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一章
29.大好きなひと
どうやら攻め主人公……ヴァレンティノの後継者が消えたという事実は裏社会だととんでもない大事件らしく、わんこを貰って早々、俺は別館へ帰されることになった。
二大ファミリーのうち一つであるヴァレンティノが重大事件の真っ只中というのだから、ベルナルディ家としても呑気に静観するというわけにもいかないようだ。
途端に忙しなく動き出す父を横目に、俺はわんこを抱えて黙って出て行くことしか出来なかった。
まぁ何にせよ、ザマァエンドは回避できたようでラッキーだ。今日で追放か処刑かを言い渡されるかと思ったけれど、予想外の攻め主人公行方不明事件で命拾いした。
「あ、ガウ!ジャック!」
ほっと息を吐きながら、てくてくっと本館の玄関ロビーへ向かう。辿り着いたその場所には具合悪そうに蹲るガウと、それを退屈そうに監視するジャックの姿があった。
ジャックは俺の声を聞いた途端勢いよく顔を上げ、ぱぁっ!と表情を輝かせる。なんでそんなに嬉しそうなんだ?とぱちくり瞬きながら、俺はわんこを抱えてとことこと二人に駆け寄った。
「おかえりご主人様ぁ!もーガウの面倒見るの超つまんなかった!待ちくたびれたよぉ」
ぎゅうっと抱き着くジャックを慌てて受け止める。
俺とジャックの間に挟まれそうになったわんこが心配になったが、そんな心配とは裏腹にわんこは自力で俊敏に抜け出し、俺の首元にもこもこと体を埋めた。かわいい。
「……なにこの犬っころ。僕のご主人様に馴れ馴れしー……」
ジトッと色の無い視線をわんこに向けるジャック。これはまずい!と本能で察して、わんこに伸ばされた手を慌てて止めた。
ま、まさかとは思うがジャック、わんこを握り潰そうとしたわけじゃなかろうな……。
「ジャック!それよりガウはどうなんだ?具合悪そうにしてたけど、もう平気なのかっ?」
「ん?あぁ、ガウね。見ての通り全然だよぉ。よくわかんないけど、なんかずぅっとビクビクしちゃっててさぁ」
ビクビク?ガウってば、何か怖いものでも見ちゃったのだろうか。
ジャックの視界からさり気なくわんこを隠しつつ、しゃがみ込んで俯くガウにとことこと歩み寄る。正面に俺もしゃがみ込んで顔を覗き込むと、ガウがピクッと怯えた様子を見せた。
……やっぱり、ガウの様子がなんだかおかしい。
獣化の影響?だとしても、そもそも獣化を起こした原因自体が分からないし……何より、ガウはさっきから一体何に怯えているのだろう。
とりあえずガウの異変を調べるべく、俯くガウの肩をつんつんっと突っついてみる。
「ガウ、ガウ。俺だぞ、ルカだぞ?こっち見てくれ、寂しくなっちゃうぞ……」
いつもなら即答即行動で俺を全肯定するみたいに動くガウ。それなのに、今は俺のことすら無視して塞ぎ込んでいる。
それがなんだかとっても寂しくて……塞ぎ込んで辛いのはガウのはずなのに、堪え切れない涙が目元に溜まってしまった。
それを慌ててふきふきっと拭い、とにかくガウを落ち着かせないと、と立ち上がる。抱えていたわんこを一旦地面に下ろし、全身でガウをむぎゅうっと抱き締めてあげた。
頭ごと抱え込むみたいな抱擁に、ガウはまたもやピクッと体を震わせる。けれど今度は無視せず、そろーりと視線を向けてくれた。
「主、さま……」
あらわになった表情を見て確信する。やっぱり、ガウは何かに怯えているみたいだ。
瞳が忙しなく揺れているし、顔も青褪めている。けれど、さっきよりは様子が少し落ち着いたみたいだ。
それにほっと息を吐いて、ガウのケモ耳をよしよしっと優しく撫でた。
「ガウ、やっと顔見せてくれたな。いい子いい子、えらいぞ」
突然どうして獣化を起こしたのか、何に怯えているのか。
