異世界マフィアの悪役次男に転生したので生き残りに励んでいたら、何故か最強の主人公達に溺愛されてしまった件

上総啓

文字の大きさ
204 / 241
六章

199.キツネさんの尋問

しおりを挟む



「あわわ、あわ、あわわっ」

「ルカちゃん落ち着いて。ちょこまかしなくて大丈夫だから。俺の周りぐるぐるしないで、可愛すぎてぎゅって捕獲したくなっちゃうから」


 もぐもぐタイムに突如王族さまがやってくるなんて、そんなの予想もしていなかった。
 加えてロキの華麗な不敬発言。混乱とロキが不敬罪で極刑に処される可能性と、色んな不安が一気に押し寄せてしまい、結果的に俺はあわわっと忙しなく大混乱してしまった。

 両腕を万歳の形に上げながら、佇むロキの周りをぐるぐると走り回る。
 このぐるぐるは混乱でおかしくなっちゃったことに加え、不敬罪でロキが捕まらないように柵とかバリアとかの役になればいいなーって感じで走っている。
 一人バリア?一人包囲網?そんな感じだ。俺がずっとロキの周りをぐるぐるしていれば、誰もロキに近付けなくて確保できないだろ?そういうことだ。賢すぎてあわわって感じだろ、えっへん。


「あわわっ、わ、あぅわッ!?」


 目ん玉ぐるぐる。うーむこれは持久戦。俺が目ん玉ぐるぐるして倒れるか、その前に敵が諦めるかどうかのハイリスクな勝負だ!
 なんて思いながら走っていると、ふいにロキが正面に俺が来たタイミングでぎゅっと俺の身体を抱き上げた。つまり、捕獲されてしまったというわけだ。むねん。


「んむ、むぅっ、むむぅっ」

「ごめんねルカちゃん。ぐるぐる遊びしてたのに強制的に止めてごめんね。ほっぺぷくってしないで。食べたくなっちゃうから」


 ぽすっと抱っこで拘束され、怒りのぺちぺち攻撃を仕掛ける。
 せっかくロキを守るためにぐるぐるしてやってたってのに、遊びとは何事か。ぷんすかである。

 仕方ないのでむんっと大人しく動きを止めると、ロキはいい子いい子するみたいに俺の頭を撫でた。
 むーん……俺はもう子供じゃないんだぞ。いい子いい子はもうやめるんだぞ。ふんふん、ふすふす。


「で、何の用件でしたっけ?」

「おい、もうお前達、私の話を聞く気ないだろう」


 呆れ顔を浮かべる王太子を見て再びあわわっと青褪めた。
 ま、まずい……またもやロキ不敬罪の危機だ!俺がなんとかしてロキを守らねばっ!

 そう意気込んだ俺は、ふすふすっと気合を入れながら抱っこから抜け出した。するっ……おっけーおっけー、抜け出したら王太子のもとにとたとた駆け寄って、っと。


「ふんっ!聞いてますっ!聞く気ありますっ!いっぱいありますっ!」

「ん?あ、あぁ、そ、そうか。それならば良いのだが……」


 ロキの代わりに聞いてますよ聞く気ありまくりですよアピールを全開にする。
 すると王太子はちょっぴり困惑したような顔をしながらも、ならいっかーとばかりにスタスタ進んでソファに腰掛けた。よし、ミッションコンプリートである。ふんっ。

 ふぅっと額の汗を拭い、ロキの手を引いて王太子の向かいに座る。
 今度こそお話どうぞと勧めると、王太子はようやくかいなとばかりに眉尻を下げながら話を切り出した。


「こほんっ……まぁ、とはいえもう気が削がれたのでな。単刀直入に用件だけ伝える。花嫁よ、お前にフォルの尋問を頼みたい」

「ふむふむ、りょーかいっ!……むん?ふぉる?」


 俺に王族直々のミッション?かっけーやるやる!とやる気が先走りつつの返事をしたが、すぐにむぅ?と首を傾げた。
 ふぉる、ふぉる。うーむ初めましてのお名前だぞ。だれじゃそれ?

 俺のきょとん顔を見て察したのか、王太子は微かに苦笑しながら答えた。


「お前も何度か顔を合わせたことがあるはずだ。反乱軍の主犯であるチェレスの腹心、狐獣人のフォルを知っているだろう?」

「チェレスのともだち……きつねさん、きつねさん……?」


 ハッ!と思いっきり目を見開く。
 ぴこぴこぴこーんっ!俺ってば賢い子なので、しっかり思い出したぞっ!

