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転校生襲来編

29話 雑魚ですが脈ありでしょうか?

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 俺は、せっかくの休みなので桔梗の家に遊びに来ていた。いつも通り、スマブラをだらだらとしていた。

「どら食らえ!スマッシュ!」

「はい、かも」

「あっ、ちょやめ、やめて!」

「やめません」

「ぎゃあ!!」

 テレビの画面に『GAME SET』の文字が映る。

「くっそ、また負けたわ」

「俺にかかればこんなもんよ」

「もう一回だ!もう一回!」

 突然、俺のケータイが着信音がなった。
 ケータイの画面には、弟の風鈴の名前が出ていた。

「すまん、風鈴から電話きた」

「へーい」

 一旦、廊下で電話出る。

「もしもし、どした?」

「兄貴、助けてくれ」

「なんだ?また喧嘩でもしたんか?」

「いや逆だよ、喧嘩をふっかけられた」

「どういう事?」

「あんまり時間が無いんだ、俺達をかばって、金髪のお姉さんがそいつの相手をしてるんだ、お願いだ助けてくれ」

 金髪のお姉さん。
 その言葉を聞いて、嫌な予感がした。

「場所は、桔梗の親父さんの倉庫だな?」

「うん」

「わかった、丁度桔梗の家にいるから、一緒に来る」

「ありがとう」

「任せとけ!」


 そして、倉庫に全力疾走でたどり着きて、今。
 予想通り、向日葵の事だった。
 可愛い服が、伸び伸びになっている。
 少し離れた場所に向日葵を寝かした。

「気をつけてください、あいつ全然パンチが効ききません」

「どういう事だ?」

「私が、鳩尾にパンチを入れてもびくともしませんでした」

「……なるほどわかった、向日葵は、ここで休んどけ」

「ありがとう」

 俺は振り向き、竹中を睨み付ける。

「相変わらず、卑怯な事ばっかりしてるみたいじゃねぇか?」

「卑怯?なんのことだい?」

「とぼけても無駄だ、その服の下になんか着てるんだろてるんだろ?通りで向日葵のパンチも効かない訳だ」

「はっは、知ったところでどうする?俺から脱がすか?」

「そんなの決まってる」

 俺は、竹中の懐に潜り込む。
 そして、右脚で思いっきり股間を蹴り上げる。

「ぎゃああああ!!!」

 竹中は、痛みで股間を押さえながら転がり回る。

「防具が無いところを攻めるだけだ」

 転げ回る竹中を止め、馬乗りになって顔面を殴打する。

「やめ、やめて!、やめ」

「どうせお前の事だ、向日葵の話も聞かずにここに連れてきたんだろう?それとな、ここの倉庫は、俺たちの溜まり場を後輩にも使わせてやってるだけに過ぎない、てめぇらの場所じゃねーんだよ!」

 竹中の顔面が、ボロボロになった辺りでパトカーのサイレンが聞こえてきた。
 パトカーが2台ほど来て、中から警察官が出てきた。

「こんなことやったんだ、お前は、もう終わりだよ」

「ずみませぇ~ん!!この人にいじめられまぁぁす!!」

 竹中が、ボロボロの状態で叫ぶ。
 こんなになってもニヤニヤと笑っている。
 まじかよ、勘違いされるかもしれない。

「そこの少年、両手を上げなさい」

 警察官が、拳銃をこちらに向けて近づいて来る。
 仕方ない、俺は両手を上げ立ち上がる。
 すると、竹中がひょいと起き上がり、警察官の懐に潜り込む。

「あの人に暴行されましたぁ!!助けてくださぁい!!」

 警察官が、竹中の手首に手錠をかける。
 竹中が、驚いた表情をする。

「なんで、俺に手錠をかけるんだ!」

 すると、警察官の横から楓さんが現れる。
 楓さんは、竹中の目の前に黒い棒状の電子機器を見せた。

「これ?なんだと思う?」

「……ま、まさか」

 楓さんが、電子機器を操作すると音声が流れ始めた。

(無免許運転なんてしていいと思ってるの?)

(バレなきゃいいんだよ)

 その電子機器から楓さんと竹中の会話が流れる。
 竹中は、顔から血の気がひいていく。

「あんたみたいな馬鹿は、すぐに自分から証拠を用意してくれるから助かるわ」

「お前、お前!」

「その顔、蓮華君にやられたんだ、ボッコボコにやられてるわね」

 神奈月さんが、ニヤリと笑う。

「ざっこぉ」

「くそがあぁぁぁ!!」

「大人しくしろ!君もあんまり刺激しない!」

「はーい」

 竹中は、そのまま拘束されパトカーで運ばれた。
 俺達も事情聴取として、別のパトカーで警察署に行くことになった。
 同じパトカーに神奈月と紫陽花が乗っていた。

「神奈月さんありがとう、勘違いされたら面倒なことになる所だったよ」

「いえいえ、こちらこそ、君が桔梗を連れてきてくれたお陰で、こっちも早く呼べたわ」

 紫陽花が、急に俺に抱きついてきた。

「おいおい、どうした?」

「……向日葵を、向日葵を助けてくれてありがとう、来てくれなかったら間に合わなかったよ」

 紫陽花は、泣きじゃくって、顔がぐしゃぐしゃになりながらそう言った。
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