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第83話 孤児院へ
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病院を出ていると待ち構えていたのは、サティだった。『シャラディ病院』と書かれた看板の上を、堂々と足蹴にしながら座っていた。
「やあ、どこに行くかは分かったかい?」
「大体な。おかげさまで魔力も回復した。次に行くのは邪神教の1人が暮らしていたと記録してある孤児院だ。情報をまとめると、そこにしか手がかりはないような気がする」
「それは結構。じゃあ私も付いていくことにするよ」
ピョンと立ち上がるとサティは俺の隣に立った。どこでもらったのか、ジャムを挟んだパンをもぐもぐと食べながら、俺の横を歩き始めた。
「おまえが自ら行動するなんて珍しいな」
「今回は流石に君の手にもあまるんじゃないかと思ってね」
「俺のこと、信用していないのか」
「うん、今回の件に限ってはね。力でどうにかなる問題でもないんだ。ましてや君は頭が柔らかくないからね、中身はおっさんだし」
さらっと傷つくことを言いながら、サティはパンを飲み込んだ。
何を考えているかは定かではないが、付いてきてくれるのなら有難い。純粋な戦力としてサティ以上のものは無いのだから。
「ところで、目的の孤児院の場所は分かってるのかい?」
「大体の検討は付いている。イザーブの近郊にあるはずだ。魔物の襲撃で建物が破壊されていないか、心配だけど」
リタから聞いた情報によると、孤児院はイザーブの南の外れにあったらしい。ここからイザーブまではだいたい3日歩けばたどり着く。
創立祭を終えたカルカットは、もう普段通りの様子に戻っていた。人と出店で賑わう通りを歩いていくうちに、サティが抱えている食料は2倍に膨れ上がっていた。
「お前なぁ……遠足に行くんじゃないだぞ」
「遠足じゃなければ、デートかな?」
「違う違う、これはレイナを助けに行くという重大な……」
使命、だと言おうとした言葉が途中で止まる。サティが視線をやっている先に2つの人影があることに気づいてしまった。
ナツとパトレシアだ。
「あ、アンクだー。おーい!」
「アンク、奇遇じゃない。昨日ぶりだね」
まるで待ち構えていたように、2人は俺たちの行く手を塞ぐように立っていた。
「どこに行くの?」
逃げ場がない。
見ると2人の格好は、冒険をするような格好で整えられていた。馬鹿でかいリュックに沢山の荷物を抱えて、まるで俺が最初からどこに行くか知っているみたいだった。
「いや。実はもう帰るんだ」
「ほんと? サラダ村は方向はあっちだけど」
「……ぐ」
言い訳が聞かない。ナツとパトレシアは目を輝かせて俺のことを見ている。そんな2人を見ながら、サティが呆れたように言った。
「ほら、デートって言っただろ。優しい君のことだ。きっと2人も連れて行くんだなぁ」
そう問われると、否定はできない。
だが今回ばかりは、サティがいるとはいえ、どう事態が転ぶかも分からない。正直に言って、断るしか無い。
「……実は、レイナを助けに行くんだ。とても危険なところで、2人を連れていくわけには……」
「私たちも行く!」
最初から分かっていたと言わんばかりに、ナツがぴょんぴょんと跳びながら自己主張をした。
「危険なところなら尚更だよ! レイナちゃんの危機なら、私たちだって役に立ちたい!」
「そう言われても、危険は危険。ダメなものはダメだ」
「また、魔力炉が枯渇したらどうするの。サティさん1人じゃ荷が重いんじゃない?」
続けてパトレシアが反論してくる。確かに魔力が枯渇した時は、人が多ければ多いほど有難い。
しかし待っているのは『異端の王』だ。万が一ということもある。2人が危険に晒されないという保証はできない。
「どうする、サティ?」
「私は反対だけど、魔力要因としては悪くない。子作りも進むし」
「お前な。真面目に考えてくれよ」
俺の言葉に「私はどっちでも良い」とサティは肩をすくめただけで、それ以上何も言おうとはしなかった。
最初から誰にも期待はしていないと顔が言っていた。
「連れて行くしかないのか……」
期待を込めた視線を向ける2人にこれ以上何も言えなかった。2人だってレイナの友達だし、役に立ちたいというのは本当だろう。
こっちには女神もいるし、いざとなればサティに丸投げすれば良いか。
「分かった。その代わり危険を感じたら、すぐに帰ってもらうからな」
「やったー!」
喜んで飛び跳ねた2人は、俺に寄り添うように抱きついた。ぎゅうっと抱きしめられて、腕がおっぱいで挟まれた。
「両手に花だねぇ」
サティがにこにこと笑いながら、進んでいく。
