ツンデレは、今時モテません！？

壊された日常(日熊英一side)

俺は日熊英一だ。
自分で言うのもなんだがイケメンなんだな。
これもまた、自分で言うのもなんだが学園一のモテ男だ。

まぁ、もちろん、自分で言うために努力も欠かさない。
そして、俺の本性を知っている奴からはもれなくナルシストと言われる。
全然構わないんだがな。
表で王子様っぽくしてればすべてOK。

そんな俺の自信を崩してくれたやつがいた。

俺はなぁ、周りにいる誰からもイケメンだと言われたいんだよ。

そんなわけでその自信を壊してくれた話をしよう。


ある日、王子様っぽくしたい俺が珍しく本気で授業に遅れそうになっていた時。
いやぁ、あれはやばかったな。マジで王子様たる自分が...と思ったよ。
俺は完璧主義なんだ。

で、あれは確か曲がり角を曲がる時だったな。
どこかの女生徒にぶつかってしまったんだよ。

でもな、その女生徒が俺が誰か気付いた時点で謝りに来ると思ったんだ。
でも、来ない。

心配そうな目を向けているのに、来ない。

さすがの俺でも別になりたいのが王様ってわけでもないからな。
謝りに行ったわけよ。

そしたら、ボーっとしてたっていうから、いつも通り俺に見惚れてるのかと思ってな。
これまたいつも通りに声かけたわけよ。
「僕に見惚れてたから？」と。

そこからだよ。その美女の表情が鬼のように変わったのは。
あぁ？言ってなかったっけ？
ぶつかった女性は俺に劣らず凛としていて美人なんだよ。
真っ黒な黒髪ロングでな。強い意志を持った黒い目なんだよな。

まあ、一瞬俺も見惚れそうになったわけだけど...

ごほんごほんっ。

で、あれは確実に山姥の顔超えてたな。
美女が怒ると怖いとはよく言ったもんだよ。

それでな、その美女は俺にとってとても衝撃的な言葉を残して去っていったわけ。

「はぁ！？鏡を見てこい。自意識過剰野郎！」

あれにはさすがの俺もビビったな。
だって、そういう目線を受けたことはあっても直接言われたことはなかったからな。

お前でもあるんだってそう思ったそこの君！
もちろんあるさ。
人の種類はたくさんあるんだからな。

妬みに＋そういう風な目線を送ってきたり、本気で思ってそうな目線を送ってきたり。

でもな、直接言われるだなんて予想もしてなかったんだ。
しばらく何を言われたのかわからなくて、ボーっとしてしまった。

で、しばらくたった後、俺は動き出したんだ。
彼女に俺のことをイケメンだと言わせるためにね。
俺は今までの中で一番闘志に燃えていた。

それが俺の日常を壊された瞬間だった。

...まぁ、その前に少し鏡を見に行こうっと。

......決して言われたことを気にしてるわけじゃないぞ？