心配だからとすぐにでも問い詰めたい衝動をなんとか堪えて、今はガウをよしよしするのが先だ、とふんわり笑う。怖いことがあったなら、なるべく思い出さないようにして、出来ることならすぐに忘れてしまいたい。そう思うのが普通だろうから。
耳をはむはむすればガウはたちまちふにゃあっとなる。何度もはむはむをした経験から覚えたその習性を思い出し、ガウのケモ耳を軽くはむはむして緊張を更に解いてあげた。
「よし、ガウ。さっさと別館に帰ろう。きっと疲れちゃったんだな、はやく休もうな」
はむはむ、とケモ耳を咥えながら言うと、ガウはふにゃあっと力を抜いて倒れてしまった。真っ赤な顔で、気絶するみたいにぱたりと。
ちょっとはむはむの加減を間違えたか……?と慌ててガウの脈を確認する。うむ、とりあえず息はしているようで安心した。ほっ。
「むぅ……ジャック、ガウを抱っこしてやってくれ。別館まで運んであげよう」
「えっ!本気ぃ……?僕の細腕でこんな巨体の獣人を運べって言うのぉ?」
細腕って言ったって、ジャックの場合はレベルが違うだろ、と呆れ顔で溜め息を吐いた。
確かにジャックはぱっと見だと細身だが、脱げば筋肉質でとっても硬い身体をしている。
これで細腕と表現するなら、この世のほとんどの人間の腕は爪楊枝以下ってことになるだろう。もちろん俺のふにゃふにゃな腕も、下手をすればその爪楊枝以下よりも以下だ。
なんて、そんなことよりも今はガウだ。
何とかしてジャックにガウを運んでもらいたけれど、この不満顔を見る限り頼みを了承してくれる様子は今のところない。さてどうしたものか……。
「うーん……そこをなんとか!おねがいジャック、今日は一緒に寝てやるから。な?」
「ッ!?ほんとっ?聞いたからね!言質取ったからねッ!」
悩んだ末に、そういえばジャックは俺と一緒に寝るのが好きだったよな、と思い出し玉砕覚悟でお願いをしてみた。
するとそれが直球のビンゴだったようで、ジャックは嬉しそうに頬を緩めながらガウを軽々ひょいっと担ぎ上げた。さっきの渋りは一体なんだったのか……。
まぁなんにせよ、お願いを聞いてもらえてよかった。
まさかジャックが一人で寝ることを恐れる子供みたいなやつだったとは……いや、子供っぽいってのはいつも思ってたことか、なんてぐるぐる考えながらジャックの後を追う。
とたとたと本館を出ようとした時、ふいに背後から「きゅーん……」とか細い鳴き声が聞こえてハッと振り返った。
「ごっ、ごめんよわんこ……!置いてくつもりはなかったんだ……!」
「きゅぅーん!」
足元でもきゅもきゅと動き回る白いわたあめ……じゃなくてわんこ。
俺が一瞬でもわんこの存在を忘れたことに腹を立てたのか、わんこは俺の腕の中でてちてちっと地団駄を踏んでお怒りの様子。ゆるしてーっ!とモフ耳をはむはむすると、わんこはやがてへにゃあっと尻尾を伏せて許してくれた。
ありがとう、とわんこをもふりながら本館を出る。ガウを担いで別館へ向かうジャックを追いながら、ふいに浮かんだ考えをぽつりと零した。
「そういえば、お前のことずっとわんこって呼んでたけど……いつまでもわんこのままはちょっとなぁ。しっかり名前をつけてやらないと」
「きゅーん?」
てくてく、と歩きながら腕の中を覗き込む。わんこの身体をじーっと見つめて、似合いそうな名前を頭の中で並べてみるが……うーむ、そう簡単には浮かばないな。
わんこの名前っていうと、前の世界じゃ食べ物の名前をつけたりするのが多かった気がする。こっちでもそれに倣って考えてみるか、ともう一度わんこをじっと見つめた。
「うぅむ……わたあめ、おもち、ましゅまろ……じろう、さぶろう、ごろうまる……」
「きゅっ、きゅーん……!?」
だめだ、なーんかしっくりこない。
食べ物や人の名前で考えても何かが引っかかる。わんこも俺がいま挙げた候補、全部あんまり気に入っていないみたいだし。
