最強のアラサー魔導師はかつての弟子達に迫られる~ただ冒険者を始めようとしただけなのに弟子達がそれを許してくれない~

おやっつ

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第3章:始まるは学院対抗戦

第61話:再会は懐かしさを感じるカフェで

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「おい……誰かわからないが、そろそろ離してくれないか?」

俺はそのある少女に話しかける。
敵意は感じないが……俺とラルトは話している最中も決して油断はしない。

その頼みにその少女は「そうですね。」と一言置き、シューファの問いかけに応えるようにその少女はゆっくりとその腕の力を抜きながら立ち上がる。
そしてその少女と俺らの目線が交わった時、

「セシ……リア……?」
その瞬間、ラルトは震える声でその言葉を吐き出す。
そう、俺らの元へ駆けつけてきた、フードを被った“ある少女”の正体はセシリアだった。

「お久しぶりです、シューファさん、ラルトさん。」
本当に久しぶりに聞くその声は、懐かしさを覚える奥に、どこか真新しさが混じっていた。

その声を聞いて頭が回り出した時には、ラルトは先程のセシリアのように抱きつく。
周りからすればいろいろと危ない光景だが……俺ら3人からすると親子の再会のようなものだ。

「そういえば、どうしてセシリアがここに居るんだ?」

俺らが居るところは帝国の中でも王国寄りで、聖国から離れた方に位置する。
つまり、ここに居るってことは1度帝国を通り過ぎているということだ。

「それが……一緒に出場する予定の2人とはぐれてしまって、迷ったまま彷徨っていたら、見覚えのあるチェーン店のカフェが見えたので入ってみたんです。」

セシリアは少し恥ずかしそうな笑顔のまま話した。

「そしたらお2人に会えたんです。」
と、嬉しそうな顔をしてくれた。
その隣には……未だに涙もろいラルトがヒックと涙をすすっていた。

「はぐれたなら、俺らと一緒に来るか?シューファさんはもちろん大丈夫だろうし、生徒の3人と先生も優しいぞ。」

涙が止まったラルトは、迷子のセシリアにそう提案する。その提案にセシリアは「そうですね……。」と手を顎にあてて考える様子をし、

「他の皆さんがよろしいと言うなら、着いていきたいです。」
と、答えた。

◇◇◇

久しぶりの再会の驚きと、帝都まで一緒に向かう話にひと段落着いたシューファ達は、何気ない雑談を繰り広げていた。

「そうか……じゃあ聖国に行ってからもやっぱりセシリアは優秀だったんだな。」
「自分で言うのは恥ずかしい話ですけどね……。」

セシリアは聖国に行っても、聖女としてこれまで国のために頑張ったことを話してくれた。
その話を聞く感じ、一般よりも上流階級の位置に就いていたらしい。

だから、今こうして話している最中も気品ある佇まいをしているのだろう。
癖、なのだろうか……?

「そういえば、ラルトはこれまでどうしていたんだ?あの時呼んだらすぐに来てくれたし……。」

「そういえば言ってなかったですね。俺は今、大陸中を旅していたんですよ。」

「大陸中を旅、か?」

少し意外な答えを聞き、聞き返してしまったその言葉にラルトは「そうです。」と返事をし、旅であったことを話してくれた。

「たしかまず最初に、道に迷ったところから始まったんですよね……。」

ラルトの話曰く、旅をし始めたのは今から2年ほど前だという。最初は行くあてもなく、ただひたすらに自分の信じた道を突き進んでいくと、日の明かりが入らない森の途中で道に迷ったらしい。

しかし、旅なのだから引き返すくらいなら突き進もうと思い、その森をただまっすぐ進んで行った……どこかセシリアに似ているな、と話を聞きながら思う。。

「そしたら森が開けてきて、3日間歩き続けてやっと隣の街まで移動できたんですよ。」

歩いて旅がしたかったラルトは、「あの時は本当に死ぬかとも思いましたね~」と能天気に語り続けた。

◇◇◇

ラルトの旅の話も終盤に差し掛かった頃、つい最近人生で初めて見て、これからの人生でこれ以上の戦いはないだろうという激戦をその目で見た話をしてくれた。

片方は羽が4つあり、目がキリッとした龍。もう片方は、風魔法を操る巨大な狼だったらしい。
その時、その戦いを遠くから見ていたラルトはある異変に気づく。
それは、周りに1匹たりとも生物がいなかったらしい。きっと、本能的にその場所を離れたのだろう。

「数時間の間その激戦を見届けて、結果的に勝ったのが狼の方だったんですよね……少し意外だなってことを思ったのも記憶に残っています。」

今も不思議に思ってそうな顔をしたラルトは少しだけ首を傾げる。

いや……思ったんだが、こと話、どこかで聞いたことがあるような?
なんだったっけか……狼……龍……そうか、フェンが戦ったって言っていたやつか。

答えを見つけることができた俺は、右手に持っている杖の魔石を見つめていた。

「その戦い、俺も見てみたかったな。」

その一言を、小さくこぼした……。
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