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学園編
15.君がいるなら
「はッ!?フェリアル生徒会に入ったの!?」
アランの声が響き渡る。
お昼ご飯も食べ終わり、三人で仲良く談笑していた時のことだった。
グリーン先輩はお昼を食べ終わってすぐに何やら用事があると出て行ったので、今は僕とアディくんとアランの三人だけ。
僕がなにげなく生徒会の件を口にすると、アランは驚愕の表情で飛び上がった。
「あー……やっぱそうなるよな」
突然の大声にびっくりしてカチコチ固まる僕の隣で、アディくんがあちゃーとでも言いたげに溜め息を吐く。
べ、別にそんなに驚かなくても……僕みたいなちんちくりんが生徒会に入ったことがそんなにありえないのかな。
ちょっぴりしょんぼり肩を落とすけれど、どうやらアランの震えの理由はそういうことではないようだった。
「う、嘘でしょ……なにそれ、生徒会のやつらズルすぎる……」
アランが何やらブツブツと呟き始める。
心配になってどうしたのと尋ねる前に、タイミングがいいのか悪いのかローダとオーレリア兄様が部屋に入ってきた。
「おや、もう来ていたんだねフェリアル。今日はカリオン君と……これは驚いた、皇子殿下もご一緒でしたか」
「どうも。学校ではアランでいいですよ先輩、いつも言ってますけど」
「おっとそうだったね。これは失礼、アラン君」
オーレリア兄様がアランと丁寧に挨拶を交わす横を、ローダが無言で通り過ぎて特になんということもなく席に座る。
今日も自由な会長さんだなぁと見つめていると、僕の視線に気が付いたらしいローダがふと顔を上げた。
「……マカロン、食うか」
「へ?う、うん。マカロンあるの?なら、たべたいな」
「ん」
ローダがどこからか取り出した白い箱を受け取り、いそいそと中身を覗く。
色とりどりのマカロンに思わずじゅるりと涎を垂らしながら、イチゴ味と思われるピンク色のものを一つ頬張った。
むぅ、うまし。やっぱり食後は甘いお菓子に限りますな。
「それより先輩。さっき聞いたんですけど、フェリアルが生徒会に入るって本当ですか」
「うん?あぁ、まだ知らなかったんだね。そうだよ、フェリアルは生徒会の一員だ。まだ役割は特に決まっていないけれどね」
「ふーん……」
もぐもぐ。お菓子を食べながらも、一応彼らの会話に耳を傾ける。
どうやら僕の話をしているようだ。アランはオーレリア兄様の返事に釈然としない反応を返すと、次の瞬間とんでもない爆弾を落とした。
「じゃあ僕も入れてください、生徒会」
「……は!?急になに言ってんだアラン!?」
「むぐむぐ、むぅ?」
何やらびっくり仰天なセリフが聞こえた気がして動きを止める。
口いっぱいに詰め込んでいたマカロンをむぐっと呑み込んで、僕も慌てて緊迫した空気を壊さないようお口チャックした。
「お前、あんな渋ってたじゃん!絶対ヤダって言ってたくせに」
「確かに嫌だけど、フェリアルがいるなら話は別かな」
「あぁ、お前もそういう奴だったよな……忘れてた……」
突然の展開になにがなんだか分からないけれど、とにかくアランが生徒会に入ることになったらしいというのは理解した。
なぜか疲れた様子のアディくんにマカロンを手渡しつつ、僕はぱっと立ち上がってアランのもとへ回り込む。
「アラン、生徒会に入るの?うれしい、一緒だね」
「うん。僕も嬉しいよ。先輩も、もちろん許可してくれますよね?ずっと僕を勧誘していたわけだし、まさか断ることありませんよね」
僕の抱擁を受け止めながらアランが言う。
オーレリア兄様はローダと顔を見合わせると、やがて苦笑を浮かべつつも頷いた。
「もちろん歓迎するよ、生徒会にようこそアラン君。仲間が増えてとても嬉しいよ」
仲間……!
僕のワクワクセンサーがビビッと反応する。
アランが僕の仲間。お友達で、親友で、そして仲間。なんて素敵な響きなのだろう。
そわそわと身体を揺らす僕を横目に、アランはアディくんに視線を向けて笑みを浮かべた。
「そういうわけだから、当然アディも生徒会に入るよね?」
「え?」
「当たり前でしょ。僕とフェリアルだけ見送って、自分はこっちに来ないつもり?」
アランが挑発的に首を傾げると、アディくんは呆れたようにがっくりと肩を落とした。
「はぁ……わかったよ。先輩、何度も断った手前頼みづらいんですが、俺も生徒会に入れてもらえますか?」
「ふふ、もちろん」
なんと、アランに続いてアディくんの生徒会入りまで決まってしまった。
この短時間に怒涛の展開だ、と身を震わせる。でも本当に、どうして二人は突然こんなあっさり生徒会への加入を認めたのだろう。
ずっと断り続けていたらしいのに、それはやっぱり不思議だ。
「それにしても嬉しいな。勧誘に苦労していた有能な人材が二人、フェリアルに続いて同時に入ってくれるなんて」
「フェリアルの手柄だ」
……僕の手柄?
ローダが呟いた一言に首を傾げる。二人の生徒会入りが僕の手柄って、これまたどういうことだろう。
きょとんとする僕とは裏腹に、アランとアディくんは何やらちょっぴり苦い顔をしていた。
「あんたらもしかして、これを見越してフェリアルを誘いました?」
「……フェリアルを利用したなら許せませんけど」
「えっ!ち、違うよ!それは誤解だ。フェリアルを誘ったのは、本当に純粋な下心さ。ただ純粋に、可愛い従兄弟と一緒の時間を増やしたくて……」
「同意だ。俺もフェリアルともっと一緒に遊びたい」
「それはそれでどうなんだ……」
「なんか生徒会にしては締まらない人達だね……」
何やら口論、いや、仲良くお喋りしている彼らをよそに食後のお菓子を楽しむ。
マカロンをむしゃむしゃ頬張りながら、どんどん楽しくなりそうな学園生活を想って更にワクワクが増してきた。
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