余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓

文字の大きさ
380 / 423
学園編

19.生徒会の仕事

しおりを挟む

結局、ブレイドについてよくわからないまま時間は過ぎた。
授業にもあまり集中できず、今日は考え事をするだけで午前中が終わってしまった。


「……はぁ」


昼休みが始まってすぐ、溜め息を吐いて机に伏せる。
僕は何をやっているんだろう。せっかく学園に入学できたのだから、せめて勉強を疎かにすることだけはしないと決めていたのに。

完全に自業自得とはいえ、ぼーっとしているだけで過ぎ去った授業時間を惜しんでひどく落ち込んだ。


「フェリアル、オーレリア先輩から聞いたか?今日の昼、生徒会の集まりあるから早めに飯行くぞ」


ふと頭上からアディくんの声が聞こえてハッと起き上がる。
そうだった。昨日の夜、ローダがそんなことを言っていた気がする……ブレイドのことで頭がいっぱいですっかり忘れていた。


「ご、ごめん!はやく行かなきゃね」

「おう……つーか平気か?なんか、今日ずっとぼんやりしてたよな」


心配そうな表情で覗きこまれてぎょっとする。
やっぱり、授業に集中できていなかったことはアディくんには気づかれていたか。

けれど自分自身の考えも纏まっていない今、うまく説明できる気もしなくて口をつぐむ。


「……ううん、なんでもないの。それより、はやく行こう!」


ローダ達を待たせるわけにはいかないから。
そう言うと、アディくんはちょっぴり納得行かなさそうな顔をしながらも「ならいいけど……」と頷いた。



***



お昼は軽いもので済ませて、食後のデザートを食べられなかったことに少し落ち込みながらも生徒会室へ急いだ。

オーレリア兄様は全員が揃ったことを確認すると、何やら資料を持ってボードの横に立つ。
どうやら今回の集まりについて説明してくれるみたいだけれど、こういうのは会長であるローダのお役目ではないのだろうか……。

と思ったけれど、ローダは眠そうに座っているだけだった。今日も自由だ。


「貴重な休み時間に呼び出してごめんね。なにせ微妙な時期に生徒会役員が確定したから、この話は通常よりも早めにしておこうと思って」


グリーン先輩がボードに『文化祭』と書き込むのを見て理解した。

なるほど、どうやらこの集まりは文化祭に関するものらしい。
確かに、この新制生徒会は年度始めから役職が確定して仕事に慣れているわけではない。
だからいかにも重要そうな行事の仕事は、余裕を持って早めに話しておこうというわけか。

流石はオーレリア兄様、とっても仕事が出来る上に気配りも上手だ。


「文化祭という行事の特性上、生徒会へ入ってもらって早々申し訳ないけれど、カリオン君とアラン君にはかなり負担を掛けてしまうと思う」


申し訳なさそうに眉尻を下げるオーレリア兄様に、アディくんとアランは揃って冷静に頷いた。


「別に問題ないですよ。文化祭が近いのは分かってましたし、それくらい理解して役職を決めましたから」

「むしろ先輩、僕達よりもフェリアルの心配をした方がいいと思いますよ」


むむっ。何やら失礼な気配を察知……。

僕がはて?と首を傾げると、オーレリア兄様はなぜか「あぁ……」と複雑そうに僕から目を逸らした。
あぇ、あの、オーレリア兄様?


「そうだね、そうだった……えっと庶務の仕事は……今から説明するけれど、僕も手伝うからね。心配しなくて大丈夫だからね、フェリアル」

「あ、はい……あの、そんなに気を遣っていただかなくても……」


なんだかはじめてのおつかいみたいな空気に僕の方が困惑してしまう。

なんだろう、みんなちょっぴり僕を侮り過ぎではなかろうか。
僕のことを英雄だのなんだのと囃し立てる割には少し……いや、かなり過保護すぎる。

ちょっぴり切ない気持ちになりながらも、オーレリア兄様の説明をしっかり理解するために姿勢を正した。


「各クラスの出し物について情報を纏めてほしいんだ。もちろん確認はこちらでもするのだけれど、どうしても情報共有の不備は毎年起こってしまうから」


クラスの出し物について情報を集める……それくらいなら僕にも出来そうだ。
でも、情報共有に不備が起こるってどういうことだろう。きょとんと瞬く僕に一早く気付いて説明してくれたのはグリーン先輩だった。


「生徒会は出し物の安全対策についても任されてるんですけど、そこについての報告に不備があると当日に問題が起こっちゃうんすよ」

「安全対策……」

「あー、例えばっすね?お散歩程度のお化け屋敷だと思ってたら、実際はガチのやつでー、お子様には色々とキツすぎるやつだった場合とか」

「ふむふむ」

「親御さんからしたら話が違うってヤツじゃないですか。『心臓に悪いので注意』の看板もなかったら問題でしょ?あれっす、グロ指定なのにグロ指定と明記されてない」

「はっ!なるほど!」


なんてわかりやすい説明なんだ……と僕は感動したけれど、上品なお貴族様であるオーレリア兄様は「なんて厭らしい例えを……」を呆れ果てていた。


「うん……まぁ例えはアレだけれど、分かりやすい説明をありがとうグリーン」


オーレリア兄様は一度こほんと咳払いすると、気を取り直した様子でニコリと笑った。


「つまりフェリアルには、文化祭の準備期間中に実際に各クラスを周って、出し物の内容を改めて確認してほしいんだ」


今の会話をしっかり綺麗にまとめてくれたオーレリア兄様にこくりと頷く。

おまかせください!と瞳をキラキラ輝かせると、返ってきたのは頼もしい笑顔でもなんでもなく『大丈夫かなこの子……』みたいな視線だけだった。失礼な。
しおりを挟む
感想 1,721

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。