……というより、最初からわんこには“彼”の面影を感じていたから、それ以外の名前は全部しっくりこないんだよな。
「──ロキ」
わんこを見つめる度、脳裏に過ぎっていた“彼”の名前。
それを思わずぽつりと零す。するとその瞬間、ふいにわんこがピクッと身体を震わせた。
む?わんこもこの名前に何かを感じたのか?と目を見開きつつ見下ろす。こちらをじーっと見上げるわんこの赤い瞳は、やっぱり彼にそっくりだ。
わんこだから感情はよく分からないけれど、なんとなく不思議そうに目をクリクリさせているような気がしたので説明してあげた。
「わんこ、ロキって知ってるか?」
さっきまでか細く上げていた『きゅーん』という鳴き声が返ってこない。
なんだ、急に無口になったな……なんて思いながらも、きっとロキという名前を知らないから困惑したんだろう、と判断して説明を続ける。
「ロキってのはな、すーっごくきれいな、ヒーローの色の瞳をした男の子のことなんだ」
わんこが驚いたように目を丸くする。むむ?この反応……やっぱりロキのことを知っているのかな。
気になったけれど、聞くことはせず説明を続ける。何やらわんこは、俺がロキについてを語ることに興味津々のようだから。
「赤はヒーローの色なんだ!あとは、おいしいリンゴとか、宝石のルビーとかっ!ロキはそれくらい、とってもすてきな瞳を持ってるんだぞ」
「──……」
「おれ、俺はな、ロキのことが、だいすきなんだ」
わんこの耳がピクッと動く。
いつの間にかピンと立っていた耳を優しく撫でてあげながら、俺は前世で読んだ小説を脳内で思い返した。
──俺の推しカプ、ロキアン。
攻め主人公のロキと、受け主人公のアンドレア。
二人の挿絵に関しては、もはや親の顔より見たと言っても過言ではない。だから当然、ロキの挿絵についても自分の顔より見たくらいなのでよく覚えている。
ロキとアンドレアは俺の最推し。二人まとめて、俺の最推しカプ。だからこそ、ロキアンという至高のカプを構成してくれるロキというキャラクターのことが、俺は心の底から大好きだった。
ありがとうロキ!俺に最高のカプを、最高のシチュとストーリーを恵んでくれて!
ほんとうに本当に大好きだ!ロキという攻めキャラが!
「ロキは本当に素敵な人。俺はロキのこと、本当のほんとに、好きなんだ」
「──……」
「なんでかな、お前はロキによく似てる。だから、もしよければロキって呼んでも……って、おいっ!急にどうしたんだ、わんこ!」
俺の熱弁を聞いていたわんこが、突如ぷるぷると震えたかと思うと勢いよく飛び上がる。
俺の頬やら額やら、しまいには唇やらも忙しなくぺろぺろ。よく分からんが、わんこってば急にキス魔になってしまったらしい……。
「わ、わんこっ!?なにかあったのかっ?」
ヒシッ!と顔に貼り付いたわんこをむきゅっと剥ぎ取って覗き込む。
何やら赤い瞳を潤ませたわんこは、嬉しそうにふにゃあっと微笑みながら俺に抱き着いた。
さっきまでは最低限の威嚇やら警戒やらをしていたのに、このわんこってばもうこんなに無防備になって……ま、まぁ、信頼されているのは嬉しいけどさ……もごもご。
「きゅーん!きゃんきゃんっ!」
「む?なになに……ふむ、ロキって呼んでいいよー、とかか?」
「きゃんっ!」
むっ!なんと!わんこがロキ呼びを許可してくれたみたいだっ。
腹黒眼鏡に渡された時から愛着は湧いていたけれど、名前がついたことで更にそれが深まった。上機嫌に尻尾を振るわんこ……いや、ロキをぎゅっと抱き締めて囁いた。
「よろしくな、ロキ。俺の……だいじな家族」
愛おしさを隠さず柔らかい微笑みを向けると、ロキは赤い瞳を優しく細めて「きゃんっ!」と嬉しそうに鳴いた。
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