パトレシアとナツは付いていくことが嬉しくて仕方ないらしく、うきうきとした足取りで俺のことを引っ張り始めた。
浮かれている2人に、張り詰めていた緊張が随分と狂わされてしまった。これからイザーブまでの3日の間、何も起こらない事を切に願っている。
「やあ、どこに行くかは分かったかい?」
「大体な。おかげさまで魔力も回復した。次に行くのは邪神教の1人が暮らしていたと記録してある孤児院だ。情報をまとめると、そこにしか手がかりはないような気がする」
「それは結構。じゃあ私も付いていくことにするよ」
ピョンと立ち上がるとサティは俺の隣に立った。どこでもらったのか、ジャムを挟んだパンをもぐもぐと食べながら、俺の横を歩き始めた。
「おまえが自ら行動するなんて珍しいな」
「今回は流石に君の手にもあまるんじゃないかと思ってね」
「俺のこと、信用していないのか」
「うん、今回の件に限ってはね。力でどうにかなる問題でもないんだ。ましてや君は頭が柔らかくないからね、中身はおっさんだし」
さらっと傷つくことを言いながら、サティはパンを飲み込んだ。
何を考えているかは定かではないが、付いてきてくれるのなら有難い。純粋な戦力としてサティ以上のものは無いのだから。
「ところで、目的の孤児院の場所は分かってるのかい?」
「大体の検討は付いている。イザーブの近郊にあるはずだ。魔物の襲撃で建物が破壊されていないか、心配だけど」
リタから聞いた情報によると、孤児院はイザーブの南の外れにあったらしい。ここからイザーブまではだいたい3日歩けばたどり着く。
創立祭を終えたカルカットは、もう普段通りの様子に戻っていた。人と出店で賑わう通りを歩いていくうちに、サティが抱えている食料は2倍に膨れ上がっていた。
「お前なぁ……遠足に行くんじゃないだぞ」
「遠足じゃなければ、デートかな?」
「違う違う、これはレイナを助けに行くという重大な……」
使命、だと言おうとした言葉が途中で止まる。サティが視線をやっている先に2つの人影があることに気づいてしまった。
ナツとパトレシアだ。
「あ、アンクだー。おーい!」
「アンク、奇遇じゃない。昨日ぶりだね」
まるで待ち構えていたように、2人は俺たちの行く手を塞ぐように立っていた。
「どこに行くの?」
逃げ場がない。
見ると2人の格好は、冒険をするような格好で整えられていた。馬鹿でかいリュックに沢山の荷物を抱えて、まるで俺が最初からどこに行くか知っているみたいだった。
「いや。実はもう帰るんだ」
「ほんと? サラダ村は方向はあっちだけど」
「……ぐ」
言い訳が聞かない。ナツとパトレシアは目を輝かせて俺のことを見ている。そんな2人を見ながら、サティが呆れたように言った。
「ほら、デートって言っただろ。優しい君のことだ。きっと2人も連れて行くんだなぁ」
そう問われると、否定はできない。
だが今回ばかりは、サティがいるとはいえ、どう事態が転ぶかも分からない。正直に言って、断るしか無い。
「……実は、レイナを助けに行くんだ。とても危険なところで、2人を連れていくわけには……」
「私たちも行く!」
最初から分かっていたと言わんばかりに、ナツがぴょんぴょんと跳びながら自己主張をした。
「危険なところなら尚更だよ! レイナちゃんの危機なら、私たちだって役に立ちたい!」
「そう言われても、危険は危険。ダメなものはダメだ」
「また、魔力炉が枯渇したらどうするの。サティさん1人じゃ荷が重いんじゃない?」
続けてパトレシアが反論してくる。確かに魔力が枯渇した時は、人が多ければ多いほど有難い。
しかし待っているのは『異端の王』だ。万が一ということもある。2人が危険に晒されないという保証はできない。
「どうする、サティ?」
「私は反対だけど、魔力要因としては悪くない。子作りも進むし」
「お前な。真面目に考えてくれよ」
俺の言葉に「私はどっちでも良い」とサティは肩をすくめただけで、それ以上何も言おうとはしなかった。
最初から誰にも期待はしていないと顔が言っていた。
「連れて行くしかないのか……」
期待を込めた視線を向ける2人にこれ以上何も言えなかった。2人だってレイナの友達だし、役に立ちたいというのは本当だろう。
こっちには女神もいるし、いざとなればサティに丸投げすれば良いか。
「分かった。その代わり危険を感じたら、すぐに帰ってもらうからな」
「やったー!」
喜んで飛び跳ねた2人は、俺に寄り添うように抱きついた。ぎゅうっと抱きしめられて、腕がおっぱいで挟まれた。
「両手に花だねぇ」
サティがにこにこと笑いながら、進んでいく。
パトレシアとナツは付いていくことが嬉しくて仕方ないらしく、うきうきとした足取りで俺のことを引っ張り始めた。
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