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仕事を見つけること
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しおりを挟むいよいよ仕事の話になったので、私達は席を外した。
「すごいわ、花子。」
「蓮音様に美味しいお茶をお届けするために、たくさん修行致しました。」
花子は嬉しそうだ。
…私は、生まれた時からその修行された“美味しいお茶”しか飲んだことがなかった。
当たり前だと思っていた裏に、花子の切実な努力があった事に今初めて気づいた。
「あ、お戻りですか。」
そこには、首にタオルをかけた太郎がいた。
「太郎、何をしていたの?」
そういえば姿を見なかった。
「蓮音様の分、やらせていただきました!」
そう言って敬礼する。
…そう言えば草刈りって!
「わ、私が出来なかった分?」
「蓮音様にあんなお辛いこと、させる訳には行きません。」
そう言って当たり前のように微笑む太郎。
しかし、私はいつもの通り褒美の言葉を言う事が出来なかった。
「…蓮音様?」
「な、なんでもないわ。ありがとう、太郎。」
「もったいないお言葉、恐れ入ります。」
太郎は嬉しそうだった。
この気持ちは何だろう?
ーー
しばらくすると、時雨がパタパタと戻ってくる。
扉が開くや否や、太郎に飛びついた。
「あんな時間に草刈りに出たの⁉︎」
背丈もあり筋肉質な太郎に対して、時雨は多少小柄だ。
「暇だったもんで…」
「危ないよ、熱中症なんかになったらどうするんだよ。」
時雨は怒っている。
太郎は満更でもない様子で、ごめんごめんと鼻先をかいた。
「あ、広瀬さんからお茶貰った?」
「ああ!緑茶だよって貰ったんだけど、時雨が入れたのとはだいぶ違うな。」
「…水出しだから。」
「なるほど?あと、この容器はすごいな、いつまで経っても中身が冷たかった。」
そう言って妙にテカテカした筒を振る。
「水筒だよ、魔法瓶の。」
「ま、魔法⁉︎」
「別に魔法がかかってるとかじゃないけど、魔法みたいに冷たいでしょ。」
「あぁ、なるほど…」
太郎は繁々と水筒を見つめた。
「こんな貴重なものなら、きちんとお返ししないとなぁ。」
「大絶賛だったし、花子のお茶を淹れて行くといいよ。」
花子は嬉しそうに頷いた。
「近所にあるカフェで、いろんなお茶の葉とかコーヒー豆を取り扱ってるから、見てくるといいよ。」
「こ、コーヒーも⁉︎」
花子の目がさらに輝く。
「…コーヒーも淹れられるんだ?」
「勿論です。」
花子は、自信あり気に胸を逸らした。
「だったら、より楽しいと思うよ。」
時雨はニコッと笑った。
この人、割と笑えるのね。
「地図を書くから、明日3人で行っておいで。」
「はい!」
花子は嬉しそうだ。
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