余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓

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学園編

59.親友がみた夢


あの三日間の熱狂はあっという間に落ち着き、学園に日常が戻った。

ライネスとお別れして、寂しい気持ちを持て余す日々が始まるかと思ったけれど……良いのか悪いのか、残念なことにそんな暇はなかった。
学校とは常に物事が起こって止まない、それはもう忙しない場所なのである。

生徒会として文化祭の後片付けで多忙を極める日々がしばらく続いたけれど、それも終わるといつもの学校生活がまた始まった。

とは言っても、ここは学校。
あらゆる大きな出来事が、起こっては過ぎ去り、過ぎ去っては起こる場所。
文化祭と言う一大行事が終わりを迎えても、新たな展開が出番を今か今かと待ち侘びている。

だってここは、大人に至るまでの狭間なのだから。





「フェリアル、おはよ」

「おはようアディくん。今日もいいお天気だねぇ」

「おー。お前は今日ものほほんとしてんな」


今日は珍しく、校舎に着く前にアディくんと鉢合わせた。
いつも早めに登校するアディくんとは違い、僕はかなりのんびり登校する方だ。

だから、遅めの時間帯に校舎の外で会ったアディくんを不思議に思った。


「アディくん。今日はゆっくりだね」


きょとんと首を傾げると、アディくんは苦々しく笑った。
その反応を見てへにゃりと眉尻を下げる。

何か悩み事でもあるのだろうか?
しっかり者で常に飄々としているアディくんにしては珍しい。当たり前だけれど、彼も何かに悩んだりすることがあるのか。


「まぁな……昨日、進路指導で居残りさせられてさ。考え事してたら寝坊しちまった」

「しんろ、しどう?」


まさかの悩み事に目を見開く。

進路指導なんて、まだまだ先になってから聞く単語だと思っていた。
なんだか生々しく将来を考えさせられる言葉を聞いて、僕は思わずゆらゆらと瞳を揺らしてしまった。

進路指導……そっか、考えてみれば、もうそういう年頃なのか。
まだ二年生だとはいえ、あと一年とちょっとすれば卒業。つまり、この楽しい学校生活から貴族社会へと一気に環境が切り替わるのだから。


