余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓

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フェリアル・エーデルス

359.さんにんでひとつ

 

「えぇっと、つまり……?最近のシモンの不調はフェリがシモン離れしたことが原因……ってこと?」

「僕、シモンばなれしてないよ!」

「まぁ、そういうことですね。覚悟はしていたつもりだったんですが、いざ親離れする子を見るのは心にクるものがあったというか……そんな感じですねぇ、はい」

「ぼくっ、シモンばなれしてないよっ!」


 何やら真面目な様子で会話をするシモンとライネス。何が何だかよくわからないけれど、とりあえずシモン離れは間違いなので訂正することにした。シモンから離れるなんて絶対むりだよ。
 シモンにむぎゅっと抱き着いてぴょんぴょん跳ねる。シモン離れなんてできないよ、だいすきだよとむぎゅむぎゅしていると、やがてそれ以上の力でぎゅうっと抱き締め返された。ぐぅ、くるしい。

 頭のてっぺんにうりうり頬擦りされ、ぎゅうぎゅうと抱き締められ。そんなシモンと好きなようにもみくちゃにされる僕を見つめて、ライネスが不意に微笑んだ。


「うーん……全然いつも通りに見えるけどなぁ……そんなに心配しなくても良いと思うよ?シモン」


 ライネスの言葉にピタッと動きを止めるシモン。どうしたのと首を傾げて見上げると、そこには何処か葛藤に苛まれるようなシモンの表情があった。
 ライネスはそんなシモンの表情を見て柔く頬を緩め、優しい声音で語る。


「もしかして、遠慮してる?らしくないね。私はフェリの全部が好きだよ。シモンと一緒に戯れている時の、幸せそうなフェリも当然好きだ」


 突然のきゅん攻撃。あわわと赤くなる僕を見下ろし「ふふっ」と淡く微笑むライネスに心臓どきどき。僕がぷしゅーっと動けなくなっている間にも、二人の会話は頭上で続いた。


「きっとね、フェリが幸せそうな顔をする理由の八割……と言うか全て?にシモンが絡んでいるんだよ。だから、悪いけどシモンにはずっとフェリの傍に居てくれないと困る」

「っ……!ですが……少しは貴方も良く思わない時があるのでは……?」

「良く思わない時があるなら初めからフェリを愛していない。シモン大好きなフェリごと惚れたから、私はフェリを素直に愛しているんだよ」


 惚れた、愛してる。真剣な顔で語るライネスにどきどき、そわそわ。
 シモンに抱き締められた腕の力がぎゅうっと強まって、ちょっぴり苦しくなったけれど何も言わない。こころなしかシモンの体が微かに震えているように感じたから。


「俺は……貴方の背中を押した責任があるので、せめてケジメは自分でつけるべきだと……。最優先はフェリアル様の想いですが、貴方の不快感もなるべく除くようにと思って……」


 けじめ?ライネスの不快感?
 なんだか不穏な単語を呟くシモンに眉を下げる。ケジメってどういうことだろう。ライネスが不快感を抱くって、何があったのかな。
 いまいち話に追い付けずしょぼぼんとする僕を抱き締めたままのシモンに、ライネスが仕方なさそうな笑みを向けた。


「馬鹿だね。そんなことを考えていたのか。私が君に抱いているのは感謝だけだよ。シモンと絡むフェリも大好きなんだから、君の言動に不快感なんて抱くはずもない」


 そう言ってライネスはシモンの肩をぽんぽんと叩く。その時ようやく、シモンの硬い表情に安堵の色が籠った。

 何だかよくわからないけれど、今の会話で二人の間の蟠りが解消されたらしい。うーむ、本当によくわからないけれど、まぁいいや。仲直りしたならよし。よきよき。
 うむうむと頷く僕をシモンがむぎゅむぎゅ。ライネスがふくふくつんつん。さっきからほっぺを触ってばかりのライネス。どうやら僕のほっぺに味を占めたようだ。むぅ。


「うーん、それじゃあ城内にシモンの部屋も作らないとね。フェリの部屋の隣で良い?」

「一応俺、侍従なんですがそれは……」

「あぁいいのいいの。私が良しって言ったら良しだから」


 何だかお金持ちみたいなことを言うライネスにきょとんする。いや、お金持ちなのは間違いないけれど。
 城にシモンの部屋を……?そ、それはつまりっ、けけ、けっこんもごもご……する時にシモンも連れてきていいってことか!やったやった!


「シモンっ、僕が結婚しても、シモンずっといっしょ?ずっと一緒ね!」

「え?」

「え?」

「……はぇ?」


 わくわくと語った僕の言葉に首を傾げる二人。何だか驚いたような表情をしている。
 なにかおかしいこと言ったかな、とぱちくり。やがてシモンがふはっと微笑んで、ライネスがはわわっと顔を真っ赤に染めた。どうしたのだろう。


「フェッ、フェリ……!私と結婚してくれるの……!?」

「はわ……?」


 シモンから奪うように僕をむぎゅーっと抱き締めるライネス。なにごとじゃと目をぐるんぐるん。びっくりする僕を見てふんにゃあっととっても嬉しそうな笑顔を浮かべたライネスがほわほわと言葉を紡いだ。


「フェリの中でっ!私との結婚はもう決定事項なんだねっ!?」


 嬉しそうにわーいわーいと笑うライネス。こころなしか周りにふわふわーっと花が散っているような気もする。ふわふわー。
 ライネスの言葉にぱちくり瞬いて、きょとんと首を傾げた。ライネスと僕は好き同士なのに、恋人なのに。それなのに、結婚以外の未来があるの?ずっと恋人のままってこと?


「好き同士だから、結婚するでしょ?恋人は夫婦になるの。だから、ぜったい結婚するよ……?」

「グハァッ!!」


 ライネスばたんきゅー。シモンの「純粋なフェリアル様きゃわわっ!」という言葉にきょとんぱちくりとはてなを浮かべた。

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