最強のアラサー魔導師はかつての弟子達に迫られる~ただ冒険者を始めようとしただけなのに弟子達がそれを許してくれない~

おやっつ

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第3章:始まるは学院対抗戦

第57話:合宿7日目①│序列3位、無慈悲のクラッシャー

───翌日

「シューファさん、お久しぶりです!」
次の日、俺はある人物を呼んでいた。
そう、目の前にいる若い爽やか系イケメンだ。

「あ、サラさんは会ったことあったけど君たちは初めましてだったね。」
その男は卓越したコミュニケーション能力で3人に話しかけていた。

「俺はラルト!聖級魔導師、序列3位だよ。
なぜかここに居るとかすれて見えるけどね………。」

そういうラルトの目には光が宿っていなかった。序列1位の俺と2位のサラがいるから、自分が目立たないのが悲しいのか………?

「聖級魔導師第3位………つまりセシリアさんよりも実力が上なんですね。」

「そうだよ!というか、セシリアは俺とシューファさんで稽古つけてたからね、それはそれは強いよ~。」

そう3人の自信をなくそうとしているラルトだったが、その目は真面目なことを発している目だ。おそらく、3人を試しているのだろう。

「俺も教えたっていっても、ほとんど俺は師匠というよりも親という感じだろう。」

「それもそうですね!大きくなるまでシューファさんの家に住んでシューファさんは父さんとも呼ばれてますしね。」

「先生はセシリアさんと仲がいいんですね。」
「一応な。仲がいいというのとはまた違った感じなんだけどな。」

そう、実はセシリアはもともと俺と一緒に住んでいて、俺とラルトで稽古をつけていた。そして強くなっていく途中、聖国にスカウトされて俺の元から旅立った。だからミラとも面識があって2人とも姉妹のようだ。

「それはそうと、俺は今日なんで呼ばれたんです?」
「………この3人に、魔術消去(キャンセル)を教えてほしい。」

「………シューファさん、それは本気なんですか。」
さっきまでおちゃらけてるようなイメージだったラルトが、真面目なトーンと口調に変わった。

「あぁ、本気だ。おれが見込んだ通りであれば、この3人のうち誰かは必ず習得できる。」

俺もまた、真面目な話し方でラルトに応えた。
その時、ラルトはいつものように顔を緩ませて話し始める。

「シューファさんが言うなら、そうなんでしょうね。それに俺も、さっき見た3人の目でもしかしたら………とも思いましたしね。」

やはりさっきのあれは、そのことをそのことを確認するためだったのか。

「あの、魔術消去って………どういう魔術なんですか?」
「あぁ、魔術消去は文字通り、“発動した魔術、発動する前の魔術に介入し、消去”する魔術だ。」

「そうそう!これは俺が創った魔術だし、色んな人に教えようとしたけど、実際に使えるようになったのは俺とシューファさんだけだから………。」

そこでラルトは1度言葉を区切り、3人に目を合わせてまた口を開く。

「諦めた時、俺はすぐに帰る。正直、俺の稽古は単調で疲れないが、だからこそキツイ。
お前らは俺………聖級魔導師第3位、またの名を『無慈悲のクラッシャー』の稽古に、ついてこられるかな?」

意地悪な顔をしながらそう言うラルトは、どこか期待しているような、何も関心を持っていないような、どちらとも感じ取らせ、感じ取らせない。そんな目を3人に向けてこちらに来いと言わんばかりに手招きをする。

それに応えるように3人はラルトの元へと向かう。
その刹那、3人の目の前からラルトの姿が消える。
次にラルトが現れた時は、目と鼻の先ほどの所にいた………

「っ………!!」
ラルトは拳を差し出す。だがそれよりも早く、3人は守護結界を張った。

「魔術消去。」
───トン
ハルトの右手は、守護結界を割ることなく、リオナの肩へと届く。その事実は3人にとってこれまで起きたことのないことで、起こることとも思っていなかった。

「これが魔術消去だ。もしこれまでに使えるやつで悪い奴がいたら、人殺しは簡単だったろうな………今みたいに自分の力を過信してるやつだと尚更な。」

「……………………。」
別に過信はしていなかっただろう。ただ、ラルトの拳を止められなかったという事実、それだけで3人に沈黙をつくるには充分だった。

「あんまりからかってやるなよ。」
「わかってますって~!じゃあ3人とも行くぞ。」

本当にわかったのだろうか………?
今度こそラルトについて行く3人は、妙に警戒しながらゆっくりと、ある程度の距離を空けながら付いて行った………信頼がない状態をつくってからスタートするなんて、ラルトらしいっちゃラルトらしいな。

ラルトはこれまで何十人、何百人とこの魔術を教えようとしてきた。だが、誰も使えることはなかった………その度、俺らには想像できないことを言われたらしい。「騙された。」「才能があるのを良いことに。」「どうせ俺は………。」
そんな言葉が生ぬるいほど。

その時はまだ、ラルトは序列5位だった。そして諦めようとした時、セシリアと出会った。セシリアは魔術消去を使えなくても、ラルトから離れることはなかった。それだけで、ラルトは救われた。

そのことからラルトは、信用出来る者以外とは関係を築かなかった。

「だからこそそれを糧に、ラルトは強くなったんだろうな………。」

その男の背中は、俺が初めて出会った時より大きく、頼もしかった。きっとこの3人の背中も、いつかは誰かが追いかける背中となるのだろう───。
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