「でも、僕、進路指導なんてきいてない……」


困惑顔で呟く僕に、アディくんは「そりゃそうだ」と呆れたように笑った。


「お前は卒業してもまだ16だからな。それにお前の場合、進路はもう決まってるだろ」

「あ、そっか」


そういえばそうだった。
僕は卒業したら大公妃になることが決まっているし、進路指導がそもそも必要ないのか。

それに、アディくんの言う通り卒業したとしても16歳なのだ。
絶対にないけれど、仮にライネスとの結婚がなかったとしても、別に進路について真剣に考える時期じゃない。


「それじゃ、アディくんの進路ってなぁに?」


あっさり聞いてしまった直後にハッと青褪めた。

ぼ、僕ったらなんてノンノンなデリカシー発言を……!
今のアディくんにそれを聞くのはあまりにアレだ。考えなしだったことをすぐ自覚し、慌てて蒼白顔で頭を下げる。


「ご、ごめんね!い、いまのは聞かなかったことに!」


あわあわと慌ただしい動きをする僕を見下ろし、アディくんはまた呆れ顔を浮かべた。
けれど怒っている様子は特になく、いつもみたいに仕方なさそうに笑って溜め息を吐く。


「落ち着けよ。別に俺の方もそんなシリアスな感じとかじゃねぇから」

「そ、そうなの……?」

「おう。俺だって一応貴族だからな。卒業後の身の振り方なら用意されてる」


用意されている。
気のせいだろうか。そう語った時のアディくんは、なんだか複雑そうな表情をしているように見えた。

気になったから、思わずその場に立ち止まる。
僕につられて動きを止めたアディくんは、怪訝そうに首を傾げて僕を呼びかけた。

僕はその呼びかけに応える前に、アディくんを真っ直ぐ見つめて尋ねてみた。


「アディくん。アディくんは、なにか“夢”があるの?」


僕の問いを聞いたアディくんが、ほんの一瞬目を見開いた。
そしてすぐに困ったような微笑みを湛えて、小さく「フェリアルには敵わねぇな」と呟く。

ふと校舎の外壁にある時計を見遣ると、僕に視線を戻して言った。


「ちょっと話さねぇか。授業までには終わるから」


その言葉を待っていた。
この場合は僕からじゃなく、アディくんから誘ってくれないと意味がないから。

僕はアディくんの言葉に即答で頷くと、彼に連れられて校舎の裏庭に向かった。



***



常に日陰になっているそこは、人目を避けての内緒話にうってつけだ。
二人並んでベンチに腰掛けると、少しの沈黙が流れて……やがてアディくんが静かに話し始めた。


「俺の兄貴、覚えてるか?」

「うん?もちろん、ハインツ兄様!お元気?」

「おう。すげぇ元気。その兄貴がさ、侯爵家を継ぐことになってんだ。当たり前だけど」


懐かしい顔を思い出して頬が緩んだ。
ハインツ兄様、最近会っていないけど元気かな。なんてふわふわ考えていると、アディくんは何やら複雑そうに微笑んだ。

ハインツ兄様はカリオン侯爵家の嫡男だから、当然跡目を継ぐことになっているだろう。
でも、それがどうかしたのだろうか?きょとんと瞬く僕に、アディくんは言葉を選ぶ様子を見せながら話を続けた。


「……兄貴には人徳があるんだ。なんでか皆が兄貴を慕うんだが、それはたぶん天性の才能なんだよ。兄貴には、ちゃんと侯爵の器がある」


あぁ、そうだったな。ぼんやりと思い出した。

確かにアディくんの言う通り、ハインツ兄様は不思議な魅力の持ち主だった。
派手好きで熱血な性格で、彼が言葉で望む前に人が集まって来る。貴族という姿だけ見れば、彼ほどその座に相応しい人間はそういないだろう。

……でも。
ほんの少しだけピクリと眉が動く。それをアディくんは目敏く察してしまったらしい。
吐き出すように小さく笑うと、こくりと頷いてセリフを続けた。


「お前の考えは分かるよ。兄貴のカリスマ性には誰も敵わねぇが、兄貴には貴族としての裏の顔を飼い慣らす才能がない」


そう、ハインツ兄様は良く悪くも熱血な人なのだ。
どんな相手にも真っすぐで、だからこそ貴族としては少し不安が垣間見える。


「最近になって、家門の内部で派閥分裂が起こり始めてな。兄貴を支持しない連中が出てきたんだ」

「……それって、つまり」

「あぁ。そいつらは後継者に俺を推すって。後妻の連れ子で、平民上がりで、ちょっと苦労した平民時代に培ったまぁまぁの狡賢さしか持たねぇ俺を、後継者に推すってさ」


笑っちまうだろ?

アディくんは本当に笑いながらそう言った。
その笑顔がやけに乾いて見えて、僕は思わず膝に投げ出されているアディくんの拳をぎゅっと握り締めた。


「ッ……フェリ、アル?」


突然手を握られて驚いたのか、アディくんは目を丸くして固まった。
そんなアディくんに、僕は至って真剣な表情を向けて問いかける。


「アディくんは、侯爵になりたいの?」


彼が息を呑む。
まさか僕がこんな真っすぐ聞いてくるとは思わなかったのだろう。
確かに、本当ならよその家門の後継者事情に首を突っ込むべきではない。それは流石の僕も分かっているけれど。

それでも、だからといって大切な友達が悩んでいるのを、ただ黙って見ているだけなんてことは出来ないから。


「……俺は」


アディくんは掠れた声を絞り出す。
俯きがちに何か悩む様子を見せたかと思うと、やがてぽつりと呟いた。


「俺は一応、兄貴の補佐役みてぇな感じになる……ことに、なってる。兄貴には執務の才能がなくて、俺には血筋の問題がある。補い合えば、全部の問題が万事解決だ」


でも、と言葉が続く。

アディくんが迷っていること、痛いくらいに伝わってくる。
少なくとも万事解決と思っている表情ではない。黙って待つしか出来ない僕に、アディくんは少しの沈黙を経て本音を吐露してくれた。


