間着のボタンを留めながら、シャルリンテに言った。

「何を…そんなに怖がっているんですか…?」

──私をサシュナに売り飛ばすって本当なの?


喉まで出かかった言葉を、シャルリンテはぐっと飲み込んだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...