最強のアラサー魔導師はかつての弟子達に迫られる~ただ冒険者を始めようとしただけなのに弟子達がそれを許してくれない~

おやっつ

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第3章:始まるは学院対抗戦

第55話:合宿6日目①│聖女の補助魔術の効果とは………?

あれから俺は、ハルと何気ない会話を繰り広げ、ほかの3人が起きてくるのを待っていた。ただ起きてきたタイミングは俺らがご飯を済ませた時でもなく、歯を磨いた後でもなかった。

「おはようございます………。」
3人は大きなあくびをしながら一緒に起きてきた………日が暮れ、辺りが暗くなり始めた時に。

「いくら休日とはいえ、少し寝すぎなんじゃないのか?」
「………はい。」

3人は何も言い返せない様子で立っていた。たしかに休日だし、少し寝すぎだとは思うが寝ていたことは問題ではない。本当に問題なのは、今日寝すぎたことで明日の練習で全力を出せなくなることだ。

「………まぁいいか。」
ちゃんと反省している様子の3人を見ていると、これ以上注意する必要もないと思った俺はそこで言葉をとめた。

「とりあえず、みんな歯磨いてこいよ~。」
「は~い………。」
3人は足元がおぼつかない様子のまま、洗面所へと向かって行った………右に左にとフラフラしながら。

「やっと起きてきたな………って、。」
さっきまで隣で話していたハルが、ソファに横になって寝てしまっていた。片方が起きてる時に片方が寝る………スイッチのオンオフ機能みたいだな。

スイッチがオンになった3人とご飯を食べながら、また1日が終わる。明日からはまた稽古三昧だ………みんななまってないと良いけど。

───翌日
また今日も早朝、俺らは集まっていた。稽古を始める準備をしていた………それにしても、みんなの顔がやつれている。サラも含めて、昨日の夕方に起きてきた勢は特に辛そうだ。

「先生………今日は休みに………」
「ダメだ。」

何かを言い始めようとしていたセイハを、俺は言い終わる前にとめた。正直俺もその言葉に賛成だったけど、セシリアに勝つためにはうかうかしていられない。

「今日やる稽古は模擬戦だ。ただ、セシリア………聖女と戦うときのシュミレーションを行う。」
「シュミレーション………ですか?」

「あぁ、セシリアは補助魔術の中でも回復魔法と付与魔法が人間離れしている。だから俺がハルに付与魔術をつけて、ハルとリオナ,セイハと俺と言っても俺はセシリアと同じように補助しかしないから、実質1対2をしてもらう。」
「1対2………。」

「普通に考えればリオナとセイハは神級魔導師、ハルは彗級魔導師、それで1対2をするとなれば結果は目に見えている………ただ、それを覆せてしまうのが付与魔術なんだ。それを3人には実体験してもらう。」

実際、本当に付与魔術は人の強さを何倍にも上げることができる。それに加えてセシリアのものとなれば、聖国の残り2人の強さはこっちの3人がかりでも敵わない程になるだろう。

さらに、そこにセシリアの守護結界でこっちの攻撃が通らないとなれば………勝ち負けは火を見るよりも明らかだ。

「………能力上昇(ステータスアップ)。」
「おぉ………魔力も身体能力も上がってる。」

おそらく初めて付与魔術を受けたであろうハルは、自分の手で魔術を作ってみたりそこら辺を駆け回ってみたりと色々試していた。そこで気づいたことをハルは口にした、

「私の体じゃないみたい………。」
「そう、その感覚が大事なんだ。」

「これって、大事な感覚なの?」
「あぁ、つまりは強さも別人のようになる。試しに少し魔術を撃ってみてくれ。」
「わかった………火球(ファイアーボール)。」

ハルの放った魔術は、空高く打ち上がり第2の太陽のように辺りを照らした。火球は火属性の初級魔術、本来はこんな威力はでないはず………“普通”なら、だ。
この威力を普通に出すには聖級魔導師でも難しかったりする。一応自分に付与魔術を使うという裏技もあるが………それは聖級魔導師にとっても至難の業だからあてにはならない。

「とりあえず1回、試しに戦ってみるか。」
「え………もうですか?」
「もうって言っても………全員が集合してから10分は経つぞ。」

一方、今日は俺が稽古をつけるから、サラは好きなことをことをしてくれと言ったんだが………
───ドガァン
何回も何回も2つ先の山に魔術を打ち込み、山を破壊していた。思ったよりも脳筋な練習方法をしているとは意外だった。

そうして3人の方に戻り、俺が火球を空に撃ったのを合図に全員は一斉に動き出した。
向こう側に居る2人はそれぞれで魔術を作りながら2人の混合魔術を作っていた。ただ………
 
「火球。」
その瞬間、バンという音とともにリオナとセイハの張った守護結界にヒビを入れた。その守護結界を張った2人は、咄嗟の出来事で作り途中の魔術を疎かにしてしまった………つまり、ハルに攻撃をするための魔術が無くなってしまった。

「くっ………。」
そのままハルの攻撃から逃げながら、2人は作戦を練っていた。さぁ、ここからどう出てくるか………サラと戦った時の作戦はセイハが考えたものだ。つまり今回もここでは終わらないだろう、そう思った矢先、

「先生………。」
「あぁ、魔力が大きくなってきている。」

本当に、微妙に、辺りに漂う魔力が大きくなったり少なくなったりする時、それは誰かが魔術を使おうとしていたりそれをカモフラージュしていることが多い。
一体、何をしてくる………?

「リオナ。」
「うん、分かってる。」

何かコソコソと話した2人は、リオナにセイハが守護結界を張ってリオナがハルに突っ込んできていた。
一方セイハは、自分のありったけの魔力と頭脳を使って守護結界に全振りしていた。

「まさかとは思うが、そのまま突っ込んでくるつもりか?いや流石に………。」

───バキーン!
こいつらアホなのか………?セイハもなんで気づかなかったんだよ。

ハルに突っ込んできたリオナは、なんの魔術も使わず守護結界を纏った拳を飛ばしてきた。それに応えるようにハルも拳を出したが………ハルが纏っている守護結界は俺が張っているものだ。

今目の前で起きているように、セイハの張った守護結界が破られるに決まっているだろう………これは、実戦経験を補うために何回も模擬戦しないとな………いや、

「下がれ、ハル!」

俺の声に反応したハルは1歩だけでかなり大きく引いた。ハルのその行動は正しかった、だってその瞬間
───ピカッ 
さっきまでハルがいた場所に隕石(?)が降ってきた。

これは火属性と土属性の合わせ技か………つまり、リオナの守護結界に魔力を使ったとみせかけるフェイクに俺らはまんまと引っかかったわけか。

「やってくれたな………」
一瞬だけでも勝ちを確信して油断した俺を殴りたい、
それでもまだ負けていない、お互いに今の強さは互角………ここからは戦略の戦いだよな。

「それじゃあ、負けるわけにはいかないな───。」
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