「俺は、できれば侯爵家から離れたい。その……“夢”があるんだ。ちっぽけだけどな」


夢。ちっぽけな夢。
それは、なんて素敵な言葉なのだろう。


「アディくんの夢、知りたいな」


こんな状況だけれど気持ちが高揚して、僕はぷらぷらと足を揺らしながら尋ねる。
それが結果的にアディくんの緊張を解すことになったのか、アディくんはふはっと小さく吹き出して笑った。


「そうだな。笑うなよ?」

「笑わない!ぜったい、笑わない!」


こくこくっと何度も頷くと、アディくんは微かに頬を染めて答えた。



「……教師に、なりたいんだ」



そう語るアディくんの横顔はどこまでも優しくて、声音には確かな決意が籠っていて。


「教師って言っても、こういう学園のじゃねぇ。学校って規模でもない、勉強できる場所を作ってさ。そこで、平民の子供達に色んなことを学ばせてやりたいんだよ」


僕はキラキラと瞳を輝かせて、けれど何も口にすることが出来なかった。

だって、どんな言葉を選べば正しくこの気持ちを伝えられる?
強い憧れ、尊敬、感動にも似たこの気持ちを。僕の乏しい語彙力じゃ、きっと全てを伝えることが出来ない。むしろ、薄っぺらい言葉になってしまいそうだ。

だから、僕はただぶんぶんっと強く頷いた。


「……どう思う?」

「すっっっっごく!!」

「すごく?」

「すぅっごく!いいとおもう!すてき!とっても素敵!」


あぁやっぱり。もっと良いセリフがあるだろうに、薄っぺらい答えになってしまった……。

しかし僕の後悔とは裏腹に、アディくんは嬉しそうに笑っていた。


「そうか……そうか、素敵か。他でもないフェリアルが言うなら、本当に素敵……なんだろうな。俺のガキくさい夢は」

「こどもくさくなんかない!立派な夢だよ!ちっぽけじゃない!おっきな夢!」


これほどしっかりした夢がちっぽけなものか。
こんなに素敵な夢を笑う人がいたら、その時は僕がその人をめためたにしちゃうんだから。

そう言うと、アディくんはまたクスクスと笑った。


「どうだろうな。きっと大抵の貴族は呆れるぜ?平民に知識を付けてなんになるってな」


アディくんが自嘲するように笑う。
それを聞いて胸が痛んだ。どうしてか僕にも、その言葉が深く刺さってしまったから。


「……知識、だいじだよ。僕、ここにきて、すごくそう思う」


ぎゅっと拳を握り締めて呟く。
アディくんが不思議そうに視線を向けて来ると同時に、僕は真剣な声で語った。


「ここに来ないと、夢できなかった。知らないもの、知りたい。そんな夢、できなかった」

「……ッ」

「僕わかったの。夢をみるのも、知識が必要なんだよ」


アディくんは硬直して、見開いた目を僕に向けている。
僕は慣れないながらも必死に言葉を選びながら、なんとかこの気持ちを大事に伝えようと言葉を続けた。


「アディくんの未来は、アディくんのものだよ。どんな選択をしても、アディくんの自由だよ。でも僕、今のおはなし聞いて、思ったの」


アディくんの揺れる瞳を真っ直ぐ見つめて、僕は微笑んで見せた。


「その夢が、もしも叶ったら。そうしたらきっと、いろんな人の、いろんな夢がいっぱい増えるね」


想像する。そうしてみると、帝国中にたくさんの夢が浮かぶ未来しか見えなかった。
だって、知識があれば夢を見られる。その知識を与える人がもしも出来たら。



「アディくんの夢のおかげで、もっと夢がいっぱいになるね」



それはなんて素敵なことだろう。
そう言うと、アディくんの瞳から迷いがすっと消えた気がした。
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