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学園編
19.生徒会の仕事
しおりを挟む結局、ブレイドについてよくわからないまま時間は過ぎた。
授業にもあまり集中できず、今日は考え事をするだけで午前中が終わってしまった。
「……はぁ」
昼休みが始まってすぐ、溜め息を吐いて机に伏せる。
僕は何をやっているんだろう。せっかく学園に入学できたのだから、せめて勉強を疎かにすることだけはしないと決めていたのに。
完全に自業自得とはいえ、ぼーっとしているだけで過ぎ去った授業時間を惜しんでひどく落ち込んだ。
「フェリアル、オーレリア先輩から聞いたか?今日の昼、生徒会の集まりあるから早めに飯行くぞ」
ふと頭上からアディくんの声が聞こえてハッと起き上がる。
そうだった。昨日の夜、ローダがそんなことを言っていた気がする……ブレイドのことで頭がいっぱいですっかり忘れていた。
「ご、ごめん!はやく行かなきゃね」
「おう……つーか平気か?なんか、今日ずっとぼんやりしてたよな」
心配そうな表情で覗きこまれてぎょっとする。
やっぱり、授業に集中できていなかったことはアディくんには気づかれていたか。
けれど自分自身の考えも纏まっていない今、うまく説明できる気もしなくて口をつぐむ。
「……ううん、なんでもないの。それより、はやく行こう!」
ローダ達を待たせるわけにはいかないから。
そう言うと、アディくんはちょっぴり納得行かなさそうな顔をしながらも「ならいいけど……」と頷いた。
***
お昼は軽いもので済ませて、食後のデザートを食べられなかったことに少し落ち込みながらも生徒会室へ急いだ。
オーレリア兄様は全員が揃ったことを確認すると、何やら資料を持ってボードの横に立つ。
どうやら今回の集まりについて説明してくれるみたいだけれど、こういうのは会長であるローダのお役目ではないのだろうか……。
と思ったけれど、ローダは眠そうに座っているだけだった。今日も自由だ。
「貴重な休み時間に呼び出してごめんね。なにせ微妙な時期に生徒会役員が確定したから、この話は通常よりも早めにしておこうと思って」
グリーン先輩がボードに『文化祭』と書き込むのを見て理解した。
なるほど、どうやらこの集まりは文化祭に関するものらしい。
確かに、この新制生徒会は年度始めから役職が確定して仕事に慣れているわけではない。
だからいかにも重要そうな行事の仕事は、余裕を持って早めに話しておこうというわけか。
流石はオーレリア兄様、とっても仕事が出来る上に気配りも上手だ。
「文化祭という行事の特性上、生徒会へ入ってもらって早々申し訳ないけれど、カリオン君とアラン君にはかなり負担を掛けてしまうと思う」
申し訳なさそうに眉尻を下げるオーレリア兄様に、アディくんとアランは揃って冷静に頷いた。
「別に問題ないですよ。文化祭が近いのは分かってましたし、それくらい理解して役職を決めましたから」
「むしろ先輩、僕達よりもフェリアルの心配をした方がいいと思いますよ」
むむっ。何やら失礼な気配を察知……。
僕がはて?と首を傾げると、オーレリア兄様はなぜか「あぁ……」と複雑そうに僕から目を逸らした。
あぇ、あの、オーレリア兄様?
「そうだね、そうだった……えっと庶務の仕事は……今から説明するけれど、僕も手伝うからね。心配しなくて大丈夫だからね、フェリアル」
「あ、はい……あの、そんなに気を遣っていただかなくても……」
なんだかはじめてのおつかいみたいな空気に僕の方が困惑してしまう。
なんだろう、みんなちょっぴり僕を侮り過ぎではなかろうか。
僕のことを英雄だのなんだのと囃し立てる割には少し……いや、かなり過保護すぎる。
ちょっぴり切ない気持ちになりながらも、オーレリア兄様の説明をしっかり理解するために姿勢を正した。
「各クラスの出し物について情報を纏めてほしいんだ。もちろん確認はこちらでもするのだけれど、どうしても情報共有の不備は毎年起こってしまうから」
クラスの出し物について情報を集める……それくらいなら僕にも出来そうだ。
でも、情報共有に不備が起こるってどういうことだろう。きょとんと瞬く僕に一早く気付いて説明してくれたのはグリーン先輩だった。
「生徒会は出し物の安全対策についても任されてるんですけど、そこについての報告に不備があると当日に問題が起こっちゃうんすよ」
「安全対策……」
「あー、例えばっすね?お散歩程度のお化け屋敷だと思ってたら、実際はガチのやつでー、お子様には色々とキツすぎるやつだった場合とか」
「ふむふむ」
「親御さんからしたら話が違うってヤツじゃないですか。『心臓に悪いので注意』の看板もなかったら問題でしょ?あれっす、グロ指定なのにグロ指定と明記されてない」
「はっ!なるほど!」
なんてわかりやすい説明なんだ……と僕は感動したけれど、上品なお貴族様であるオーレリア兄様は「なんて厭らしい例えを……」を呆れ果てていた。
「うん……まぁ例えはアレだけれど、分かりやすい説明をありがとうグリーン」
オーレリア兄様は一度こほんと咳払いすると、気を取り直した様子でニコリと笑った。
「つまりフェリアルには、文化祭の準備期間中に実際に各クラスを周って、出し物の内容を改めて確認してほしいんだ」
今の会話をしっかり綺麗にまとめてくれたオーレリア兄様にこくりと頷く。
おまかせください!と瞳をキラキラ輝かせると、返ってきたのは頼もしい笑顔でもなんでもなく『大丈夫かなこの子……』みたいな視線だけだった。失礼な。
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