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六章
202.違和感
突然決まったロキとのお泊まり!心臓がどっきゅん、ばっきゅんなんだぞ。
なんでも連日の尋問で、ロキは相当疲れが溜まっていたらしく……。
一人は怖いからって理由でずっとロキを付き添わせていたのは俺のワガママだし、おねがいと言われてしまえば断ることなんてできない。
というわけで、俺は素直にお泊まりの誘いを受け入れた。
べべっ、べつに、俺もロキとお泊まりしたいなぁふんふんとか全然思ってなかったんだぞ。フツーに、ロキのおねがいなら聞き入れてやらねば!という心持ちだけである、うむ。
とまぁ、そんなこんなで訪れたヴァレンティノ邸。
毎日のように遊びに来ているとはいえ、お泊まりで来るのはとっても久しぶりだ。
父たちにもお泊まりの許可は無事とれたし、万事解決おっけーおっけー。ロキと手を繋ぎながら、ルンルン気分で部屋まで歩いた。
「ロキ、まずはお昼寝だぞっ!おれが見ててやるから、ロキはとりあえずおやすみするんだぞ!」
寝室について早々、ロキの手をぐいぐい引いてベッドまで促す。
半ば強引に押し倒すみたいにロキをベッドへ押し込むと、俺もちょこんとベッドに座り込んで、ロキのお腹をぽんぽんと撫でてあげた。
「俺は大丈夫だよ、それよりルカちゃんが寝て……」
「だめだぞっ!ロキがおやすみするのっ!おれの護衛で疲れてるだろうし、はやくねるんだぞ」
さっきからやけに俺に昼寝をさせようとしてくるな……とふと違和感を抱いた。
というのも、こうして邸に来るまでの間も、ロキは「帰ったらまずはお昼寝しない?」とか「ルカちゃんもお疲れだろうし、少し眠ったら?」とか、めちゃんこお昼寝をオススメしてきたのだ。
そんなに俺を寝かせたいのか?ふんっ、そんなことしたら、俺も対抗してロキを眠らせたくなっちゃうじゃないかっ!
というわけで俺はふんふんと意気込みつつ、絶対にロキをお昼寝させるマンとして励むことにした。
「ほら、ロキ。ねんねんころりーだぞ」
ぽすぽすっとお腹を撫でたり、目元をちっちゃな手で覆ったり。
色々頑張ると、ロキは諦めたように眉尻を下げて目を閉じた。最後に「夜は一緒に寝ようね」と懲りずに呟くのを見下ろし、もちろんだぞと頷いた。
***
そしてやってきた夜!
俺はもこもこガウンに包まれながらロキの寝室へと向かった。
就寝前のおトイレを済ませたので、これでスッキリぐーすかすぴーを堪能できるぞ、えっへん。
ガチャッと扉を開け、寝室の中へ。ロキはお休みの準備済ませたかなーと思いながら室内へ入った瞬間、鼻孔をくすぐった甘い匂いに気が付き思わず立ち止まった。
「むん……な、なんだ、この匂い……」
よく眠れる香か何かか?それにしては甘ったるくて、ちょっぴり頭がくらくらするんだぞ……。
むぅっと眉を寄せて立ち止まっていると、ふいに部屋の奥からゆらりと人影が現れた。その正体はガウンをはだけさせ、前髪を妖艶に後ろに流したロキだった。
「ろ、ろき。ちょっぴり、匂いがつよすぎる気がするぞ……」
ロキがきょとんと瞬く。すぐにニコニコ笑顔を浮かべると、問答無用で俺を抱き上げて部屋の中にスタスタと歩いた。
奥へ行けば行くほど強くなる匂いに、思わず「うっ……」と呻き声を上げる。それすらお構いなしで最奥まで進んだロキは、俺をベッドにぽーいと押し倒して強引に組み敷いた。
「あの、あの、ロキ……?」
「ねぇルカちゃん」
困惑の言葉を遮るように呼び掛けられ、咄嗟に「ひゃいっ?」と返事をする。
なんだなんだ、ロキってばなんだか様子が変だぞ。って、考えてみれば、帰ってきた時から変だったような気もするけれど……。
なんというか、姿は確かにロキなんだけど、たまーに違う感じがするみたいな。口調とか、声のトーンとか。いつものロキより荒い語尾だなぁとか、声が少し低い気が……とか、そういうことを何となく感じていた。
もしかすると、具合が悪いのかもしれない。
調子がよくなくて、だからこうして香を焚いているのかも。疲労回復の香り、みたいな?
そんなことを考えていると、ロキがふと深い笑顔を湛えてぽつりと零した。
「セックスしよ」
「……はぇ」
突然の誘いにぱちくり瞬く。本当に、あまりに突然のことだったから、反応が遅れてしまった。
どうしてだろう。いつもはぽぽっと顔が真っ赤になって、なに言うとるんじゃおばかー!とぺちぺち攻撃を仕掛けているところだけれど……どうしてか、びっくりするほど顔が熱くならないんだぞ。
むしろ、得体の知れない不気味さみたいな、そんなものすら感じる。
初めての時は、確かに毒を抜くためにロキもちょっぴり強引だったけれど……でも、それ以降はとっても優しくて、ゆっくりだった。
少なくとも、こんなに急に押し倒して、直接的な言葉を投げ掛けてくることはなかったはずだ。
「あぇ、えと、えっと……」
「大丈夫。ルカちゃんは何もしなくていいよ。俺が全部やるから」
「ま、まって、ろき、ろき」
問答無用でガウンを剥がされる。
秒ですっぽんぽんにされてしまい、困惑しながらロキを見上げた。
なんだかいつもより声のトーンが低い。怒っているのか?いや、でも、表情は低い声とは裏腹にびっくりするほど満面の笑顔だ。いっそ不気味なくらいに。
困惑する俺を置き去りに、ロキもガウンを脱いで全裸になった。
いつもならほっぺや頭を撫でて安心させてくれる手が、なぜか性急に身体の中心に触れ始める。
最初にするちゅーもぎゅーも何もなしに、ロキは貼り付けたような笑顔を浮かべながらお尻の穴に指をいれた。
「っ、いッ……いたい、ろき、まって、いたいぞ……っ」
嘘だろう、本当に?本当に、最初からするのか?
ほっぺなでなでも、頭よしよしもしないで?最初にするちゅっちゅ攻撃も、痛いくらいのぎゅーも何もしないで、最初からお尻に触るのか?
ひどいぞ、ロキってば、ひどい。俺がびっくりしているの、分かっているはずなのに。痛いって言ってるのに、どうして止まってくれないんだ。
「ろき、ろき、やだぁ……っ」
ロキの長い指がお尻の穴に入ったり出たりして、それが数秒続いて……。
やがて、俺がシクシク泣き出した直後、ふいにその動きがピタッと止まった。
「……?ロキ、どうし……ッな、ロキっ!?」
ぐすぐすと溢れる涙を腕で隠していたが、ふいにロキが苦しそうに呻いて倒れた気配を感じ、慌てて飛び起きた。
シーツに上に蹲るロキ。やっぱり具合が悪かったのだろうか?両手で胸の辺りを押さえて苦しむロキに、慌ててむぎゅっと縋り付いて「ロキ!ロキ!」と何度も呼び掛ける。
すると、やがてロキが顔を蒼白させながらはくはくと口を開閉させた。
何か、呟いている……?慌ててロキの口元に耳を寄せると、聞こえたのはやっぱりよく分からない言葉だった。
「──馬鹿なッ……なぜ、なぜ鎖を解けるッ……!?」
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