 フォル、チェレスの腹心、狐獣人。ぶわわぁっと懐かしい隅っこの記憶がどんどん表に出てきて、ようやくその正体をあらわにした。
 例の古風な敵さんだ。弓だけで戦う、チェレスに絶対服従の狐獣人。あの人、フォルっていうのか。


「むん、思い出しましたっ。チェレスと仲良しのキツネさんっ!」

「う、うむ……仲良し、なのか?」

「黙れ、余計な低俗話を吹き込むな。ルカちゃんは距離が近ければ全て仲良し認定する純粋な子なんです。利害関係の一致だとか一方通行の服従だとかも全て仲良し判定なんです」

「そ、そうか。すまない。これは失礼した」


 ふんふん、思い出したぞっ。キツネさんだな?チェレス大好きで仲良しな、あのキツネさんっ!
 思い出してモヤモヤが晴れたことでスッキリ。ルンルンと足を揺らしていると、ふいに神妙な面持ちで語り合う二人に気付いて首を傾げた。むん?なんのお話をしてるんだ、二人とも。

 俺がきょとんとすると同時に、二人はあわあわと姿勢を正してなんでもないですよアピールをしだした。なんだなんだ、俺には内緒なのか?


「して、フォルの尋問を頼みたい理由なのだがな。今はチェレスの尋問が出来ないだろう?ダミアーノとやらが奴の身体を支配している故に」

「ふむ、そうですな」

「お前はダミアーノの尋問を担当している故に分かっているとは思うが、ダミアーノがあの身体を支配している間は、チェレスの証言を聞くことが出来ないのだ」


 ふむふむ、確かに、それは王太子の言う通り。
 尋問を任される過程で、俺はダミアーノにチェレスについての質問もした。けれどダミアーノは、あくまで答えるつもりがあるのは自分のことだけで、他は無関係かつ面倒なので話さないと言ったのだ。
 つまり、チェレスのことはチェレスに聞くしかない。でもダミアーノがチェレスの身体を現状で解放する気配はない。ぶっちゃけ詰みなのである。


「しかし反乱の動機や、主にチェレスが率いた反乱軍の残党……それらはダミアーノを尋問したとて得られない情報だ。という訳で、チェレスの腹心であるフォルを尋問することにした」

「ふむぅ、なるへそ、なるへそ」

「ルカちゃん大丈夫?きちんとお話についてこれてる?」

「舐めるなだぞっ!全然わかるぞっ!」


 ロキってば失礼だぞ。ちゃんとわかってるぞふんすふんす。
 つまり、王太子は俺に、ダミアーノとチェレスの尋問、二人分をこなしてくれと言っているわけだ。しっかり分かってるからバカにするなだぞ。


「わかりました!お任せくださいですっ!おれがキツネさんに、しっかりきっちり、チェレスのお話聞いてみますっ!」

「うむ。頼んだぞ」


 ぽん、と頭を撫でられる。お偉いさんにクールなミッションを任されたのが嬉しくてえっへんと胸を張ると、王太子はニコニコ頬を緩めながら部屋を出ていった。
 むぅ……あの人、本当にただ頼みごとをしにきただけなのか。一緒にちょっぴりくらいお菓子を食べてくれてもよかったのに。まぁ、王太子だから忙しいだろうし、仕方ないか。


「あのクソ王太子……ルカに尋問の才があると気付いて利用し始めたな。殺そう」


 何やら物騒な発言をぶつぶつ呟いているロキの手を引き、さっさと行くぞと歩き出す。
 何はともあれ、まずはちゃっちゃとダミアーノとのお話を済ませるんだぞ。今回はフォル……チェレスについての尋問がメインだからなっ。


「ささっ、行くぞロキ。ごーごー!」

「ルカちゃん、嫌になったら言うんだよ。尋問なんて血生臭い役割、本来ならルカちゃんが担う必要のないものなんだから」

「平気だぞ!おれ、みんなのお役に立ててうれしーぞっ!」

「いい子ッ……!」


 がくっ……と頽れるロキを慌てて引き上げる。ふにゃふにゃしてないで、さっさとお仕事に向かうんだぞ。

しおりを挟む
感想 118

あなたにおすすめの小説

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

処理中です...